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問題61.正しい組合せはどれか。
1.仙腸関節炎:変形性関節症
2.カフェオレ斑:神経障害性関節症
3.ブシャール(Bouchard)結節:掌蹠膿疱症性関節炎
4.指伸筋腱皮下断裂:関節リウマチ
解答4
解説
1.× 仙腸関節炎は、「変形性関節症」ではなく、炎症性関節疾患に特徴的である。なぜなら、仙腸関節は可動性が非常に小さい関節であり、変形性関節症(加齢による変性)はみられにくいため。
・変形性関節症とは、軟骨下骨、関節裂隙、関節周囲構造の変化を伴う関節軟骨の異常に関連した疾患である。 手関節症、膝関節症、股関節症など、部位によって臨床症状が異なるが、一般的な症状として、圧痛、筋力低下、骨棘と呼ばれる突起があり、骨に当たってすれることなどがあげられる。
2.× カフェオレ斑は、「神経障害性関節症」ではなく神経線維腫症に特徴的である。
・神経障害性関節症とは、関節の感覚が鈍くなることで、知らないうちに関節を傷めてしまう病気である。痛みを感じにくいため、骨や軟骨が壊れても気づかずに使い続け、関節が変形していく。糖尿病や脊髄の病気、梅毒などで起こることが多い。
・神経線維腫症(レックリングハウゼン病)の主な症状は、カフェオレ斑(皮膚色素沈着)である。カフェオレ斑は楕円形のものが多く、子供では5mm以上、大人では15mm以上もある。重症合併症を有する割合は少ないが、健常人と比べて悪性腫瘍を合併する割合がやや高いと言われている。原因は17番染色体であり遺伝子疾患であるが、患者の半数以上は無症状の両親から生まれている。他の症状としては、脊柱側弯や長管骨の狭細化・弯曲・偽関節である。
3.× ブシャール(Bouchard)結節は、「掌蹠膿疱症性関節炎」ではなく変形性関節症に特徴的である。
・Bouchard(ブシャール)結節は、一次性の変形性関節症である。指の第二関節(PIP関節)が変形する病気である。Heberden結節に合併する場合もある。
・掌蹠膿疱症性関節炎とは、手のひらや足の裏にうみをもった小さな水ぶくれ(膿疱)ができる皮膚の病気に、関節の炎症が加わった状態である。胸の骨と鎖骨のつけ根、背骨、手足の関節などが腫れて痛む。たばこや扁桃腺の炎症が関係することがあり、皮膚と関節の両方に症状が出るのが特徴である。
4.〇 正しい。指伸筋腱皮下断裂は、関節リウマチに特徴的である。
・指伸筋腱皮下断裂とは、その名の通りで(総)指伸筋腱が断裂したことを意味する。特にPIP背側の伸筋腱断裂による変形をボタンホール変形、DIP背側の伸筋腱断裂による変形をスワンネック変形という。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
問題62.膝痛が初発症状となるのはどれか。
1.セーバー(Sever)病
2.ブラント(Blount)病
3.ペルテス(Perthes)病
4.フライパーク(Frelberg)病
解答3
解説
1.× セーバー(Sever)病とは、踵骨骨端部に生じる骨端症である。
2.× ブラント(Blount)病とは、脛骨近位端内側の成長板(骨端線)の成長障害により、脛骨が進行性に内反変形(O脚)する疾患である。放置すると40%程が手術を必要となる。歩行開始後にO脚が進行したり、左右の脚の長さが異なったりすることで気づかれることが多い。
3.〇 正しい。ペルテス(Perthes)病は、膝痛が初発症状となる。なぜなら、実際には太もものつけ根(股関節)の骨の血流が悪くなって壊れる病気であるが、痛みが股関節ではなく膝に伝わる「放散痛」として感じられるためである。
4.× フライパーク(Freiberg)病は、第2中足骨骨頭に生じる。フライバーグ病とは、中足骨頭に阻血性骨壊死が起きる疾患である。骨幹端および成長板の微小外傷によって生じる。阻血性骨壊死により中足骨頭が扁平化する。第2中足骨頭が侵されることが最も多い。痛みは荷重負荷で最も顕著となる。診断はX線により確定する。治療法としては、コルチコステロイド注射、固定、矯正器具などがある。
Perthes病は、小児期における血行障害による大腿骨頭、頚部の阻血性壊死が起こる原因不明の疾患である。骨頭・頚部の変形が生じる。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛や大腿部にみられる関連痛で、股関節の関節可動域制限も生じる。治療は大腿骨頭壊死の修復が主な目標であり、治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。男女比は4:1である。好発年齢は、「6~7歳」である。発生率は1万人に1.5人と言われ、そのうち約10%が両側に発症するが、たいていは片方がなってから2年以内の違う時期に反対側が発症する。
問題63.多発する傾向がない骨腫瘍はどれか。
1.骨軟骨腫
2.内軟骨腫
3.骨巨細胞腫
4.線維性骨異形成症
解答3
解説
「多発」=最初から複数部位にできた腫瘍である。
「単発」=1か所にだけできた腫瘍である。
1.〇 骨軟骨腫は、多発傾向な骨腫瘍である。
・長管骨の骨端部(成長軟骨の近く)に発生する良性腫瘍。
・多発性の場合は「多発性外骨腫症(遺伝性外骨腫症)」と呼ばれる。
・遺伝性の傾向があり、家族性にみられることもある。
2.〇 内軟骨腫は、多発傾向な骨腫瘍である。
・骨の内部に硝子軟骨が形成される良性腫瘍。
・多発すると「Ollier病」または血管腫を合併する「Maffucci症候群」と呼ばれる。
3.× 骨巨細胞腫は、多発する傾向がない骨腫瘍である。
・20〜30歳台、骨端軟骨線が閉鎖した後に発生。
・通常は単発性で、長管骨の骨端部(特に膝周囲)に好発。
・X線では多房性透亮像(石鹸泡状像)を呈する。
・局所浸潤性があり、中間悪性腫瘍(境界悪性)として分類される。
4.〇 線維性骨異形成症は、多発傾向な骨腫瘍である。
・正常骨が線維性組織に置き換わる病変。
・単発型と多発型(ポリオスティックタイプ)があり、多発型では皮膚色素斑や内分泌異常を伴う「McCune-Albright症候群」を呈する。
問題64.ファーレンテスト陽性の際に筋力が低下するのはどれか。
1.深指屈筋
2.長母指屈筋
3.橈側手根屈筋
4.短母指外転筋
解答4
解説
・ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。
・手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。ファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。
・手根管とは、手根骨と屈筋支帯に囲まれたトンネルである。通過するのは、①正中神経、②前腕屈筋群の腱(橈側手根屈筋腱、長母指屈筋腱、浅指屈筋腱、深指屈筋腱)である。
1.× 深指屈筋は手根管症候群で障害されない。なぜなら、深指屈筋は正中神経だけでなく、尺骨神経の支配も受けているため。
2~3.× 長母指屈筋/橈側手根屈筋は、手根管症候群で障害されない。なぜなら、長母指屈筋は正中神経支配であるが、手根管に入る前に分岐するため、手根管症候群の影響を受けない。
4.〇 正しい。短母指外転筋は、ファーレンテスト陽性の際に筋力が低下する。なぜなら、短母指外転筋は正中神経の反回枝(母指球筋枝)によって支配されているため。その結果、母指球筋萎縮と母指外転力低下が起こる。
問題65.10歳の男児。サッカークラブに入っている。2日前からの右膝痛のため来院した。痛みが急激に強くなっているという。右膝に腫脹と熱感がみられ、関節エコー検査で膝関節内に液体貯留がみられた。
考えられないのはどれか。
1.離断性骨軟骨炎
2.オスグッドーシュラッター(Osgood-Schlatter)病
3.前十字靭帯付着部脛骨裂離骨折
4.化膿性関節炎
解答2
解説
・10歳の男児(サッカークラブ)。
・2日前から:右膝痛のため来院。
・痛みが急激に強くなっている。
・右膝に腫脹と熱感がみられる。
・関節エコー検査:膝関節内に液体貯留。
→ほかの選択肢の消去できる理由をあげられるようにしよう。
1.〇 離断性骨軟骨炎は考えられる。
・離断性骨軟骨炎とは、血流が悪くなることによって軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、膝関節の軟骨の一部が骨ごと剥がれてしまう病気である。これを、関節遊離体といい(関節ねずみともいい)、肘や膝などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ち、関節内を動き回る物をいう。これが膝関節内に浮遊すると、嵌頓症状を引き起こす可能性があり、ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。
2.× オスグッドーシユラッター(Osgood-Schlatter)病は、選択肢の中で最も考えられにくい。なぜなら、オスグッド病は脛骨粗面の骨端症であり、慢性的な運動負荷による前膝部痛が特徴である。急性発症の強い疼痛・腫脹・関節水腫を示すことは通常ない。
・Osgood-Schlatter病は、小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男女比(4:3)で男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
3.〇 前十字靭帯付着部脛骨裂離骨折は考えられる。
・前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。
4.〇 化膿性関節炎は考えられる。
・化膿性関節炎とは、関節に細菌が入り込んで感染し、炎症を起こす病気である。 関節に炎症が起こると、その部位が激しく痛み、表面の皮膚が赤くはれあがって熱を持つ。 そのほか、全身に現れる症状として、悪寒や倦怠感、食欲の低下などがある。血液検査で高値を示すのは白血球数とCRPである。
・化膿性関節炎の感染経路は、①血行性感染(最も多い)、②外傷、手術、関節内注射などの直接感染、③骨髄炎、軟部組織感染などの近接病巣からの拡大などがある。 糖尿病や高齢者などの免疫機能が低下した患者に多くみられる。