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問題81 外傷と固定方法の組合せで正しいのはどれか。
1.鎖骨骨折:ハンギングキャスト
2.ガレアジ(Galeazzi)骨折:ショートアームキャスト
3.膝内側側副靭帯損傷:シリンダーキャスト
4.脛骨粗面部骨折:PTBキャスト
答え.3
解説
1.× ハンギングキャストは、「鎖骨骨折」ではなくずれのある上腕骨近位端骨折である。
ハンギングキャストは、ずれのある上腕骨近位端骨折に用いられる。脇の下から手部までギブスをまいてその重みで整復する。ちなみに、ずれが無いものは、三角巾固定で行う。
2.× ショートアームキャストは、「Galeazzi骨折」ではなく手根骨骨折(橈骨遠位端骨折)である。
Galeazzi骨折は、橈骨骨幹部の骨折と遠位橈尺関節の脱臼を伴う損傷である。前腕を強く回内して受傷した際に多く見られる。
3.〇 正しい。膝内側側副靭帯損傷は、シリンダーキャストを用いる。
シリンダーキャストとは、膝関節を固定する装具である。
4.× PTBキャストは、「脛骨粗面部骨折」ではなく免荷が必要な下腿骨骨折である。
PTB式免荷装具とは、膝蓋腱部で荷重を受けるソケットであり、下腿義足に対する標準的なソケットである。下腿骨骨折の手術後、部分荷重より開始とならないような重度のケースや、早期より免荷での歩行導入が必要な症例で用いられる。キャストとは、骨折を保存的に治療する際に患部の固定・安静を目的として使用する道具のことをいう。ギプス(正式にはギプス包帯)ともいう。
問題82 棘果長が延長するのはどれか。
1.デュベルニー(Duverney)骨折
2.マルケーニュ(Malgaigne)骨折
3.大腿骨頸部内転型骨折
4.股関節後方脱臼
答え.1
解説
①棘果長:上前腸骨棘から内果まで。
→骨盤の影響を含む。
②転子果長:大転子から外果まで。
→骨盤の影響は含まない。
1.〇 正しい。デュベルニー(Duverney)骨折は、棘果長が延長する。
Duverney骨折とは、腸骨翼単独骨折のことである。腸骨の上部から外側にかけた骨折である。
2.× マルケーニュ(Malgaigne)骨折
Malgaigne骨折とは、骨盤骨折の一形態で、前方骨盤輪骨折と後方骨盤輪骨折が合併した骨折で垂直方向にずれているものである。
3.× 大腿骨頸部内転型骨折
大腿骨頸部内転型骨折において、棘果長は短縮する。なぜなら、棘果長は、上前腸骨棘から内果までの距離で、骨盤の影響を含む大腿骨や下腿の影響を含むため。
4.× 股関節後方脱臼
股関節後方脱臼において、棘果長は短縮する。なぜなら、棘果長は、上前腸骨棘から内果までの距離で、骨盤の影響を含む大腿骨や下腿の影響を含むため。
問題83 大腿骨骨幹部骨折で誤っているのはどれか。
1.介達外力による発生が多い。
2.斜骨折は再転位の傾向が強い。
3.開放性骨折となることがある。
4.ショック、合併症に十分注意する。
答え.1
解説
大腿骨骨幹部とは、大腿骨の真ん中を指す。この部分が骨折した場合に大腿骨骨幹部骨折と呼ぶ。成人は、交通事故や転落などの極めて強い外力の作用により生じる場合(高エネルギー外傷)が多く、ケガをした直後は激しい痛みがあり歩行困難なる。また、高エネルギー外傷でその他の部位(四肢など)の骨折や他の外傷(頭部、胸部、腹部)を伴うことも多く注意が必要である。
1.× 「介達外力」ではなく直達外力による発生が多い。
直達外力とは、打撃や衝突などの外力により加わった力が直接患部に作用することである。一方、介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。
2.〇 正しい。斜骨折は再転位の傾向が強い。
なぜなら、大腿骨骨幹部骨折は、介達外力が作用すると、骨はねじれ、曲がり、引き伸ばされ斜骨折が生じるため。つまり、捻じれなどのストレスは、大腿骨の真ん中にかかりやすい。斜骨折とは、骨の長軸に対して骨折線(骨折部に生じる亀裂)が斜めに入っているものをいう。
3.〇 正しい。開放性骨折となることがある。
なぜなら、大腿骨骨幹部骨折の受傷機転は、特に高エネルギーの外傷(例えば、交通事故や高所からの落下)であるため。ちなみに、開放骨折とは、骨折した骨の端が皮膚を突き破って露出したりして、骨折部とつながるきずが皮膚にあるものをいう。特徴として、出血が多く、そのきずを通じて、感染の発生が高い。
4.〇 正しい。ショック、合併症に十分注意する。
なぜなら、その範囲と重症度から大量の出血を伴う可能性があるため。ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。出血性ショックとは、外傷や、消化管などからの出血によって血液循環量の低下が原因で起こるショックのことである。術後出血が原因となることもある。
問題84 足根骨骨折で正しい組合せはどれか。
1.距骨骨折:リスフラン関節脱臼の合併
2.踵骨骨折:ベーラー角の減少
3.舟状骨骨折:足底の感覚障害
4.立方骨骨折:内側アーチの低下
答え.2
解説
1.× 距骨骨折は、「リスフラン関節」ではなく距腿関節脱臼で起こりやすい。
なぜなら、距骨は、高い所から落ちて足で踏ん張った際などに大きな力が加わり骨折することが多いため。リスフラン関節とは、足根中足関節ともいい、3つの楔状骨(内側・中間・外側楔状骨)—立方骨—中足骨で構成する関節のことである。距骨は、リスフラン関節を構成していない。
2.〇 正しい。踵骨骨折:ベーラー角の減少
ベーラー角(Böhler角)とは、X線足部側面像で踵骨隆起の上端と踵骨の上方頂点を結ぶ線、および、踵骨の上方頂点と前距骨関節面の先端を結ぶ線がなす角のことで、20~30°である。
3.× 足底の感覚障害は、「舟状骨骨折」ではなく足根管症候群で起こりやすい。
舟状骨骨折の症状は、後脛骨筋腱が付着するため、第1~3中足骨からの介達痛、荷重時痛、歩行困難、足関節回内・外制限などをきたす。足根管症候群は、「足背のしびれ」ではなく足底のしびれを生じる。なぜなら、足根管症候群は、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害であるため。
4.× 立方骨骨折は、「内側」ではなく外側アーチの低下が起こりやすい。
内側縦アーチとは、踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨からなる。一方、外側縦アーチは、踵骨・立方骨・第5中足骨からなる。
問題85 反復性肩関節脱臼で正しいのはどれか。
1.上腕二頭筋長頭腱損傷の合併が多い。
2.サルカス徴候が出現する。
3.高齢者に多くみられる。
4.肩甲下筋が障害される。
答え.4
解説
反復性肩関節脱臼とは、一度大きなけがをして肩を脱臼した方が、その後脱臼を繰り返してしまうことである。膝関節も反復性脱臼する可能性はあるが、特に肩関節が最も一般的である。
1.× 「上腕二頭筋長頭腱」ではなく腱板損傷の合併が多い。
腱板とは、肩のインナーマッスルである棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋である。反復性肩関節脱臼の場合、特に肩甲下筋が損傷しやすい。
2.× サルカス徴候が出現「しない」。なぜなら、サルカルサインは、動揺性肩関節の検査であるため。サルカスサインとは、動揺性肩関節などの肩関節不安定性を評価する検査である。肩関節外転外旋位で、上腕骨頭を後方から前方へ押し出すストレスをかけた際の不安感を確認する。ストレスをかけた際に不安感や怖さを感じたら陽性である。
3.× 「高齢者」ではなく青壮年に多くみられる。
好発年齢は15~35歳であり、ほとんどが前方・下方に脱臼する。したがって、重要な支持機構である前下方の軟部組織、例えば、関節唇、同部位の靭帯、関節包が損傷される。
4.〇 正しい。肩甲下筋が障害される。
肩甲下筋の【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面、【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側、【作用】肩関節内旋、【支配神経】肩甲下神経:C5,C6
動揺性肩関節とは、原因が外力や肩関節の軟部組織に異常がないにも関わらず、肩関節に動揺性を認める関節不安定症をいう。若年者や女性、投球やスパイクなどでオーバーアーム動作を行うスポーツ選手に多い。急性期は安静、ストレッチ、痛み止め・湿布の使用、物理療法などを行う。 回復期はリハビリテーション(筋力強化、ストレッチなど)の機能回復を行う。また、リハビリでは再発予防の指導も適宜行う。