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問題106.17歳の男子。陸上競技100m走でスタートした際、右股関節周囲に激痛が発生した。患者は股関節の屈曲時に激痛を訴え、膝を屈曲しながらの股関節の屈曲力、外転力や外旋力も低下していた。
最も考えられるのはどれか。
1.腸骨翼単独骨折
2.上前腸骨棘裂離骨折
3.坐骨結節裂離骨折
4.大腿骨小転子骨折
解答2
解説
・17歳の男子。
・100m走でスタートした際:右股関節周囲に激痛が発生。
・股関節の屈曲時に激痛を訴えた。
・膝を屈曲しながらの股関節の屈曲力、外転力や外旋力も低下していた。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。裂離骨折とは、剥離骨折ともいい、靭帯や筋肉の牽引によってその付着部が引きはがされて損傷してしまった状態を指す。
1.× 腸骨翼単独骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例の症状と合致しないため。
・Duverney骨折とは、腸骨翼単独骨折のことである。腸骨の上部から外側にかけた骨折である。主に転倒や交通事故による側方からの打撃で発生するため。
2.〇 正しい。上前腸骨棘裂離骨折が最も考えられる。なぜなら、上前腸骨棘には縫工筋・大腿筋膜張筋が付着しており、ダッシュやキックで強く牽引されるため。また、「膝を屈曲しながらの股関節の屈曲力、外転力や外旋力も低下」という症状も合致する。
・縫工筋の【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋、【神経】大腿神経である。
3.× 坐骨結節裂離骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、坐骨結節裂離骨折は、ハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の牽引によって起こるため。例えば、急激な股関節伸展・膝屈曲動作(スタートダッシュ後期やキック後期)で牽引されるため起こる。
4.× 大腿骨小転子骨折より優先されるものが他にある。なぜなら、小転子は、腸腰筋の付着部であり、通常は高齢者の転倒や病的骨折でみられるため。したがって、好発年齢が合致しない。
・ルドロフ徴候とは、大腿骨の小転子が腸腰筋の収縮によって引きちぎられる「裂離骨折」をしたときに起こる徴候である。イスなどに座ったときに、膝関節以上に足を上げることができなくなるが、あおむけになった場合は可能となる所見である。
問題107.30歳の女性。昨日、歩行中10cmほどの段差につまずき、足部に内がえしが強制された。リスフラン関節外側部に著明な腫脹があり来所した。他動的な内反の強制や、自動的な外反運動で疼痛が増強した。
最も考えられる後遺症はどれか。
1.過剰仮骨形成
2.無腐性骨壊死
3.凹足変形
4.外方凸変形
解答4
解説
・30歳の女性。
・昨日:歩行中10cmほどの段差につまずき、足部に内がえしが強制。
・リスフラン関節外側部:著明な腫脹があり。
・他動的な内反の強制や、自動的な外反運動で疼痛が増強した。
→本症例は、足関節内反捻挫が疑われる。特に、二分靱帯や踵立方関節周囲が損傷したものと考えられる。
1.× 過剰仮骨形成は考えにくい。なぜなら、過剰仮骨形成は、骨折治癒過程での異常反応であり、足関節内反捻挫による靱帯損傷の後遺症とはいえないため。
・過剰仮骨形成とは、粉砕骨折、大血腫の存在、骨膜の広範な剥離、早期かつ過剰に行われた後療法などの仮骨形成を刺激する状態が持続した場合に発生する。血腫が消失した場合は仮骨形成を遷延させる原因となり遷延仮骨や偽関節の原因となる。
2.× 無腐性骨壊死は考えにくい。なぜなら、無腐性骨壊死は、血流障害による骨の虚血性壊死であり、足関節内反捻挫による靱帯損傷の後遺症とはいえないため。
・無腐性骨壊死とは、血流の低下または遮断により骨組織が壊死する状態を指す。血流が阻害されやすい距骨骨折や舟状骨骨折に起こりやすい。
3.× 凹足変形は考えにくい。なぜなら、凹足変形は、先天性の内反足に起きやすく、外側靱帯が短縮する病態で生じるため。
・凹足変形とは、足底の縦アーチが高い状態の変形である。先天性の内反足などで起こりやすい。
4.〇 正しい。外方凸変形は、最も考えられる後遺症である。なぜなら、足関節の外側の靱帯(二分靱帯、踵立方靱帯など)が緩むと、外側アーチの支持が失われるため。
外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。
【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。
【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。
問題108.51歳の女性。右肘関節外側部の疼痛と手関節の脱力感を訴えて来所した。前腕伸筋群の緊張は強く患側の握力は低下していた。中指伸展運動に抵抗を加えた結果、同部の疼痛が増強した。写真を下に示す。
圧迫バンドの適切な装着部位はどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d
解答2
解説
・51歳の女性。
・右肘関節外側部の疼痛、手関節の脱力感。
・前腕伸筋群の緊張は強く、患側の握力は低下。
・中指伸展運動に抵抗を加えた結果、同部の疼痛が増強(中指伸展テスト)。
→本症例は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が疑われる。テニス肘とは、上腕骨外側上顆炎ともいい、手首を伸ばす筋肉に炎症が起こる病気である。はっきりした原因は不明であるが、主に手首を伸ばす筋肉に負担がかかることが関係していると考えられている。主な症状は、肘の外側から前腕の辺りに痛みである。
・中指伸展テストは、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を見る検査である。患者さんの中指を下に押し、患者さんはその逆に中指を上に持ち上げるようにした時、肘の外側に痛みが出るかを調べる。
1.3~4.× a/c/dより優先される部位が他にある。
2.〇 正しい。bは、圧迫バンドの適切な装着部位である。なぜなら、テニス肘は、短橈側手根伸筋が最も関与しているため。短橈側手根伸筋は、バックハンド反復で腱付着部に過負荷(牽引+圧縮)を受けやすく、変性(腱症)や微小断裂を生じやすい。圧迫バンド(テニスエルボーバンド)を外側上顆より2〜5cm遠位(やや下)に巻くことで、短橈側手根伸筋の収縮時の牽引力をバンドで吸収・分散し、腱付着部へのストレスを軽減できる。
・短橈側手根伸筋の【起始】上腕骨外側上顆、橈骨輪状靭帯、総指伸筋との間の腱膜、【停止】第3中手骨底の背面橈側、【作用】手関節の背屈、橈屈である。
問題109.20歳の女性。バレーボールの試合でスパイクを受け、母指MP関節を負傷した。母指MP関節尺側に疼痛、圧痛、腫脹皮下出血および側方動揺性を認めた。
誤っているのはどれか。
1.スキーでも同様の損傷が好発する。
2.母指が尺屈強制された。
3.ピンチ動作が障害される。
4.側方動揺性検査はMP関節屈曲位で行う。
解答2
解説
・20歳の女性。
・バレーボール中:スパイクを受け、母指MP関節を負傷。
・母指MP関節尺側に疼痛、圧痛、腫脹皮下出血および側方動揺性を認めた。
→本症例は、母指MP関節尺側側副靭帯損傷が疑われる。母指MP関節尺側側副靭帯損傷とは、スキーヤー母指ともいい、原因は、親指の先から2番目の関節が、スキー中に転倒した場合などにストックによって外側に強制的に曲げられたときに、靭帯に損傷が起こって生じる。不安定性のほか、物をつまんだり、にぎり動作で痛みが増強する症状がみられる。損傷の程度は、指を横に曲げてみて判定し、軽度の場合は保存的治療法を選択し、過度に横に曲がってしまう場合は手術によって切れた靭帯を再建する必要がある。
1.〇 正しい。スキーでも同様の損傷が好発する。なぜなら、母指MP関節尺側側副靭帯損傷とは、スキーヤー母指ともいうため。受傷の機序が同じである。
2.× 母指が「尺屈」ではなく橈屈強制されて起こる。
3.〇 正しい。ピンチ動作が障害される。なぜなら、正中神経麻痺が合併しやすいため。
・perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。正中神経麻痺でみられる。
4.〇 正しい。側方動揺性検査は、MP関節屈曲位で行う。なぜなら、MP関節伸展位では掌側板の影響が入り単独の検査が困難であるため。つまり、他の軟部組織が伸張(緊張)してしまう。
・掌側板とは、四角い線維軟骨性の板で、関節の掌側にひろがってその底部を形成している。停止部の厚さは2~3mmであるが、中枢に向かって薄くなり、弾力性のある膜状構造となっている。
問題110.18歳の男子。柔道の試合で軸足(左)を負傷した。前十字靭帯の単独断裂と診断された。柔道復帰のため1カ月後に手術を行うことになった。手術までの間、接骨院で施術を受けることにした。
柔道整復師として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.関節可動域訓練を行う。
2.クラーメル金属副子で固定する。
3.ダッシュのトレーニング指導を行う。
4.大腿部筋の筋力増強訓練を行う。
解答1・4
解説
・18歳の男子(前十字靭帯の単独断裂)。
・柔道の試合:軸足(左)を負傷。
・柔道復帰のため1カ月後に手術を行う。
・手術までの間、接骨院で施術を受ける。
→前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
1.〇 正しい。関節可動域訓練を行う。なぜなら、可動域制限(拘縮)が生じると、術後のリハビリで屈伸制限が残存し、競技復帰が遅れるため。あくまでも、他の組織の損傷が悪化しないためにも、目的は関節可動域の「拡大」ではなく維持である。
2.× クラーメル金属副子で固定する必要はない。なぜなら、クラーメル金属副子で固定した場合、関節拘縮・筋萎縮を招き、術後リハビリに悪影響を及ぼすため。
・クラーメル金属副子とは、金属製の網状ワイヤーでできた副子(簡易固定具)である。自由に曲げて体の形に合わせられるため、骨折や脱臼、捻挫などの患部を一時的・保存的に固定する際に用いられる。
3.× ダッシュのトレーニング指導を行う必要はない。なぜなら、前十字靭帯が断裂した状態では、膝の前方安定性が失われているため。したがって、ダッシュ動作により前方すべりが起こり、さらなる症状の悪化につながりかねない。
4.〇 正しい。大腿部筋の筋力増強訓練を行う。なぜなら、大腿部筋の筋力(特に、膝関節伸展筋)は、膝関節の安定に寄与するため。術前筋トレは、リハビリ成績を左右し、再建した靭帯を助け再断裂を防ぐ方向に働く。
国試オタク 
