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問題86 鎖骨骨折で保存療法が最適となるものはどれか。
1.烏口鎖骨靭帯の断裂したもの
2.楔状骨片の直立したもの
3.粉砕骨折のあるもの
4.小児で上方凸変形のあるもの
答え.4
解説
定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。
【坐位整復法】
・患者:坐位または椅子に腰かけさせる(肘関節90度屈曲位)。
・第1助手:患者の後方に位置して背柱部に膝頭を当てがい両脇に手を入れて両肩を外後方へ引き、短縮転位を取り除く。
・第2助手:患肢の上腕および前腕を把握して上腕と肩甲骨を上外方に持ち上げて下方転位の遠位骨片を近位骨片に近づける。
・術者:術者は前方(やや患側)に位置し、骨折部を前下向へ圧迫し整復する。
1.× 烏口鎖骨靭帯の断裂したものは、手術が適応となる。
なぜなら、烏口鎖骨靭帯は、肩の安定化に重要であるため。肩甲骨を後傾させ、鎖骨を後方回転させる機能があるちなみに、烏口鎖骨靱帯とは、肩甲骨烏口突起の上面と鎖骨外側端の下面とを結ぶ強い靱帯で菱形靱帯と円錐靱帯の2部分よりなる。
2.× 楔状骨片の直立したものは、手術が適応となる。
楔状骨片とは、骨折が発生した際に、その名の通り楔形(くさび形)をした骨片のことをいう。この形状は、骨が不規則に力が加わった結果、骨が三つの断片に分かれる骨折、特に螺旋骨折や楔骨折によく見られる。(※読み:けつじょうこっぺん)
3.× 粉砕骨折のあるものは、手術が適応となる。
粉砕骨折とは、ばらばらに折れるような折れ方した骨折のことである。開放骨折・粉砕骨折・整復後も離開が生じている骨折では、部位によらず骨癒合は遷延しやすい。
4.〇 正しい。小児で上方凸変形のあるものが、鎖骨骨折で保存療法が最適となる。
なぜなら、小児の骨折・変形は、骨折部位の形状を改善する能力(リモデリング)が活発であるため。
問題87 肩甲骨骨折の分類で誤っているのはどれか。
1.頸部骨折
2.関節突起骨折
3.下角骨折
4.関節窩骨折
答え.2
解説
①骨体部骨折
②上・下角骨折
③関節窩骨折
④頸部骨折(解剖頸・外科頸)
⑤肩峰骨折
⑥烏口突起骨折
1.〇 正しい。頸部骨折は、肩甲骨骨折の分類である。
肩甲頚とは、関節窩よりもやや内側でやや細くくびれている部分である。
2.× 関節突起骨折は、肩甲骨骨折の分類ではない。
なぜなら、そもそも肩甲骨には「関節突起」という構造は存在しないため。
3.〇 正しい。下角骨折は、肩甲骨骨折の分類である。
肩甲骨下角部とは、広背筋の肩甲骨部および大円筋の起始部であり、筋体が骨膜に付着する腱組織が豊富な場所である。また、肩関節の運動に伴い刺激を受けやすい部位である。
4.〇 正しい。関節窩骨折は、肩甲骨骨折の分類である。
関節窩とは、関節を構成する、くぼんだ部分のことである。肩甲骨の関節窩は、上腕骨を受け止め、肩甲上腕関節を構成している。
(※図引用:「illustAC様」)
問題88 関節内骨折はどれか。2つ選べ。
1.コーレス(Colles)骨折
2.バートン(Barton)骨折
3.橈骨遠位骨端線離開
4.ショウファー骨折
答え.2・4
解説
関節内骨折とは、骨折が関節の内部にまで及んでいる状態を指す。一方、関節外骨折とは、骨折する際にできる骨折線が関節の内部にない骨折のことである。
1.× コーレス(Colles)骨折は、関節外骨折である。
コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
2.〇 正しい。バートン(Barton)骨折は、関節内骨折である。
Barton骨折(バートン骨折)は、遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
3.× 橈骨遠位骨端線離開は、関節外骨折である。
骨端線離開とは、骨端線骨折ともいい、骨端線閉鎖前の成長期に繰り返し骨端線に負担がかかることで、骨同士が離れてしまう病態のことである。好発年齢は10歳〜15歳と言われる。ちなみに、骨端線とは、成長期に見られる骨を成長させる部分のことで、力学的に弱い部分である。
4.〇 正しい。ショウファー骨折は、関節内骨折である。
chauffeur’s骨折(ショーファー骨折)とは、橈骨茎状突起骨折のことである。手を伸ばして転倒した時に生じやすい。舟状月状骨間靭帯損傷の合併が多い。
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
問題89 直達外力で起こりやすいのはどれか。
1.上腕骨内側上顆骨折
2.橈骨近位端部骨折
3.尺骨骨幹部骨折
4.第1中手骨基部骨折
答え.3
解説
直達外力とは、打撃や衝突などの外力により加わった力が直接患部に作用することである。一方、介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。
1.× 上腕骨内側上顆骨折
上腕骨内側上顆骨折の原因は、肘伸展位で転倒して、肘関節の外反強制を受け、付着する筋腱、靱帯に牽引されて内側上顆が裂離する機序が多い。つまり、転倒により、手をつき前腕を介して生じる(介達外力)。肘関節の脱臼を合併することが多い理由である。
2.× 橈骨近位端部骨折
橈骨近位端部骨折の原因は、転倒時に手をついた際に、前腕を介して生じる(介達外力)。
3.〇 正しい。尺骨骨幹部骨折は、直達外力で起こりやすい。
尺骨骨幹部骨折の原因は、前腕への直接打撃(例:コンタクトスポーツ、転倒、または暴行時の防御行動)によって引き起こされることが多い。
4.× 第1中手骨基部骨折(ベネット骨折)
Bennett骨折(ベネット骨折)とは、第一中手骨基部の関節内骨折で、第一中手骨の脱臼を伴いやすい。母指先端にボールが当たったり喧嘩やボクシングで母指の先端に力が加わった際に起こりやすい。骨棘は、骨折や関節の摩耗により関節周囲の骨が増殖する現象である。
問題90 ベネット(Bennett)骨折で誤っているのはどれか。
1.第1中手指節関節の脱臼骨折である。
2.遠位骨片は橈側に転位する。
3.外観は内転屈曲変形を呈する。
4.母指の内外転運動が不能である。
答え.1
解説
(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
ベネット骨折とは、第一中手骨基部の関節内骨折で、第一中手骨の脱臼を伴いやすい。母指先端にボールが当たったり喧嘩やボクシングで母指の先端に力が加わった際に起こりやすい。骨棘は、骨折や関節の摩耗により関節周囲の骨が増殖する現象である。
1.× 「第1中手指節関節(MP関節)」ではなく手根中手関節(CM関節)の脱臼骨折を伴いやすい。
あくまでも、ベネット骨折とは、第一中手骨基部の関節内骨折である。合併として、第一中手骨の脱臼を伴いやすい。
2.〇 正しい。遠位骨片は橈側に転位する。
なぜなら、長・短母指外転筋の作用によるため。第1中手骨の根本は骨折を起こし、内側部の骨片は取り残される。
3.〇 正しい。外観は内転屈曲変形を呈する。
なぜなら、母指内転筋の作用により、骨片が母指基節骨の内側と後方に転位するため
4.〇 正しい。母指の内外転運動が不能である。
なぜなら、母指内転筋や長・短母指外転筋の動きが制限されるため。