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問61 ペルテス(Perthes)病で誤っているのはどれか。
1.男児に好発する。
2.関節症の原因となる。
3.股関節の開排制限がみられる。
4.ドレーマン(Drehmann)徴候がみられる。
答え.4
解説
男女比は4:1で、小柄な男児に多く見られる。小児期における血行障害による大腿骨頭・頚部の阻血性壊死(虚血と阻血は同義であり、動脈血量の減少による局所の貧血のこと)が原因で骨頭・頚部の変形が生じる骨端症である。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛(大腿部にみられる関連痛)、股関節の可動域制限である。治療は、大腿骨頭壊死の修復が主な目標である。治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。
1.〇 正しい。男児(男女比は4:1)に好発する。特に、小児期における小柄な男児に多く見られる。
2.〇 正しい。関節症の原因となる。ペルテス病は、発症してから完全に修復が終了するまでは 3〜5年かかる。⼀度つぶれてしまうと、つぶれたままの形で新生骨ができ、変形した骨頭となってしまい、最終的には変形性股関節症となり、大人(30〜50歳ごろに)になってから痛みや歩行障害が生じる。
3.〇 正しい。股関節の開排制限がみられる。なぜなら、ペルテス病の初期症状から、股関節周囲の疼痛(大腿部にみられる関連痛)、股関節の可動域制限(特に外転:開排)がみられるため。
4.× ドレーマン(Drehmann)徴候がみられるのは、大腿骨頭すべり症である。ドレーマン徴候(Drehmann徴候)とは、股関節を他動的に屈曲すると外転・外旋する徴候である。大腿骨頭すべり症でみられる。ちなみに、腸腰筋短縮は、尻上がり徴候やトーマス徴候である。
問62 骨腫瘍と好発部位の組み合わせで誤っているのはどれか。
1.骨肉腫:骨幹端部
2.ユーイング(Ewing)肉腫:骨幹部
3.骨巨細胞腫:骨端部
4.骨軟骨腫:骨幹部
答え.4
解説
1.〇 正しい。骨肉腫は、「骨幹端部」に起こる。骨肉腫とは、原発性悪性骨腫瘍の中で最も多い。10歳代に好発し、大腿骨遠位部と脛骨近位部の骨幹端部に多く発生する。骨Paget(骨ページェット病)などに続発する場合がある(二次性骨肉腫)。肺転移が多いが、5年生存率は近年70%以上にまで改善してきている。
2.〇 正しい。ユーイング(Ewing)肉腫は、「骨幹部」に起こる。ユーイング肉腫とは、主として小児や若年者の骨(特に骨幹部)や軟部組織に発生する肉腫である。粘膜や皮膚などの上皮組織に発生する悪性腫瘍は「がん」といい、骨、軟骨、筋肉や神経などの非上皮組織に発生する悪性腫瘍を「肉腫」と呼ぶ。ユーイング肉腫の症状は、病巣部位の間欠的な痛み(一定の時間を置いて起こる痛み)や腫れが特徴である。
3.〇 正しい。骨巨細胞腫は、「骨端部」に起こる。骨巨細胞腫とは、骨端軟骨線が閉鎖した後の20~30歳台に発生する骨腫瘍である。増殖力が強く骨破壊性の腫瘍で、WHOの分類では中間悪性の腫瘍に位置付けられている。長骨の末端(特に膝近く)に発生する。骨巨細胞腫は潜在的に悪性の骨腫瘍であるため、エックス線で多房性の骨透過像を示すことが多く、膨満性で境界が不明瞭である。
4.× 骨軟骨腫は、「骨幹部」ではなく骨端部に起こる。骨軟骨腫とは、長管骨の成長軟骨周囲(骨端部)に発生する軟骨性の良性骨腫瘍である。骨の外側に向かって隆起性に発育することから外骨腫とも呼ばれる。異所性に成長軟骨様軟骨細胞集団が発生し、成長に伴って成長軟骨と同様に軟骨増殖と軟骨内骨化が起きるため、その先端に軟骨帽とよばれる軟骨組織を有する骨性隆起性病変が生じる。
問63 下腿コンパートメント症候群の症状でないのはどれか。
1.疼痛
2.運動麻痺
3.蒼白
4.皮膚萎縮
答え.4
解説
1.〇 正しい。疼痛/運動麻痺/蒼白は、下腿コンパートメント症候群の症状である。コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢動脈の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
4.× 皮膚萎縮は、下腿コンパートメント症候群の症状でない。皮膚の委縮は、主にステロイドの副作用でみられる。ステロイドを長く塗っていると、皮膚の厚さの大部分を占める膠原線維が減ってくるため、皮膚が萎縮して薄くなる。
問64 外反母趾で正しいのはどれか。
1.第1中足骨が外反している。
2.凹足変形を合併する。
3.母趾は外旋する。
4.女性に多い。
答え.4
解説
外反母趾とは、足の親指(母趾)が小指側に曲がり、「く」の字のように変形することである。
1.× 第1中足骨が外反「していない」。第1MTP関節(母趾中足趾節関節)が外反変形する。一般的に、「第1中足骨が外反」といった表現は用いない。あえてこの表現を使用するならば、外反母趾は、第1中足骨が内側に向かっている状態(つまり内反?)である。
2.× 「凹足変形」ではなく扁平足を合併する。扁平足とは、足関節外反位に加えにアーチの低下などアライメント不良を起こした状態である。したがって、外反扁平足ともよぶ。ちなみに、凹足変形とは、足底の縦アーチが高い状態の変形である。先天性の内反足などで起こやすい。
3.× 母趾は外旋「する」とはいいきれない。母指は、遠位から末節骨、基節骨、中足骨の構造となっている。第1MTP関節(母趾中足趾節関節)が外反変形するため、すべての骨が凱旋するのではなく、基節骨から遠位(第1MTP関節:母趾中足趾節関節)から内旋を伴いやすい。
4.〇 正しい。女性に多い。なぜなら、男性より関節がゆるく、アーチを支える筋力が弱いことが考えられるため。また、ハイヒールや先の細い靴を履くことが要因の一つとされている。
問65 43歳の男性。右下肢の疼痛と脱力を主訴として来院した。3週前に重量物を挙上した際に、いわゆるぎっくり腰になった。右下腿遠位外側から足背に感覚障害を認める。
この患者にみられる所見はどれか。
1.スパーリングテスト陽性
2.膝伸展筋力低下
3.母趾伸展筋力低下
4.膝蓋腱反射低下
答え.3
解説
・43歳の男性(主訴:右下肢の疼痛と脱力)。
・3週前:重量物を挙上した際にぎっくり腰。
・感覚障害:右下腿遠位外側から足背。
→「右下腿遠位外側から足背」にかけ感覚障害がみられることから、どこの神経根が障害されているか判別できるようにしておこう。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
1.× スパーリングテストの陽性は考えにくい。なぜなら、本症例はぎっくり腰で症状も異なるため。Spurlingテスト(スパーリングテスト)は、頚椎の椎間孔圧迫試験である。方法は、頭部を患側に傾斜したまま下方に圧迫を加える。患側上肢に疼痛やしびれを認めれば陽性である。陽性の場合、椎間板ヘルニアや頚椎症による椎間孔狭窄(頚部神経根障害)などが考えられる。
2.4.× 膝伸展筋力低下/膝蓋腱反射低下は、L3‒L4間(支配神経根L4)の症状である。本症例は、L4‒L5間(支配神経根L5)の可能性が高い。
3.〇 正しい。母趾伸展筋力低下は、この患者にみられる所見である。なぜなら、L4‒L5間(支配神経根L5)は、下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下であるため。
ぎっくり腰とは、重い物を持った拍子に突然腰が痛くなり動けなくなってしまうなど、急激に発症した腰痛を指す通称である。正式名称は、急性腰痛症と呼ぶ。様々な説があるが、原因して、①腰の筋肉の肉離れ、②腰椎の関節部分がずれ、③筋肉や靭帯の損傷、④神経や椎間板などがあげられる。