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問題66.病的骨折の誘因となる基礎的疾患で誤っているのはどれか。
1.軟骨無形成症
2.骨形成不全症
3.上皮小体機能亢進症
4.骨粗鬆症
解答1
解説
病的骨折とは、骨の病変による強度低下が基盤となって、通常では骨折を起こすとは考えられない軽微な外力で生じる。
1.× 軟骨無形成症は、病的骨折の誘因となる基礎的疾患ではない。なぜなら、軟骨無形成症は、骨質(骨の強度)は正常であるため。
・軟骨無形成症とは、先天異常(常染色体優性遺伝)で、成長軟骨と言われる部分の変化により、低身長や四肢の短さ、指の短さ、特異顔貌が引き起こされる病気である。合併症である肥満、水頭症、閉塞性睡眠時無呼吸、中耳炎、脊柱管狭窄症などの治療または予防が必要になる場合がある。軟骨無形成症の人の平均寿命は健常者の平均寿命より約10年で短いといわれている。
2.〇 骨形成不全症は、病的骨折の誘因となる。
・骨形成不全症とは、易骨折性・進行性の骨変形などの骨脆弱性を示す病状に加え、様々な程度の結合組織の病状を示す先天性の疾患である。具体的な症状として、易骨折性、骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え、成長障害、青色強膜、歯牙(象牙質)形成不全、難聴、関節皮膚の過伸展などがみられる。さらに、脊柱変形による呼吸機能障害、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされることがある。骨折は、乳児期や歩行の不安定な1~2歳ごろと運動をする機会が増える小学生で多いとされている。
3.〇 上皮小体機能亢進症は、病的骨折の誘因となる。なぜなら、副甲状腺ホルモンの過剰分泌により破骨細胞活性が上昇し、骨吸収が過剰になるため。
・上皮小体は、甲状腺の後方に位置し、パラトルモン(上皮小体ホルモン)を分泌する。パラトルモン(上皮小体ホルモン)は、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働き、逆に甲状腺から分泌されるカルシトニンはカルシウム濃度を減少させるように働く。
4.〇 骨粗鬆症は、病的骨折の誘因となる。
・骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。
問題67.直達外力で起こりやすいのはどれか。
1.裂離骨折
2.捻転骨折
3.粉砕骨折
4.嵌入骨折
解答3
解説
1.× 裂離骨折は、介達外力によって起きやすい。
・裂離骨折とは、主にスポーツ活動などによって、筋肉や腱、靭帯がその付着部の骨を持続的或いは瞬間的に引っ張ることで骨が引き裂かれて発生する骨折のことをいう。
・剥離骨折とは、骨の衝突、摩擦が原因で発生する骨折のことをいう。
2.× 捻転骨折は、介達外力によって起きやすい。
・捻転骨折とは、ねじるような力が加わったことが原因の骨折のことである。主に、長管骨(大腿骨や上腕骨など)で起きやすい。捻転骨折の典型的なタイプとして、斜めにねじれた亀裂の入る「螺旋(らせん)骨折」があげられる。
3.〇 正しい。粉砕骨折は、直達外力で起こりやすい。なぜなら、直達外力(直接衝撃)では、外力が局所に集中して粉砕状骨折が起こるため。
・粉砕骨折とは、ばらばらに折れるような折れ方した骨折のことである。開放骨折・粉砕骨折・整復後も離開が生じている骨折では、部位によらず骨癒合は遷延しやすい。
4.× 嵌入骨折は、介達外力によって起きやすい。
・嵌入骨折とは、骨片の端がもう一方の骨へ入り込む骨折である。骨が短くなったように見え、変形治癒に注意が必要である。
問題68.活動性の低い高齢者の下肢骨折に保存的治療を行うとき正しいのはどれか。
1.解剖学的な整復位を得るまで整復を繰り返す。
2.整復位の維持を最優先にして強固な固定を行う。
3.骨癒合が完了するまで固定を継続する。
4.可能な範囲で早期の離床を目指す。
解答4
解説
1.× 解剖学的な整復位を得るまで整復を繰り返す「必要はない」。なぜなら、高齢者では骨質が脆弱であり、繰り返し整復を行うと骨折部がさらに損傷したり、疼痛や合併症を増やす危険があるため。したがって、高齢者の保存療法では、多少の変形があっても日常生活動作に支障がなければ許容される。
2.× 整復位の維持を最優先にして強固な固定を行う「必要はない」。なぜなら、強固な固定により、皮膚トラブルや深部静脈血栓症、筋萎縮などの二次的合併症が起こりやすくなるため。
3.× 骨癒合が完了するまで固定を継続する「必要はない」。なぜなら、高齢者では骨癒合まで長期間を要するため。この長期固定により関節拘縮や廃用萎縮が進行してしまう。
4.〇 正しい。可能な範囲で早期の離床を目指す。なぜなら、早期離床により、固定による二次的合併症(皮膚トラブルや深部静脈血栓症、筋萎縮など)が予防できるため。
問題69.柔道整復師が行う開放性骨折の応急処置で誤っているのはどれか。
1.滅菌ガーゼを厚く重ね創部全体を被覆した。
2.中枢側の動脈を圧迫して止血した。
3.副木を使って患部の動揺を防いだ。
4.露出した骨折端を直ちに創内に戻した。
解答4
解説
開放性骨折とは、骨折した骨の端が皮膚を突き破って露出したりして、骨折部とつながるきずが皮膚にある骨折である。
1.〇 正しい。滅菌ガーゼを厚く重ね創部全体を被覆した。なぜなら、創部からの細菌侵入を防ぎ、感染(骨髄炎など)のリスクを最小限にすることができるため。ただし、創内の洗浄や縫合は行わない(医師の処置領域)。
2.〇 正しい。中枢側の動脈を圧迫して止血した。なぜなら、動脈の圧迫止血(直接圧迫・中枢側圧迫)により、出血・出血性ショックの防止に期待できるため。
3.〇 正しい。副木(シーネ固定)を使って、患部の動揺を防いだ。なぜなら、骨折部が動揺すると、血管・神経・筋肉などの周囲組織が損傷しやすく、出血や痛みも増強するため。
4.× 露出した骨折端を直ちに創内に「戻してはならない」。なぜなら、露出した骨折端は外界と接触して汚染されているため。体内に戻すと感染・骨髄炎を起こす危険が極めて高い。
問題70.弾発性固定で誤っているのはどれか。
1.脱臼関節が一定の肢位をとり固定される。
2.外から力を加えると関節がわずかに動く。
3.弾発性固定がなければ脱臼を否定できる。
4.徒手整復されると消失する。
解答3
解説
弾発性固定とは、脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
1.〇 正しい。脱臼関節が一定の肢位をとり固定される。なぜなら、脱臼により関節面の位置関係が逸脱しているため。
2.〇 正しい。外から力を加えると関節がわずかに動く。なぜなら、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴があるため。
3.× 弾発性固定がなければ脱臼を「否定できる」とはいえない。なぜなら、骨折を伴っている場合、骨折の動揺性が優位になり、弾発性固定が不明瞭になることもあるため。
4.〇 正しい。徒手整復されると消失する。なぜなら、整復により関節面が正常位置に戻れば、関節運動が回復されるためである。
①弾発性固定:脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
②変形:関節が元の位置から逸脱するために、見た目にも変形がみられる。一度脱臼すると、関節の構造が破壊されてしまったり、靭帯や関節包が緩んでしまったりすることで不安定性が残る可能性がある。特に肩関節は、再負傷しやすいといわれている(反復性脱臼)。
国試オタク 