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問題16.運動療法の目的でないのはどれか。
1.筋力と持久力を増大させる。
2.活動に必要な筋肉を弛緩させる。
3.関節可動域を増大させる。
4.筋群相互の機能平衡を獲得する。
解答2
解説
運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の症状の改善や予防を図ることである。種類として、有酸素運動、無酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチングなどがあげられる。例えば、有酸素運動には、ウォーキング、体操、エアロビクス、エアロバイクなどがあげられる。
1.〇 筋力と持久力を増大させることは、運動療法の目的である。特に、筋力増強訓練(レジスタンストレーニングなど)が該当する。
・レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかけることによって、筋力向上を図る「筋力トレーニング」のことである。心疾患の患者において、低負荷のレジスタンストレーニングを行い、心臓の負担を増やすことなく筋力向上を図ることは望ましい。
2.× 活動に必要な筋肉を「弛緩」ではなく強化(機能向上)させることが、運動療法の目的である。
3.〇 関節可動域を増大させることは、運動療法の目的である。特に、ストレッチが該当する。
4.〇 筋群相互の機能平衡を獲得することは、運動療法の目的である。
・筋群相互の機能平衡とは、身体の効率的な動き、姿勢の維持、そして怪我の予防のために不可欠な概念である。拮抗筋群(屈筋・伸筋)のバランスが崩れると、姿勢保持や運動制御が困難になる。筋群の協調性を再教育し、姿勢・動作の安定を図ることが運動療法の重要な要素となる。
問題17.徒手筋力テストで抗重力肢位の自動介助運動による筋力増強法が主体となるのはどれか。
1.MMT1
2.MMT2
3.MMT3
4.MMT4
解答2
解説
徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。
0(Zero:ゼロ):「筋収縮のまったくみられない」状態である。
1(trace:不可):「関節の運動は起こらないが、筋のわずかな収縮は起こる。筋収縮がみえる、または触知できる」状態である。
2(poor:可):「重力を除けば全可動域動かせる」状態である。
3(fair:良):「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。
4(good:優):「ある程度、徒手抵抗を加えても、全可動域動かせる」状態である。
5(normal:正常):「強い抵抗(最大抵抗)を加えても、完全に運動できる」状態である。
1.× MMT1より優先されるものが他にある。なぜなら、MMT1は、関節の運動は起こらない状態であるため。
2.〇 正しい。MMT2は、徒手筋力テストで抗重力肢位の自動介助運動による筋力増強法が主体となる。なぜなら、MMT2(poor:可)は、「重力を除けば全可動域動かせる」状態であるため。
・自動介助運動とは、自発的に筋の収縮を行わせながら、セラピストあるいは器具の補助によって関節運動を行うことである。
3.× MMT3より優先されるものが他にある。なぜなら、MMT3は、重力に打ち勝って全可動域動かせるため。介助が必要ない。
4.× MMT4より優先されるものが他にある。なぜなら、MMT4は、中等度の抵抗にも耐えられる段階である。介助が必要ない。
問題18.マッサージの禁忌はどれか。2つ選べ。
1.間質浮腫の軽減
2.麻痺筋の循環改善
3.開放創の浮腫軽減
4.感染組織の循環改善
解答3・4
解説
1.× 間質浮腫(リンパ・静脈うっ滞など)の軽減は、マッサージにより期待できる効果である。なぜなら、マッサージにより静脈・リンパ還流が促進されるため。
2.× 麻痺筋の循環改善は、マッサージにより期待できる効果である。なぜなら、マッサージにより局所の血流が増加するため。
3.〇 正しい。開放創の浮腫軽減は、マッサージの禁忌である。開放創部へのマッサージがそもそも禁忌である。なぜなら、感染や出血を助長するおそれがあるため。
4.〇 正しい。感染組織の循環改善は、マッサージの禁忌である。なぜなら、血行促進により感染が全身へ波及する危険があるため。
問題19.頸椎の固定性が最も高い装具はどれか。
1.ハローベスト
2.フィラデルフィア・カラー
3.金属支柱付き頸椎装具
4.ソフトカラー
解答1
解説

(※写真:フィラデルフィアカラー)
1.〇 正しい。ハローベストは、頸椎の固定性が最も高い装具である。頭蓋骨に直接ピン(ネジ)で固定したハローを胸椎装具と金属支柱で連結したものである。頚椎の前後屈および側屈・回旋を強く制限する。環椎や軸椎の骨折など、手術で固定の困難な重篤な骨折で用いられる。
2.× フィラデルフィア・カラーは、下顎から頚部・肩までの固定により前後屈および側屈、回旋を制限するが、固定力は弱く、重さの支持も弱い。頚椎術後、頚髄損傷などで用いられる。急性期頸髄損傷で頸椎に不安定性のある場合には、体位交換などで
3.× 金属支柱付き頸椎装具は、ハローベストほどの完全固定力はない。なぜなら、頭部と胸部を金属支柱で連結する構造により、頸椎の安定性・固定を保つため。
4.× ソフトカラーは、固定力が弱い頸椎装具である。なぜなら、柔らかいウレタン製であり、構造的には保温・軽度の安静保持・心理的安心感を目的とした装具であるため。軽度のむち打ち症(頸椎捻挫)、頸部筋緊張の緩和などで適応になる。
問題20.C5脊髄損傷完全四肢麻痺患者(第5頸髄節まで機能残存)が可能な動作はどれか。
1.座位保持
2.起き上がり動作
3.洗髪動作
4.食事動作
解答4
解説
第5頚髄節の機能残存レベルは、三角筋と上腕二頭筋が残存しており、肩関節運動、肘関節屈伸・回外が可能である。プッシュアップ動作はできないため、平地では車椅子や電動車椅子を使用する。
1.× 座位保持は、体幹ベルトや支持(背もたれ)が必要である。なぜなら、体幹筋の麻痺がみられるため。
2.× 起き上がり動作は、ベッド柵を用いC6レベルで可能である。
3.× 洗髪動作は、C6レベルで可能である。なぜなら、肘関節伸展が必要となるため。洗髪には肩関節挙上・肘関節伸展などの複合動作が必要である。
4.△ 食事動作は、C5脊髄損傷完全四肢麻痺患者(第5頸髄節まで機能残存)が可能な動作である。ただし、自助具(万能カフ)などを用いればならない。正直、選択肢1の座位保持と、優劣をつけがたい問題である(分かる方いらしたらコメント欄にて教えてください)。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)
国試オタク 