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問題76.鼻骨骨折で誤っているのはどれか。
1.斜鼻型変形が多い。
2.眼窩部に皮下出血が出現する。
3.鼻の変形を残しやすい。
4.鼻出血を伴えば背臥位で安静にする。
解答4
解説
鼻骨骨折とは、スポーツなどで、鼻を硬いものにぶつけてしまった場合など、何らかの衝撃が鼻に加わることで、鼻骨が骨折した状態を指す。鼻骨骨折は顔の外傷の中で、一番多い骨折で、症状として、鼻づまり、においがわからないなどが挙げられる。
1.〇 正しい。斜鼻型変形が多い。なぜなら、鼻骨は顔面の中央部に位置し、正面または側方からの衝撃を受けやすいため。
・斜鼻変形とは、鼻が左右どちらかに曲がって見える状態を指す。外見上のゆがみだけでなく、鼻詰まりや呼吸のしづらさといった機能的な問題を伴う。
2.〇 正しい。眼窩部に皮下出血が出現する。なぜなら、鼻骨と眼窩下縁(眼窩底)は解剖学的に近接しているため。鼻骨骨折により周囲の毛細血管が損傷すると、眼窩下部へ血液が流入し皮下出血を生じることが多い。
3.〇 正しい。鼻の変形を残しやすい。なぜなら、鼻骨は軟骨成分と接しているため。整復のタイミングを逃すと、骨片が変位したまま癒合し、斜鼻や陥没変形が残ることが多い。
4.× 鼻出血を伴えば、「背臥位」ではなく座位(頚部前屈位)で安静にする。なぜなら、背臥位にすると、出血した血液が咽頭・気道に流入し、誤嚥や窒息を引き起こす危険があるため。したがって、鼻出血時は、座位(頚部前屈位)で、鼻翼部を圧迫し止血を行いながら、血液を外に流すことで気道を保つ。
問題77.脱臼または骨折と続発症との組合せで正しいのはどれか。
1.肩関節脱臼:外傷性骨化性筋炎
2.肘関節後方脱臼:上腕二頭筋断裂
3.上腕骨顆上骨折:関節遊離体
4.コーレス(Colles)骨折:長母指伸筋腱断裂
解答4
解説
1.× 外傷性骨化性筋炎は、「肩関節脱臼」ではなく大腿部前面打撲にみられる。
・外傷性骨化性筋炎とは、打撲などの外傷によって、筋肉の中に骨と同じような組織ができてしまう疾患のことである。骨化性筋炎 、骨化性筋炎とも言う。 損傷を受けた筋肉が出血して血腫ができたところに、カルシウムが沈着し、石灰化しておこる。
2.× 上腕二頭筋断裂は、「肘関節後方脱臼」ではなく酷使(ウェイトリフティングなどで起こる)にみられる。
・上腕二頭筋断裂とは、上腕を構成する上腕二頭筋の腱が、肘もしくは肩の位置において切れてしまうことを指す。突然強い力が加わった場合(重い物を持ち上げるなど)や、肘を強く伸ばしたりひねったりすることで起こる。典型的には、このような断裂は酷使(ウェイトリフティングなどで起こる)によって腱がすでに弱くなっている場合に起こる。
3.× 関節遊離体は、「上腕骨顆上骨折」ではなく関節内骨折や離断性骨軟骨炎にみられる。
・関節遊離体とは、関節ねずみともいい、肘や膝などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ち、関節内を動き回る物をいう。ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。
・上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
4.〇 正しい。コーレス(Colles)骨折:長母指伸筋腱断裂
・長母指伸筋腱断裂とは、コーレス骨折後、しばらくして、親指の第一関節をのばす腱(長母指伸筋腱)が切れてしまい、親指が伸ばせなくなる事である。痛みがないことも多く、「モノがつまみにくい」「親指をひっかけてしまう」などの症状を訴える。
問題78.介達外力による上腕骨外科頸骨折でみられる皮下出血斑で正しいのはどれか。
1.受傷直後に出現する。
2.48時間以内に消失する。
3.温罨法が原因である。
4.上腕内側部から前胸部に広がる。
解答4
解説
皮下出血斑とは、皮下出血(内出血)したときに紫色のアザのことである。紫斑病ともいう。内出血が起こるメカニズムは、何かにぶつかるなど外部からの衝撃が身体に加わることにより皮膚や皮下の組織が壊れてしまい出血が身体の内部だけに溜まることで起こる。つまり、原因としては転倒などによる打撲や打ち身、捻挫が多く、ひどい肉離れなどでみられる。
1.× 「受傷直後」ではなく受傷1〜2日後に出現する。なぜなら、皮下出血斑は、血管損傷後、血液が皮下に浸潤し可視化されるまでに時間がかかるため。
2.× 48時間以内に消失する「とはいえない」。完全に消えるまで1〜2週間程度を要する。なぜなら、皮下出血は吸収に時間がかかるため。出血後のヘモグロビン分解過程により、色調が赤紫→青紫→緑→黄と変化して徐々に消退する。
3.× 温罨法が原因である「とはいえない」。ただし、温罨法は循環を促進するため、皮下出血斑が増悪する恐れがある。
4.〇 正しい。上腕内側部から前胸部に広がる。なぜなら、腋窩部周囲の血管(特に上腕動脈の枝)が損傷するため。したがって、出血が重力により皮下を通って上腕内側〜前胸部方向へ浸潤する。
・上腕骨外科頸骨折とは、上腕骨の骨折の中で、特に高齢者に多く発生する骨折の一つであり、骨頭から結節部にかけての太い部分から骨幹部に移行する部位で発生する。受傷機序として、転倒によって手をついて受傷することが多い。特に女性で、骨粗鬆症のある人に多発する傾向である。
問題79.上腕骨顆上伸展型骨折で正しいのはどれか。
1.ファットパッドサインの存在は骨折を疑う。
2.近位骨片は後方に突出する。
3.肘関節前方脱臼と類似外観を呈する。
4.ヒューター三角が乱れる。
解答1
解説
上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
1.〇 正しい。ファットパッドサイン(fat pad sign)の存在は、骨折を疑う。
・ファットパッドサイン(fat pad sign)とは、肘関節の関節包内において、上腕骨顆上骨折からの出血により、周りの脂肪組織がおし広げられ、それがレントゲン像で脂肪組織の透亮像して見えることである。
2.× 近位骨片は、「後方」ではなく前方に突出する。伸展型(約95%)の骨折線は、前方から後上方へ走行し、遠位骨片は近位骨片の後上方へ転位するのが特徴である。一方、屈曲型の骨折線は、後方から前上方へ走行し、遠位骨片は近位骨片の前上方へ転位するのが特徴である。
3.× 肘関節「前方」ではなく後方脱臼と類似外観を呈する。なぜなら、肘関節後方脱臼の外観が類似しているため。肘関節後方脱臼の場合、ヒューター三角の位置関係が乱れるが、上腕骨顆上伸展型骨折の場合は乱れない。
4.× ヒューター三角が乱れるのは、「肘関節後方脱臼」である。なぜなら、上腕骨顆上伸展型骨折は、上腕骨の骨折(尺骨より近位)であるため。
・ヒューター三角とは、肘関節屈曲位で内側上顆・外側上顆・肘頭を結ぶ二等辺三角形のことである。
問題80.骨折と原因との組合せで正しいのはどれか。
1.コーレス(Colles)骨折:前腕遠位の背屈・回外強制
2.スミス(Smith)骨折:前腕遠位の背屈強制
3.掌側バートン(Barton)骨折:前腕遠位の回外強制
4.ショウファー骨折:前腕遠位の尺屈強制
解答1
解説
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
1.〇 正しい。コーレス(Colles)骨折:前腕遠位の背屈・回外強制
・コーレス骨折は、橈骨遠位端部伸展型骨折のことで、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
2.× スミス(Smith)骨折:前腕遠位の「背屈」ではなく掌屈強制
・スミス骨折とは、橈骨遠位端骨折のひとつで、遠位骨片が掌側に転位しているのが特徴である。手首が強制的に掌屈されるとき(手首が手の掌側に曲がる動き)に起こりやすい。通常、受傷直後に痛みや腫れなどの明らかな症状がある。
3.× 掌側バートン(Barton)骨折:前腕遠位の「回外」ではなく掌屈強制
・掌側バートン骨折とは、橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
4.× ショウファー骨折:前腕遠位の「尺屈」ではなく背屈・橈屈強制
・ショーファー骨折とは、橈骨茎状突起骨折のことである。手を伸ばして転倒した時に生じやすい。舟状月状骨間靭帯損傷の合併が多い。
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