第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午後6~10】

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問6 柔道整復師法第29条に規定されている50万円以下の罰金に処せられる者はどれか。

1.業務の停止命令に違反した者
2.広告の制限に違反した者
3.施術所の開設、休止、再開の届出をしなかった者
4.医師以外の者で無免許で柔道整復を業とした者

答え.4

解説

主な罰金の種類

【1年以下の懲役または50万円以下の罰金】
無免許での施術に関して、違反して、不正の採点をした者
②虚偽、不正の事実に基づいて免許を受けた者。
③秘密保持義務違反な者。
④試験事務又は登録事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員。

【30万円以下の罰金】
①患部への施術の規定に違反した者
広告制限の規定に違反した者
③はり師の消毒の規定に基づく指示に違反した者
業務の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、業務を行ったもの
規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
⑥規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
⑦規定に基づく処分又は命令に違反した者
⑧規定に基づく業務停止の処分に違反した者

(※引用:「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)

1~3.× 業務の停止命令に違反した者/広告の制限に違反した者/施術所の開設、休止、再開の届出をしなかった者は、「30万円」以下の罰金である。

4.〇 正しい。医師以外の者で無免許で柔道整復を業とした者は、柔道整復師法第29条に規定されている50万円以下の罰金に処せられる者である。これは、「無免許での施術に関して、違反して、不正の採点をした者」に該当し、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」となる。

広告の制限

第二十四条(広告の制限) 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
①柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
②施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
③施術日又は施術時間
④その他厚生労働大臣が指定する事項
2 前項第一号及び第二号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

【その他厚生労働大臣が指定する事項】
①ほねつぎ(又は接骨)
②柔道整復師法第十九条第一項前段の規定による届出をした旨
③医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼きゆう又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
④予約に基づく施術の実施
⑤休日又は夜間における施術の実施
⑥出張による施術の実施
⑦駐車設備に関する事項
(※引用:「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

問7 法令において誤っているのはどれか。

1.法律の制定には国会の議決が必要である。
2.柔道整復師法施行規則は政令である。
3.府令は内閣総理大臣(内閣府)が発する。
4.柔道整復師法は公法である。

答え.2

解説
1.〇 正しい。法律の制定には、「国会の議決」が必要である。なぜなら、日本国憲法の第59条に基づき、法律の制定が規定されているため。法律は衆議院・参議院両方の可決によって成立する。

2.× 柔道整復師法施行規則は、「政令」ではなく省令である。法施行規則とは、各省大臣が発する命令(省令)で、国会が定める法律や内閣が定める政令を施行するために必要な具体的な事項が定められている。国家行政組織法第12条第1項で定められている。一般的に、政令とは、憲法・法律を実施するために制定されるルールである(日本国憲法第73条)。行政機関が制定する命令のなかで最上位の効力を有す。一方、省令とは、各省の大臣が制定する命令で、法律や政令を施行するため、または法律や政令の委任に基づいて定めるルールである。

3.〇 正しい。府令は、内閣総理大臣(内閣府)が発する。府令とは、内閣府令ともいい、内閣総理大臣の発する命令である。省令と同格である。

4.〇 正しい。柔道整復師法は、公法である。公法とは、国・地方公共団体同士の関係や、国・地方公共団体と個人との関係を規律する法律のことをいう。例えば、憲法や、刑法、訴訟法などである。 一方、私法とは、個人同士の関係を規律する法律のことをいう。例えば、民法や商法である。

 

 

 

 

 

問8 医療事故調査・支援センターの業務はどれか。

1.医療事故の再発防止に関する普及啓発を行う。
2.患者又は家族からの医療における苦情又は相談に応ずる。
3.住民に対し医療の安全確保に関する必要な情報の提供を行う。
4.病院等の管理者又は従業者に医療の安全に関する研修を実施する。

答え.1

解説
1.〇 正しい。医療事故の再発防止に関する普及啓発を行う。医療事故調査・支援センターとは、医療法第6条の15第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める団体で医療事故調査を実施する機関である。現在、社会問題となっている医療事故の再発防止を目的として、厚生労働省や日本医師会などを中心として、設置に向けた議論が進行している。

2.× 患者又は家族からの医療における苦情又は相談に応ずる。
3.× 住民に対し医療の安全確保に関する必要な情報の提供を行う。
4.× 病院等の管理者又は従業者に医療の安全に関する研修を実施する。
2~4の業務は、「医療安全支援センター」である。医療安全支援センターとは、医療法第6条の13の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区により、日本全国で380箇所以上設置されている医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発などを行う機関である。医療に関する苦情・心配や相談に対応するとともに、医療機関、患者さん・住民に対して、医療安全に関する助言および情報提供等を行っている。

医療事故調査制度とは?

【概要】
・医療事故調査制度は、平成26年6月18日に成立した、医療法の改正に盛り込まれた制度である。制度施行は平成27年10月1日である。医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を、医療法に位置づけ、医療の安全を確保するものである。

 

 

 

 

 

問9 小児疾患における「説明と同意」はどれか。

1.リスボン宣言
2.医療コンプライアンス
3.セカンドオピニオン
4.インフォームド・アセント

答え.4

解説
1.× リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

2.× 医療コンプライアンスとは、医療者からの指示を患者が遵守することを指す。似たような言葉であるが、アドヒアランスは、患者が賛同、つまり能動的に治療を受けることを指す。

3.× セカンドオピニオンとは、診断や治療について、主治医以外の医師の意見を求めることを指す。主治医の意見に不安や悩みを抱えている患者に提案することが多い。

4.〇 正しい。インフォームド・アセントは、小児疾患における「説明と同意」である。インフォームド・アセントとは、小児を対象とした治験を行う際、子どもの理解度に応じてわかりやすく説明し、その内容について被験者である小児自身が納得すること、そして試験に関する同意を得ることをいう。

インフォームド・アセントとインフォームドコンセントの違い

インフォームド・コンセントは、各国の法律や規則の規制を受けるため義務として実施しているが、それに対してインフォームド・アセントは、法規制上の義務が無いにも関わらず、自発的に医師及び治験スタッフが患者に対して治療に関する説明及び同意取得を行うことをいう。

 

 

 

 

 

問10 再免許で再教育研修を受けるのはどれか。

1.保健師
2.柔道整復師
3.理学療法士
4.視能訓練士

答え.1

解説

保健師助産師看護師法とは?

保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。保健師は、再免許で再教育研修を受ける。15条2項には「厚生労働大臣は、処分を受けた保健師、助産師若しくは看護師又は同条第三項の規定により保健師、助産師若しくは看護師に係る再免許を受けようとする者に対し、保健師、助産師若しくは看護師としての倫理の保持又は保健師、助産師若しくは看護師として必要な知識及び技能に関する研修として厚生労働省令で定めるもの(以下「保健師等再教育研修」という。)を受けるよう命ずることができる」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。

2.× 柔道整復師は、再教育研修のシステムはない。再免許に関する事項は、柔道整復師法施行規則の第2条に規定されている。

3.× 理学療法士は、再教育研修のシステムはない。再免許に関する事項は、理学療法士及び作業療法士法施行令第6条,理学療法士及び作業療法士法施行規則第6条に規定されている。理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。

4.× 視能訓練士は、再教育研修のシステムはない。再免許に関する事項は、 視能訓練士法施行令第6条、視能訓練士法施行規則第6条に規定されている。ちなみに、視能訓練士とは、医師の指示のもと、視力や視野などさまざまな視能を検査し、両眼視機能に障がいのある人に対して回復のための矯正訓練を行い、正常な視能へと導く。主な仕事は、視力・視野・色覚・眼球運動などを検査する「眼科検査」と、弱視や斜視患者さんに対して、保有している機能を有効に使えるように訓練を行う「視能矯正訓練」がある。

柔道整復師名簿の登録事項

第2条(名簿の登録事項)
柔道整復師名簿には、次に掲げる事項を登録する。
①登録番号及び登録年月日
②本籍地都道府県名、氏名、生年月日及び性別
③試験合格の年月
④免許の取消し又は業務の停止の処分に関する事項
⑤再免許の場合には、その旨
⑥柔道整復師免許証又は柔道整復師免許証明書を書換え交付し、又は再交付した場合には、その旨並びにその理由及び年月日
⑦登録の消除をした場合には、その旨並びにその理由及び年月日

第3条(名簿の訂正) あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師(以下「施術者」という。)は、前条第二号の登録事項に変更を生じたときは、三十日以内に、名簿の訂正を申請しなければならない。
2 前項の申請をするには、様式第二号による申請書に戸籍の謄本又は抄本(中長期在留者及び特別永住者については住民票の写し(住民基本台帳法第三十条の四十五に規定する国籍等を記載したものに限る。第五条第二項において同じ。)及び前項の申請の事由を証する書類とし、出入国管理及び難民認定法第十九条の三各号に掲げる者については旅券その他の身分を証する書類の写し及び前項の申請の事由を証する書類とする。)を添え、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。
(※引用:「柔道整復師法施行規則」厚生労働省HPより)

 

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