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問題66.骨挫傷で正しいのはどれか。
1.高齢者に特有な損傷である。
2.疼痛がないのが特徴である。
3.MRIにより診断が可能である。
4.緻密質に限局した損傷である。
解答3
解説
骨挫傷とは、スポーツによる外傷や交通事故、関節同士がぶつかることなど外部からの衝撃が原因で骨内部に損傷をきたした状態である。不完全骨折までいかず、骨の内出血を起こしている状態である。
1.× 高齢者に特有な損傷「とはいえない」。むしろ、若年・スポーツ外傷などでよく見られる。なぜなら、骨挫傷は骨折に至らない程度の強い打撲や衝撃で骨髄内に微小な出血や浮腫が起こる病態であるため。したがって、スポーツ外傷(膝関節・足関節など)や交通事故などの比較的若い世代の外力性損傷で多い。
2.× 疼痛が「ある」のが特徴である。なぜなら、骨挫傷は、骨の内部(骨髄内)に出血・浮腫が生じるため。したがって、骨膜や周囲組織を刺激して強い痛みや圧痛を起こす。外見上は骨折線がないため軽く見えるが、症状は骨折に近い。
3.〇 正しい。MRIにより診断が可能である。なぜなら、MRI(特にT2強調像やSTIR像)では骨髄内の浮腫・出血が高信号として描出されるため。X線では骨皮質の連続性が保たれており、CTでも微細変化が見えにくい。
4.× 「緻密質(皮質骨)」ではなく海綿骨(骨髄)に限局した損傷である。なぜなら、骨挫傷とは、骨梁レベルの微小損傷や骨髄内出血を指すものであり、骨皮質(緻密質)の連続性は保たれているため。
・骨には、①外側(皮質骨)と②内側(海綿骨)がある。
問題67.小児骨折で正しいのはどれか。
1.解剖学的整復が必要である。
2.捻転転位は自家矯正されやすい。
3.偽関節の発生はまれである。
4.関節拘縮が生じやすい。
解答3
解説
1.× 必ずしも、解剖学的整復が必要である「とはいえない」。なぜなら、小児の骨は成長過程にあり、成長とともに変形が自然に矯正される(自家矯正:リモデリング現象)ため。したがって、多少の転位が残っても機能障害なく治癒することが多い。
・解剖学的整復とは、骨折部をできるだけ元通りのかたちで癒合することである。
2.× 捻転転位は、自家矯正「されにくい」。なぜなら、自家矯正(リモデリング)は、主に成長軸方向に対して起こるものであるため。したがって、骨のねじれ(捻転)や短縮変形は矯正されにくい。
・捻転転位とは、ねじれるように軸回転したものをいう。
3.〇 正しい。偽関節の発生はまれである。なぜなら、小児の骨は骨膜が厚く、骨形成能と血行が非常に豊富であり、骨折治癒能力が高いため。
・偽関節とは、骨折部の癒合不全により異常可動をきたすことである。血流が少なく、骨癒合が起こりにくい部位の骨折が好発部位である。つまり、①大腿骨頸部骨折、②手の舟状骨骨折、③脛骨中下1/3骨折等は偽関節を起こしやすい。
4.× 関節拘縮が「生じにくい」。なぜなら、小児は日常生活活動の中で活動的に生活し、関節可動域が自然と拡大していくため。また、軟部組織の柔軟性が高いため、固定による拘縮が起きにくい。
問題68.骨端成長軟骨板で起こるのはどれか。2つ選べ。
1.リトルリーガー肩
2.上腕骨小頭離断性骨軟骨炎
3.大腿骨頭すべり症
4.腰椎分離症
解答1・3
解説
1.〇 正しい。リトルリーガー肩は、骨端成長軟骨板(上腕骨近位骨端軟骨板)で起こる。
・リトルリーガー肩とは、成長過程にある少年、中学生前後では腕の骨の付け根に骨が伸びるための成長線が残っており、繰り返しの投球による牽引と回旋の力がかかることで、成長線を損傷することをいう。症状は、投球時の肩付近の痛みで発症する。痛みは投げるたびに徐々に強くなり、じっとしていても痛みを感じることがある。肩全体の痛みを訴えることが多いが、診察すると腕の付け根の外側に押すと痛い場所がある。ちなみに、野球肩は、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)など多くが含まれる。
2.× 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は、関節軟骨下骨(骨端)に起こる無腐性壊死である(骨端線そのものの障害ではない)。
・上腕骨小頭離断性骨軟骨炎とは、投球や体重負荷による小頭部への反復外力が、骨端部の虚血性壊死で発症する。
3.〇 正しい。大腿骨頭すべり症は、骨端成長軟骨板(腿骨近位骨端軟骨)で起こる。
・大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。
4.× 腰椎分離症は、関節突起間部の疲労骨折(骨皮質の離断)で起こる。
・腰椎分離症とは、腰部の繰り返しのスポーツ動作によるストレスで起こる関節突起間部の疲労骨折である。日本人男性の約8%にみられ、また成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占める。L5に好発し、腰部から殿部の痛みと圧痛・叩打痛がみられる。椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分が分離した状態のことを指す。歩行時に下肢痛やしびれなどの症状が出現する。また、Kemp徴候(他動的な後側屈による放散痛)がみられる。
問題69.高齢者の骨折の特徴で正しいのはどれか。
1.海綿質の多い部位に好発する。
2.竹節状骨折になりやすい。
3.骨癒合しやすい。
4.骨癒合完了までベッド上で安静にする。
解答1
解説
骨粗鬆症は閉経後の女性に多く、骨の変形や痛み、易骨折性の原因となる。高齢者に多い骨折は①大腿骨頸部骨折、②脊椎圧迫骨折、③橈骨遠位端骨折、④上腕骨頸部骨折などがあり、これらは「高齢者の4大骨折」と呼ばれている。
1.〇 正しい。海綿質の多い部位に好発する。なぜなら、高齢者では加齢や閉経後のエストロゲン低下によって骨吸収が進み、海綿骨(骨梁構造)がスカスカになるため。
・骨には、①外側(皮質骨)と②内側(海綿骨)がある。
2.× 竹節状骨折になりやすいのは、小児の骨折の特徴である。
・竹節状骨折とは、隆起骨折や花托(かたく)骨折とも呼ばれる。長軸の方向に圧迫された場合、部分的に骨が押しつぶされて、骨折した部分が竹の節のように輪状に隆起する骨折である。小児の橈骨遠位端骨折に多く見られる。
3.× 骨癒合しやすいのは、小児の骨折の特徴である。なぜなら、加齢により骨形成能が低下し、骨膜・骨髄の血流が乏しくなるため。
4.× 骨癒合完了までベッド上で安静にする必要はない。早期離床・早期リハビリが原則である。なぜなら、高齢者では長期臥床により廃用症候群・肺炎・深部静脈血栓症・褥瘡などの合併症を起こしやすく、全身状態を悪化させるため。
問題70.骨癒合に不利な条件はどれか。
1.軟部組織損傷が少ない。
2.転位が少ない。
3.細菌感染が認められない。
4.血腫が少ない。
解答4
解説
1.× 軟部組織損傷が少ないことは、骨癒合にはむしろ有利である。なぜなら、骨折治癒には、軟部組織(骨膜・筋肉・血管など)からの血流供給が重要であるため。これらの損傷が軽度であるほど、骨への栄養供給と修復反応が良好に保たれる。
・軟部組織とは、筋肉や脂肪、血管、リンパ管、神経など、体を作る軟らかい組織を指す。臓器や骨組織を除く。
2.× 転位が少ないことは、骨癒合にはむしろ有利である。なぜなら、転位が大きいと仮骨形成の橋渡しが困難になるため。したがって、遅延癒合や偽関節の原因となる。
3.× 細菌感染が認められないことは、骨癒合にはむしろ有利である。なぜなら、感染が起こると炎症や膿瘍形成によって仮骨形成が阻害され、骨組織が壊死(腐骨形成)するため。
4.〇 正しい。血腫が少ないことは、骨癒合に不利な条件である。なぜなら、骨折後に形成される血腫は、修復初期の重要な生理的反応であり、仮骨形成の“足場”となるためである。血腫には、血液中の線維芽細胞や骨芽細胞前駆細胞、成長因子(PDGF、TGF-βなど)が集まり、仮骨形成の一助を担う。
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