第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午後6~10】

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問題6 食中毒で正しいのはどれか。

1.キノコは食中毒の原因となる。
2.近年の我が国では黄色ブドウ球菌による件数が最も多い。
3.ボツリヌス菌は感染型の食中毒を起こす。
4.食品を低温で保存すれば細菌は死滅する。

答え.1

解説

食中毒とは?

食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気のことである。①微生物(細菌、ウイルス等)によるもの、②化学物質によるもの、③自然毒によるもの及びその他に大別される。なかでも、①微生物(細菌性)の食中毒は、感染型と毒素型に大きく分類される。加熱が有効なのは感染型であり、毒素型に加熱は無効である。

【毒素型】毒素型細菌性食中毒、セレウス、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス

1.〇 正しい。キノコは食中毒の原因となる
キノコ食中毒の原因をキノコ種類別にみると、ツキヨタケ43%、クサウラベニタケ※20%、テングタケ・イボテングタケ7%であり、この3種類の毒キノコで全体の約70%を占めている(※データ引用:「キノコ食中毒」東京都保健医療局様HPより)

2.× 近年の我が国では、「黄色ブドウ球菌」ではなくノロウイルスによる件数が最も多い。
令和元年の食中毒患者数は13,018人で、そのうち6,889人(53%)がノロウイルスによる食中毒である。次いで、カンピロバクターの1,937人(15%)、ウェルシュ菌の1,166人(9%)と続く(※データ引用:「食中毒」厚生労働省HPより)。ちなみに、黄色ブドウ球菌は、毒素型の食中毒の原因となる菌である。黄色ブドウ球菌は、ヒトの皮膚に常在する細菌で弁当や握り飯が主な原因食品となる。潜伏期間は、1~6時間である。症状は、消化器症状(激しい悪心、嘔吐、下痢、腹痛)である。一方、カンピロバクターとは、感染型の食中毒の原因となる菌である。カンピロバクターは、生肉・生乳が主な原因食品であり、鶏、牛、野鳥など多くの動物が保有する細菌である。潜伏期間は、2~7日である。症状は、腹痛を伴う下痢、発熱などである。

3.× ボツリヌス菌は、「感染型」ではなく毒素型の食中毒を起こす。
ボツリヌス菌は、土壌や水などの環境中に生息し、缶詰や瓶詰め真空パック食品で問題となることが多い。潜伏期間は12~36時間で、症状は眼症状、嚥下障害、四肢麻痺、呼吸筋麻痺・死亡などである。

4.× 食品を低温で保存すれば、細菌は死滅するとはかぎらない
低温保存は細菌の増殖を遅らせる効果はあるが、細菌を死滅できない。黄色ブドウ球菌が原因菌として最も疑われる。黄色プドウ球菌は、ヒトの皮膚に常在する細菌で弁当や握り飯が主な原因食品となる。潜伏期間は、1~6時間である。症状は、消化器症状(激しい悪心、嘔吐、下痢、腹痛)である。

 

 

 

 

 

問題7 精神保健で正しいのはどれか。

1.保健所は精神保健福祉センターの指導援助を行う。
2.アルツハイマー型認知症は一般に急激に症状が進行する。
3.自閉症スペクトラムではコミュニケーションの障害がみられる。
4.自傷他害のおそれがあり、患者本人の同意がない場合は任意入院が行われる。

答え.3

解説

精神保健福祉センターとは?

①根拠法令:精神保健福祉法(6条)
②目的:地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進、自立と社会経済活動の促進のための援助等。
③設置基準:都道府県、指定都市
④配置職員:精神科医、精神保健福祉士(精神保健福祉相談員)、臨床心理技術者、保健師等

【業務内容】
①企画立案。
②保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導と技術援助。
③精神保健関係諸機関の職員に対する教育研修。
④精神保健に関する普及啓発。
⑤調査研究。
⑥精神保健福祉相談(複雑または困難なもの)
⑦協力組織の育成。
⑧精神医療審査会に関する事務。
⑨自立支援医療(精神通院医療)の支給認定、精神障害者保健福祉手帳の判定。

(参考:「精神保健福祉センターと保健所」厚生労働省HPより)

1.× 保健所は、精神保健福祉センターの指導援助を行うことはない
精神保健福祉センターの指導援助は、精神保健福祉センター内で行う。精神保健福祉センターは、精神保健福祉法第6条に規定された都道府県(指定都市)の精神保健福祉に関する技術的中核機関である。保健所は、地域保健法第3章に規定された地域保健対策の広域的・専門的・技術的推進のための拠点である。保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。

2.× アルツハイマー型認知症は、一般に「急激」ではなく緩徐に症状が進行する。
数年から数十年にわたり徐々に記憶や認知機能が低下する。アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。

3.〇 正しい。自閉症スペクトラムではコミュニケーションの障害がみられる
自閉症スペクトラムとは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。

4.× 自傷他害のおそれがあり、患者本人の同意がない場合は、「任意入院」ではなく措置入院や緊急措置入院が行われる。措置入院とは、①措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:2人以上の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれがある、④備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る、⑤入院権限:都道府県知事である。また、緊急措置入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する、④備考:入院期間は72時間以内、指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される、⑤入院権限:都道府県知事である。一方、任意入院とは、①患者本人の同意:必要、②精神保健指定医の診察:必要なし、③そのほか:書面による本人意思の確認、④備考:本人の申し出があれば退院可能、⑤精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能、⑥入院権限:精神科病院管理者である。

自閉症スペクトラム障害とは?

自閉症スペクトラム障害とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。

広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。

【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。

入院の形態

①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。

②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者

③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者

④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事

⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事

 

 

 

 

 

問題8 国民医療費で正しいのはどれか。

1.健康診断の費用が含まれる。
2.国民医療費の財源には公費が含まれる。
3.医科診療医療費のうち大部分は入院医療費が占める。
4.人口一人当たりの国民医療費が最も高額な年齢階級は45~64歳である。

答え.2

解説

国民医療費とは?

「国民医療費」とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。

(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)

1.× 健康診断の費用が「含まれない」。
保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)。

2.〇 正しい。国民医療費の財源には公費が含まれる
国民医療費を財源別に見ると、公費は16兆4715億円(構成割合38.9%)、そのうち国庫は10兆8699億円(同25.7%)、地方は5兆6016億円(同13.2%)となっている。ちなみに、公費とは、国家または公共団体の費用のことをさす。

3.× 医科診療医療費のうち大部分は、「入院医療費」ではなく外来医療費が占める。
診療種類別にみると、医科診療医療費は30兆7,813億円(構成割合71.6%)、そのうち入院医療費は16兆3,353億円(同38.0%)、入院外医療費は14兆4,460億円(同33.6%)となっている。また、歯科診療医療費は3兆22億円(同7.0%)、薬局調剤医療費は7兆6,480億円(同17.8%)、入院時食事・生活医療費は7,494億円(同1.7%)、訪問看護医療費は3,254億円(同0.8%)、療養費等は4,602億円(同1.1%)となっている(※引用:「4 診療種類別国民医療費 」厚生労働省HPより)。

4.× 人口一人当たりの国民医療費が最も高額な年齢階級は、「45~64歳」ではなく65歳以上である。
年齢階級別にみると、0~14歳は2兆1,056億円(構成割合4.9%)、15~44歳は5兆129億円(同11.7%)、45~64歳は9兆4,165億円(同21.9%)、65歳以上は26兆4,315億円(同61.5%)となっている。人口一人当たり国民医療費をみると、65歳未満は18万3,500円、65歳以上は73万3,700円となっている。そのうち医科診療医療費では、65歳未満が12万2,300円、65歳以上が54万8,400円となっている。歯科診療医療費では、65歳未満が2万200円、65歳以上が3万2,800円となっている。薬局調剤医療費では、65歳未満が3万5,300円、65歳以上が12万3,900円となっている。(※引用:「5 年齢階級別国民医療費 」厚生労働省HPより)。

令和元年度 国民医療費の概況

国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。
・令和元年度の国民医療費は44兆3,895億円、前年度の43兆3,949億円に比べ9,946億円、2.3%の増加している。
・人口一人当たりの国民医療費は35万1,800円、前年度の34万3,200円に比べ8,600円、2.5%の増加している。
・国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.93%(前年度7.79%)、国民所得(NI)に対する比率は11.06%(同10.79%)している。(※データ引用:「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題9 インフルエンザウイルスで誤っているのはどれか。

1.空気感染する。
2.気道感染症を引き起こす。
3.抗原性が容易に変化する。
4.パンデミックの原因となる。

答え.1

解説

インフルエンザとは?

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38度以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。

1.× 「空気感染」ではなく飛沫感染・接触感染する。
他にはマイコプラズマ、流行性耳下腺炎(ムンプス)などがある。 

2.〇 正しい。気道感染症を引き起こす。
気道感染症とは、外界(大気中)から侵入したウイルスや細菌が上気道に付着し増殖(感染)することにより、鼻汁・鼻閉・咽頭痛などの症状があらわれることである。かぜや上気道炎の原因微生物は、80~90%がウイルスといわれ、主な原因ウイルスは、インフルエンザウイルスのほか、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどである。

3.〇 正しい。抗原性が容易に変化する。
抗原性とは、ある化学構造が、T細胞受容体や抗体のように適応免疫を持つ特定の産物群と特異的に結合する能力である。かつては、抗原性は、現在の免疫原性を指す言葉としてよく使われていて、今でもこの2つは同じ意味で使われることがしばしばある。インフルエンザウイルスは、抗原ドリフト(抗原連続変異)がみられる。

4.〇 正しい。パンデミックの原因となる。
パンデミックとは、「世界的な規模で流行すること」、「症状の全国的・世界的な大流行」、「広い地域に高い罹病率で症状が発生し、大流行すること」を意味するほか、「一国の全体、あるいは世界に、ある疾患が広がること」を意味する。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

問題10 消毒方法で誤っているのはどれか。

1.爪先は手洗いのミスが生じやすい。
2.皮膚の消毒にフタラールを用いる。
3.床の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
4.手指では機械的清拭法と化学的清拭法がある。

答え.2

解説
1.〇 正しい。爪先は手洗いのミスが生じやすい。
また、第一指間腔は、手洗いで最も洗い残しが多い部位である。石けんと流水を用いた手の洗い方として全工程を40~60秒かけて行う。指間腔とは、指と指の間のことをいう。第1指間腔は、母指と示指の間をいう。尺側に行くに従って第2→第3→第4指間腔と呼ぶ。

2.× 皮膚の消毒には、「フタラール」ではなくエタノールやクロルヘキシジングルコン酸塩液を用いる。
結核菌の消毒には、高水準消毒薬(グルタラール、フタラール、過酢酸)のほかに、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨードおよび両性界面活性剤などを用いる。消毒用エタノールは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。クロルヘキシジングルコン酸塩液は、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。

3.〇 正しい。床の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。

4.× 手指は、「化学的清拭法」のみある。
消毒・滅菌の方法として、①物理的方法(機械的清拭法)と②化学的方法(化学的消毒法)がある。①物理的方法(機械的清拭法)とは、消毒剤を染み込ませたガーゼ、タオル、モップなどで器械・器具や環境の表面を拭き取ることにより消毒する方法である。浸漬できない器械・器具や環境に用いられる。②化学的方法(化学的消毒法)とは、消毒剤を用いて病原微生物を殺滅する方法である。消毒剤の効果は、消毒剤の種類と濃度により決まる。消毒の対象が生体か器具・環境か、あるいは、適応部位が皮膚か粘膜かなどにより適切な消毒剤を選択する必要がある。感染予防の基本となるのが「手洗い」である。

手指衛生の5つのタイミング

①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)

(※引用:「WHO手指衛生ガイドライン」矢野邦夫より)

 

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