この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題56.小人症をきたす疾患で均衡型を特徴とするのはどれか。
1.軟骨無形成症
2.下垂体性小人症
3.モルキオ(Morquio)病
4.先天性脊椎骨端異形成症
解答2
解説
・均衡型とは、全身がバランスよく小さいタイプで、下垂体性小人症(成長ホルモンの欠乏など)にみられる。
・不均衡型とは、体の一部(特に四肢)が短いタイプで、軟骨無形成症、モルキオ病などにみられる。
1.× 軟骨無形成症は、不均衡型小人症である。
・軟骨無形成症とは、先天異常(常染色体優性遺伝)で、成長軟骨と言われる部分の変化により、低身長や四肢の短さ、指の短さ、特異顔貌が引き起こされる病気である。合併症である肥満、水頭症、閉塞性睡眠時無呼吸、中耳炎、脊柱管狭窄症などの治療または予防が必要になる場合がある。軟骨無形成症の人の平均寿命は健常者の平均寿命より約10年で短いといわれている。
2.〇 正しい。下垂体性小人症は、小人症をきたす疾患で均衡型を特徴とする。なぜなら、下垂体性小人症では、成長ホルモン分泌の欠乏により全身の骨・筋の発育が均等に低下するため。したがって、体のバランス(頭・体幹・四肢の比率)は正常のまま小柄になる。
3.× モルキオ(Morquio)病は、不均衡型小人症である。
・Morquio病とは、骨の変形が非常に強く、重症の方は身長も100cm前後となる特徴を持つ。ちなみに、知能は障害されない。幼児期から手足の変形、背骨のゆがみ、短い首と胴、X脚、低身長が観察される。また、背骨が強く変形して扁平になるために胴が短くなる。関節の靱帯が弛緩するために、関節がぐらぐらと不安定となる。
4.× 先天性脊椎骨端異形成症は、不均衡型小人症である。
・先天性脊椎骨端異形成症とは、生まれつき背骨や手足の骨の成長部分(骨端)の発達がうまくいかない病気である。骨の形がいびつになり、背が低くなるが、頭や顔の大きさは普通のため体のバランスが不均衡になる。関節が硬くなったり、背骨が曲がったりすることもあるが、知的な発達には影響しないのが特徴である。
問題57.老人性骨粗鬆症で正しいのはどれか。
1.骨梁は保たれている。
2.血清カルシウム値は減少する。
3.石灰化障害はない。
4.低回転型骨粗鬆症である。
解答3・4
解説
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。
1.× 骨梁は保たれている「とはいえない」。骨梁から形成されるのは、海綿骨である。なぜなら、骨粗鬆症では、骨吸収が骨形成を上回り、海綿骨の骨梁が細く・断続的になるため。
2.× 血清カルシウム値は、「減少」ではなく正常なままである。なぜなら、骨粗鬆症は、骨量の減少が主病態であり、血中カルシウム濃度を一定に保つためにホルモン(副甲状腺ホルモン・ビタミンDなど)が調整しているため。つまり、「骨の中のカルシウム量」は減るが、「血中カルシウム濃度」は正常に維持される。
3.〇 正しい。石灰化障害はない。なぜなら、骨粗鬆症は、骨基質の形成量そのものが減少(骨量の低下)している状態であるため。したがって、形成される骨は正常に石灰化されている。ちなみに、石灰化障害(=骨が形成されてもカルシウムが沈着しない)は、「骨軟化症」や「くる病」に見られる病態である。
4.〇 正しい。低回転型骨粗鬆症である。なぜなら、加齢により骨芽細胞(骨を作る細胞)と破骨細胞(骨を壊す細胞)の両方の活動が低下し、骨代謝回転(リモデリング)全体が低下するため。結果として、新しい骨が作られず、古い骨も十分に置き換えられない。
・低回転型骨粗鬆症とは、骨をつくる細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)の両方の働きが弱まり、骨の新陳代謝が低下して骨がもろくなるタイプの骨粗鬆症である。骨の作り替えがあまり行われないため、古い骨が残って強度が落ちる(例:老人性骨粗鬆症)。
・高回転型骨粗鬆症とは、骨の壊される速度が速いタイプであり、骨の分解が盛んで骨量が減るのが特徴である(例:閉経後骨粗鬆症)。
問題58.疾患と障害部位との組合せで正しいのはどれか。
1.脊髄性小児麻痺:脊髄側索
2.進行性筋ジストロフィ:筋皮神経
3.神経性進行性筋萎縮症:脊髄後索
4.若年性一側性上肢筋萎縮症:脊髄前角細胞
解答4
解説
1.× 脊髄性小児麻痺は、「脊髄側索」ではなく脊髄前角細胞である。脊髄性小児麻痺(=脊髄性筋萎縮症)は、脊髄前角の運動神経細胞が変性・脱落する疾患であり、運動神経由来の筋萎縮を呈する。一方、側索は錐体路(上位運動ニューロン)を通る線維であり、障害されると痙性麻痺が出現する。
2.× 進行性筋ジストロフィは、「筋皮神経」ではなく筋そのもの(筋疾患)である。
・進行性筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性及び壊死を主病変とし、進行性の筋力低下や萎縮をきたす遺伝性疾患である。収縮した骨格筋が弛緩しにくくなる現象(ミオトニア現象)と、全身の筋力低下、筋萎縮を主症状とし、その他にも多彩な症状を呈する疾患である。
3.× 神経性進行性筋萎縮症は、「脊髄後索」ではなく脊髄前角である。
・神経性進行性筋萎縮症とは、脊髄前角にある運動神経細胞の変性がおこり、進行性に筋力低下・筋萎縮を呈する運動神経疾患である。
4.〇 正しい。若年性一側性上肢筋萎縮症:脊髄前角細胞
・若年性一側性上肢筋萎縮症とは、平山病ともいい、頸髄下部(C7〜T1)の前角細胞障害によって起こる。思春期の男子に多く、軽い外傷や成長に伴う頸椎前屈時の脊髄圧迫が、前角細胞に慢性的な虚血性障害を与える。一側の前腕・手筋の筋萎縮と筋力低下を呈する。感覚は保たれる。
問題59.手のPIP関節に屈曲変形がみられるのはどれか。
1.ヘバーデン結節
2.マレットフィンガー
3.ボタン穴変形
4.スワンネック変形
解答3
解説
1.× ヘバーデン結節とは、手指の変形性関節症のひとつで、DIP関節(遠位指節関節)の変形であり、PIP関節ではない。
2.× マレットフィンガーとは、槌指やハンマー指、ベースボールフィンガー、ドロップフィンガーのことである。DIP関節の過屈曲によりDIP関節の伸筋腱の断裂で起こる。DIP関節が曲がったままで痛みや腫れがあり、自動伸展は不能で、自分で伸ばそうと思っても伸びない。しかし、他動伸展は可能である。
3.〇 正しい。ボタン穴変形は、手のPIP関節に屈曲変形がみられる。
・ボタン穴変形とは、DIP過伸展・PIP屈曲する変形である。関節リウマチや正中索の断裂によりボタン穴変形が起こる。
4.× スワンネック変形とは、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節屈曲する変形をいう。関節リウマチなどによっておこる。
問題60.変形性膝関節症の単純エックス線所見でないのはどれか。
1.骨棘形成
2.軟骨下骨嚢腫
3.びまん性骨萎縮
4.関節裂隙狭小化
解答3
解説
1.〇 骨棘形成は、変形性膝関節症にみられる。なぜなら、加齢や力学的負荷によって関節軟骨がすり減り、関節の安定性を保とうとする骨の反応性増殖が起こるため。
・骨棘とは、骨同士の摩擦や変形によって発生する骨のトゲのことである。変形性膝関節症などでよく見られるが、変形性股関節症でもみられる。レントゲンによって判断が可能で、変形性関節症の進行度合いの確認指標となる。
2.〇 軟骨下骨嚢腫は、変形性膝関節症にみられる。なぜなら、軟骨の摩耗によって関節面下の骨が圧迫・損傷され、関節液が骨内に侵入することで、骨内に嚢胞状の空洞が生じるため。
・骨嚢胞とは、骨の内部に嚢胞(分泌物が袋状に貯まる病態)ができる病気である。原因は明らかにされてはいないが、血流が障害され骨が吸収されることで起こるとされている。
3.× びまん性骨萎縮は、変形性膝関節症の単純エックス線所見でない。なぜなら、変形性膝関節症は、炎症ではなく機械的変性疾患であるため。びまん性骨萎縮は、関節リウマチや慢性炎症性疾患に特徴的な所見である。
4.〇 関節裂隙狭小化は、変形性膝関節症にみられる。なぜなら、関節軟骨がすり減ると関節面間の距離が短くなるため。特に、膝関節の場合、内側に荷重がかかり、内側関節裂隙が先に狭くなることが多い(O脚変形、内反膝)。
国試オタク 