第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

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問題11 WBGT値を用いて発症を予防するのはどれか。

1.潜函病
2.熱中症
3.騒音性難聴
4.頸肩腕症候群

答え.2

解説

WBGT値とは?

「熱中症予防運動指針」によると、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)が31℃を超える場合は、運動は原則中止と言われている。ちなみに、暑さ指数(WBGT値)とは、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標である。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されているが、その値は気温とは異なる。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標である。

1.× 潜函病(※読み:せんかんびょう)
潜函病とは、スキューバダイビングや潜水作業等に関連して生じる圧力の変動によって引き起こされる健康被害のことを指す。急性減圧症候群や潜水病などとも呼ばれる。発症初期には潜水中に息切れを感じる。重篤化すると、呼吸困難や血圧の低下などを認める。

2.〇 正しい。熱中症は、WBGT値を用いて発症を予防する。
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもある。主な初期症状として、めまい(目眩、眩暈)や立ちくらみ、一時的な失神などがあげられる。

3.× 騒音性難聴
騒音性難聴とは、大きな音が常にしている環境に身を置いている方が発症しやすい難聴である。具体的に、建設現場や道路工事、鉄工所や印刷所、持続的に機械音がしている工場のライン、パチンコ店、ライブハウスなどで働く方、また音楽演奏家やパイロットなどに発症しやすい。

4.× 頸肩腕症候群
頸肩腕症候群とは、神経や血管への圧迫、筋肉への負荷により、首の周囲、肩、腕などに疼痛や痺れを生じる疾患であり、主に同じ姿勢を長時間とったことにより影響で発症することが多い。

(※図引用:「熱中症予防運動指針」JSPO様HPより)

 

 

 

 

 

問題12 感染性廃棄物で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.地方自治体で処理する。
2.一般廃棄物として処理する。
3.マニフェスト伝票形式によって処理をする。
4.病院で血液に汚染されたガーゼが該当する。

答え.3・4

解説
1.× 処理するのは、「地方自治体」ではなく処理業者が行う。
施設内で処分する場合も選択できるが、規模や排泄物の種類によっては都道府県知事の許可が必要である。

2.× 「一般廃棄物」ではなく特別管理廃棄物として処理する。
感染性廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中で特別管理廃棄物に指定されており、通常の一般廃棄物や産業廃棄物に比べ、より管理が厳しくなる。

3.〇 正しい。マニフェスト伝票形式によって処理をする。
産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)とは、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に、定められた事項を記載し交付するものである。これは、産業廃棄物の流れを自ら把握・管理するとともに、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するための仕組みである。

4.〇 正しい。病院で血液に汚染されたガーゼが該当する。
ほかにも、血液や血清、注射器やメス、手術用手袋が感染性廃棄物に該当する。感染性廃棄物とは、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体(感染性病原体)が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物を言い、廃棄物処理法施行令第1条第1項第8号に定める感染性一般廃棄物と、同法施行令第2条の4第1項第4号に定める感染性産業廃棄物を指す。

バイオハザードマークとは?

バイオハザードマークとは、感染性廃棄物を表す全国共通のマークである。専用のポリエチレン袋やテープにプリントされている。

・赤:①内容物(液状、泥状のもの)、②例(血液、体液、血液製剤)、③保管・収納容器(プラスチック容器)
・橙:①内容物(血液や汚染物が付着した固形状のもの)、②例(ガーゼ、紙くず、紙おむつ)、③保管・収納容器(二重のビニール袋)
・黄:①内容物(血液や汚染物が付着した鋭利なもの)、②例(注射器、メス)、③保管・収納容器(プラスチック容器)

 

 

 

 

 

問題13 身体障害者手帳の肢体不自由の重症度で、「一側上肢の著しい機能障害」に該当するのはどれか。

1.1級
2.2級
3.3級
4.4級

答え.3

解説
1.× 1級
①両上肢の機能を全廃したもの
②両上肢を手関節以上で欠くもの

2.× 2級
①両上肢の機能の著しい障害
②両上肢のすべての指を欠くもの
③一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの
④一上肢の機能を全廃したもの

3.〇 正しい。3級は、身体障害者手帳の肢体不自由の重症度で、「一側上肢の著しい機能障害」に該当する。
①両上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの
②両上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの
③一上肢の機能の著しい障害
④一上肢のすべての指を欠くもの
⑤一上肢のすべての指の機能を全廃したもの

4.× 4級
①両上肢のおや指を欠くもの、②両上肢のおや指の機能を全廃したもの、③一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能を全廃したもの、④一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの、⑤一上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの、⑥おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指を欠くもの、⑦おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指の機能を全廃したもの、⑧おや指又はひと
さし指を含めて一上肢の四指の機能の著しい障害

(※参考:「第3 肢体不自由 障害程度等級表」東京都福祉保健局HPより)

 

 

 

 

 

問題14 ADLの評価項目で誤っているのはどれか。

1.バーゼル指数には入浴が含まれる。
2.バーゼル指数にはコミュニケーションが含まれる。
3.機能的自立度評価表(FIM)には階段昇降が含まれる。
4.機能的自立度評価表(FIM)には記憶が含まれる。

答え.2

解説
1.〇 正しい。バーゼル指数には入浴が含まれる。
Barthel Indexは、日常生活動作の評価である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。

2.× バーゼル指数にはコミュニケーションは、「含まれる」のではなく含まれない

3~4.〇 正しい。機能的自立度評価表(FIM)には階段昇降・記憶が含まれる。
機能的自立度評価表(FIM)の評価項目は、セルフケア(食事、整容、清拭、更衣、トイレ)、排泄(排尿、排便)、移乗(ベッド・車いす間、トイレ、浴槽)、移動(歩行、階段)、コミュニケーション(理解、表出)、社会認識(社会的交流、問題解決、記憶)である。

 

 

 

 

 

問題15 知能を評価するのはどれか。

1.ベントン視覚記銘検査
2.ミネソタ多面人格目録
3.ロールシャッハ・テスト
4.内田クレペリン精神検査

答え.1

解説
1.〇 正しい。ベントン視覚記銘検査は、知能を評価する。
ベントン視覚記銘検査は、知能だけでなく、視覚性注意・視覚性記憶・視覚構成能力の評価を目的とする検査である。この検査では、上記のような図版を計10枚被験者に提示し、後にその図形を記憶から描く(再生する)、あるいは図形を模写することを求める。評価は図版の正答数、各図版で生じた誤りの総数(誤認数)で行われる。

2.× ミネソタ多面人格目録
MMPI(Minnesota Multiple Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の質問に対して「あてはまる」「あてはまらない」「どちらでもない」を選択する3件法が用いられている。注意障害は、TMT(trail making test)があげられる。

3.× ロールシャッハ・テスト
Rorschach Test(ロールシャッハ・テスト)は、投影法による性格検査の一つである。10枚の図版を被験者に見せて、どのように見えるか答えさせ、そこから患者の知的側面と人格面を調べる。被験者にインクのしみを見せて何を想像するかを述べてもらい、その言語表現を分析することによって被験者の思考過程やその障害を推定するものである。

4.× 内田クレペリン精神検査
内田クレペリン精神検査は、性格検査・職業適性検査の一種である。被験者に一定時間計算させ続けることで、作業量・集中力・注意力などの作業能力と、性格傾向を知ることができる。

 

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