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問題26.胸部の打診で鼓音を呈するのはどれか。
1.肺気腫
2.無気肺
3.肺炎
4.胸膜炎
解答1
解説
1.〇 正しい。肺気腫は、胸部の打診で鼓音を呈する。なぜなら、肺気腫は肺胞が破壊され、肺に空気が過剰に溜まった状態となるため。
・肺気腫とは、終末細気管支より末梢の気腔が、肺胞壁の破壊を伴いながら異常に拡大し、明らかな線維化は認められない病変を指す。主な原因は喫煙である。
・鼓音とは、ガスが充満しているとき、例えば、腸管内に大量のガスがあるときに聴こえる。気胸および肺に空洞のある患者の一部に胸部打診をしたとき聞こえる変化した鼓のような音調である。
2.× 無気肺は、濁音が聴かれる。
・濁音とは、打診で聴取される小さく濁った音である。音の振幅が小さく、含気が少ないことを意味する。
・無気肺とは、気管支の閉塞などによって肺内の空気の出入りがなくなり、空気が抜けてしまった状態である。原因としては、肺門部の扁平上皮がんなどの原発性肺がん、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の粘液栓による気道の閉塞や気道異物などがあげられる。
3.× 肺炎は、濁音が聴かれる。
・肺炎とは、肺の炎症によって肺胞に滲出物(炎症によって血管から漏れ出た液体や細胞成分)が溜まっている状態である。
4.× 胸膜炎は、濁音が聴かれる。
・胸膜炎とは、肺を包んでいる膜(胸膜)が炎症を起こす病気である。胸膜は肺と胸の壁の間にあり、呼吸するときに肺が滑らかに動くよう助けている。その膜が炎症でこすれ合うと、胸の痛みや深呼吸での苦しさが出る。原因は感染や他の病気に伴うことが多い。
問題27.マクバーニー圧痛点はどれか。
1.a
2.b
3.c
4.d
解答2
解説
McBurney圧痛点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。
ほかにも、急性虫垂炎には、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。モンロー圧痛点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。
1.× aは、右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右ではなく「左」から3分の1の点となっているため不適切である。
2.〇 正しい。bは、マクバーニー圧痛点である。
・マックバーニー圧痛点とは、右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1の点である。
3~4.× c,dは、左右上前腸骨棘とを結ぶ線となっているため不適切である。
問題28.ウィルヒョウリンパ節転移がみられるのはどれか。
1.腋窩リンパ節
2.左鎖骨上窩リンパ節
3.腸骨リンパ節
4.鼡径リンパ節
解答2
解説
ウィルヒョウ転移とは、消化器癌などが、左鎖骨上窩リンパ節に転移することである。胃癌が代表である。左鎖骨上窩リンパ節は、リンパ管が大静脈に合流する静脈角の近くのリンパ節であり、そこに転移があることは、癌がかなり進行した状態である。
1.3~4.× 腋窩リンパ節/腸骨リンパ節/鼡径リンパ節は、ウィルヒョウリンパ節転移ではない。
・腋窩=乳がん、腸骨=骨盤腫瘍、鼠径=下肢・外陰部腫瘍に関与する。
2.〇 正しい。左鎖骨上窩リンパ節は、ウィルヒョウリンパ節転移の好発部位である。なぜなら、腹部からのリンパ流は、最終的に胸管を通り、左鎖骨下静脈に合流するため。そのため、胃がんをはじめとする腹部悪性腫瘍の転移が、左鎖骨上窩リンパ節に現れる。これをウィルヒョウリンパ節転移(Virchow転移)という。
問題29.異常な呼吸と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.チェーン・ストークス呼吸:気管支喘息
2.クスマウル呼吸:過換気症候群
3.起坐呼吸:うっ血性心不全
4.ビオー呼吸:糖尿病性アシドーシス
解答3
解説
1.× チェーン・ストークス呼吸は、「気管支喘息」ではなく中枢性疾患や心不全に関連する。
・チェーン・ストークス呼吸とは、数十秒間程度の無呼吸が続いた後、外呼吸を再開すると1回換気量が次第に増加し、極大に達すると今度は1回換気量が減少して、再び数十秒間の無呼吸に至るというサイクルが続く、異常な外呼吸の仕方である。呼吸中枢の低酸素症(脳出血、脳梗塞)、動脈血循環の不良、低酸素血症のいずれかが原因となる。
2.× クスマウル呼吸は、「過換気症候群」ではなく代謝性アシドーシス(特に糖尿病性ケトアシドーシス)でみられる。
・過換気症候群とは、器質的障害が認められないのにストレスや緊張、不安などの心理的要因等により発作的に肺胞過換気状態を生じ、呼吸性アルカローンスに基づく臨床症状を呈する病態をいう。1回換気量と呼吸数の増加により分時換気量が増加する。
・クスマウル呼吸とは、異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態である。 運動時にも同様の呼吸がみられることがある。 糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全に伴う尿毒症、昏睡時などに認められる。
3.〇 正しい。起坐呼吸:うっ血性心不全
・うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。
・起坐呼吸とは、呼吸困難が臥位で増強し、起坐位(または半坐位)で軽減することをいう。起坐呼吸は、臥位をとると静脈還流が増え血液が肺にたまりやすくなり呼吸困難が増強するためみられる。
4.× ビオー呼吸は。「糖尿病性アシドーシス」ではなく①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期でみられる。
・ケトアシドーシスとは、脂肪分解亢進によるケトン体の蓄積からアシドーシスが生じ、脱水・意識障害(重症になると昏睡)をきたす。糖尿病では、高度のインスリン作用不足という病態が原因である。
・ビオー呼吸とは、不規則に早く深い呼吸が突然中断され、無呼吸となり、また早く深い呼吸に戻る呼吸である。原因疾患は、①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期に起こる。
(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)
問題30.複合感覚はどれか。
1.触覚
2.位置覚
3.振動覚
4.2点識別覚
解答4
解説
感覚の分類は主に3つに分けられる。
①表在感覚とは、皮触覚・痛覚・温度覚である。
②深部感覚とは、関節覚(位置覚、運動覚)・振動覚・及び深部痛覚である。
③複合感覚とは、立体覚、皮膚書字感覚、二点識別覚、部位覚、重量覚などである。
1.× 触覚は、表在感覚である。
2~3.× 位置覚/振動覚は、深部感覚である。
・深部感覚とは、身体内部の感覚を意味する。固有感覚または自己受容感覚とも呼ばれ、筋受容器からの伸縮の情報により、身体部位の位置の情報が得られる。
4.〇 正しい。2点識別覚は、複合感覚である。
複合感覚とは、二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚である。刺激の局在部位を識別する感覚である。