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問題46.血流分布不均衡によるショックの原因はどれか。
1.出血
2.心筋梗塞
3.緊張性気胸
4.アナフィラキシー
解答4
解説
ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。
末梢血管抵抗が低下するショックは、①アナフィラキシー、②敗血症性、③神経原性の3つである。それ以外は、循環動態を回復しようと代償作用が働き末梢血管抵抗は増大(血管は収縮)する。
1.× 出血によるショックは、「循環血液量減少性ショック」に該当する。
・循環血液量減少性ショックとは、血管内容量の危機的な減少で起こるショックのことである。 静脈還流(前負荷)が減少すると、心室が充満せず、一回拍出量が減少する。 心拍数の増加によって代償されない限り、心拍出量は減少する。 一般的な原因は出血(出血性ショック)で、通常、外傷、外科手術、消化性潰瘍、食道静脈瘤、大動脈瘤破裂によって起こる。
2.× 心筋梗塞によるショックは、「心原性ショック」に該当する。
・心原性ショックとは、心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全(安静時における組織代謝需要を満たす血流が供給されない状態)が生じ、低酸素、アシドーシス、毛細血管透過性亢進をきたす重篤な病態を指す。全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。他にも、心臓ポンプ機能の異常による心筋収縮力低下のほか、心筋変性や心タンポナーデによる心室拡張不全、頻脈や徐脈などの不整脈で心拍出量が低下するなど、さまざまな病態が原因になる。
3.× 緊張性気胸によるショックは、「閉塞性ショック」に該当する。
・閉塞性ショックとは、心臓は元気で循環血液量も十分あるのに心臓に血液が帰ってこないのが原因でショックとなるものである。原因としては、肺塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸などがあげられ、胸痛、頻呼吸、頻脈、患側の呼吸音低下と胸郭運動低下、低血圧などの症状がみられる。
・緊張性気胸とは、胸壁と肺との間に空気がたまることで胸部への圧力が高まり、心臓に戻る血液が減少することである。症状には、胸痛、息切れ、速い呼吸、心拍数の増加などがあり、ショックに至ることがある。
4.〇 正しい。アナフィラキシーは、血流分布不均衡によるショックの原因である。
・血液分布異常性ショックとは、血流分布不均衡によるショックともいい、血管の特定箇所が何らかの異常により拡張した結果、相対的に循環血液量が減少し、起こるショックである。循環血液量は正常に保たれているのが特徴である。例えば、アナフィラキシーショックである。
・アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。
問題47.生体に対して使用できない消毒薬はどれか。
1.アルコール
2.グルタラール
3.ポビドンヨード
4.クロルヘキシジン
解答2
解説
1.〇 アルコールは、生体に使用可能な消毒薬である。
・イソプロピルアルコールとは、エタノールと同じアルコール類の一種である。エタノールとは異なる点は、飲むことはできないことである。アルコール類は、エタノールやプロパノールがあげられる。消毒用エタノールとは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。
2.× グルタラールは、生体に対して使用できない消毒薬である。
・グルタラールとは、被消毒物の材質に与える影響が少なく、各種器具・機器、内視鏡などの消毒に有用である。しかし、薬液が皮膚に付着した場合、皮膚の着色や発疹、発赤等の過敏症状を起こすことがあり、また、蒸気は眼や呼吸器等の粘膜に対して刺激作用を示すことなどから、その使用には十分な注意が必要である。
3.〇 ポビドンヨードは、生体に使用可能な消毒薬である。
・ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。施設に感染症が流行していない場合は、ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。臍帯断端は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。
4.〇 クロルヘキシジンは、生体に使用可能な消毒薬である。
・クロルヘキシジンとは、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。
問題48.縫合で正しいのはどれか。
1.絹糸は吸収性の糸である。
2.合成糸は組織反応が強い。
3.汚染していても創面はそのまま縫合する。
4.抜糸の時期は成人ではおよそ第7病日である。
解答4
解説
1.× 絹糸は、「吸収性」ではなく非吸収性の糸である。なぜなら、絹糸は、天然素材(タンパク質繊維)であるため。したがって、体内で吸収されず、組織反応を起こしやすい。一方、吸収性縫合糸は、体内に残っても酵素分解や加水分解によって吸収される特徴を持つ。
2.× 合成糸は、組織反応が「弱い(天然素材:絹糸、腸線などに比べて)」。なぜなら、合成高分子材料(ポリグリコール酸、ポリジオキサノンなど)は、生体適合性が高いため。したがって、天然素材(絹糸、腸線など)に比べて炎症反応や感染のリスクが少ない。
3.× 汚染していた場合、創面はそのまま縫合する「ことはしない」。なぜなら、汚染された創をすぐに縫合すると、感染・膿瘍形成・創離開のリスクが高まるため。したがって、まず洗浄・ドレナージを行うのが原則である。
4.〇 正しい。抜糸の時期は、成人ではおよそ第7病日である。なぜなら、皮膚の創傷治癒過程では約1週間で創縁が癒合して張力に耐えられる強度となるため。ただし、部位や年齢によって前後する。
問題49.麻酔で誤っているのはどれか。
1.腰椎麻酔では筋弛緩剤を併用する。
2.腰椎穿刺後の頭痛は体動で悪化する。
3.悪性高熱症では異常高体温が起こる。
4.気管支けいれんは気管挿管時に起こりやすい。
解答1
解説
腰椎穿刺とは、診断・検査のために脳脊髄液を採取するために、脊柱管に針を挿入する医療処置である。腰椎穿刺の主な理由は、脳や脊髄を含む中枢神経系の病気の診断に役立てることである。これらの状態の例には、髄膜炎およびくも膜下出血などがある。
1.× 腰椎麻酔では筋弛緩剤を「併用しない」。なぜなら、腰椎麻酔は局所麻酔により脊髄神経の伝導をブロックするもので、麻酔範囲(通常は臍より下)では自然に筋弛緩が得られるため。
・筋弛緩剤は、全身麻酔に併用する。筋弛緩剤を用い、手術中に患者の体を動かないように固定し、術者が安全に手術を行えるようにする薬として使用する。
2.〇 正しい。腰椎穿刺後の頭痛は体動で悪化する。なぜなら、腰椎穿刺後の頭痛(ほかにも、嘔気や嘔吐など)は、低髄液症候群によるものであるため。腰椎穿刺によって髄液が10%程度減少した場合、頭痛や嘔気・嘔吐といった低髄液症候群に陥る。脳脊髄液の圧力が体位によって変化するため、横になることで軽減することが多い。
3.〇 正しい。悪性高熱症では異常高体温が起こる。
・悪性高熱症とは、通常は脱分極性筋弛緩薬と強力な揮発性の吸入全身麻酔薬の併用に対する代謝亢進反応により生じる体温上昇である。全身麻酔薬の使用中に発症し、急激な体温上昇や異常な高熱・頻脈・筋硬直・ミオグロビン尿などを特徴とする。遺伝性があるため、術前に家族歴や既往を聴取することが重要である。治療としては麻酔の中止、ダントロレン投与、全身冷却などを行う。
4.〇 正しい。気管支けいれんは気管挿管時に起こりやすい。なぜなら、挿管時の刺激により迷走神経反射や気道平滑筋収縮が誘発されるため。したがって、特に喘息患者やアレルギー体質の人では気管支収縮を起こしやすい。
・気管支痙攣は、気管挿管の際に起こりうる合併症のひとつである。気管支の平滑筋が反射的に収縮する可逆的な痙攣で、迷走神経が介在している。揮発性吸入麻酔薬や気管チューブによる刺激が原因で起こる。
問題50.出血で正しい組合せはどれか。
1.内出血:吐血
2.外出血:血胸
3.静脈性出血:鮮紅色
4.動脈性出血:拍動性噴出
解答4
解説
内出血とは、皮膚の下や体内の血管が破れて血液が組織内に漏れ出した状態を指す。
例:脳出血、血胸、腹腔内出血など。
外出血とは、血液が血管から流れ出て体外(皮膚の外や粘膜の表面など)に直接漏れ出す状態を指す。
例:吐血、喀血、鼻出血、外傷による出血など。
1.× 吐血は、「内出血」ではなく外出血に該当する。
・吐血とは、上部消化管からの出血がある。
2.× 血胸は、「外出血」ではなく内出血に該当する。
・血胸とは、肺と胸壁との間に血液がたまることである。ふらつきや息切れ、胸痛を感じたり、皮膚が汗ばみ、青く冷たくなったりする。
3.× 鮮紅色は、「静脈性出血」ではなく動脈性出血に該当する。
・静脈性出血とは、暗赤色の血液が、傷口から持続的にわき出てくる出血(非拍動性)である。
4.〇 正しい。動脈性出血:拍動性噴出
・動脈性出血とは、鮮紅色の血液が、傷口から勢いよく拍動性に噴き出している出血である。
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