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問題71 陳旧性骨折となって発見される頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
1.スミス(Smith)骨折
2.舟状骨骨折
3.骨鈎骨鈎骨折
4.第5中手骨頸部骨折
答え.2・3
解説
おおむね一か月以上の時間が経過した骨折のことをいう。
1.× スミス(Smith)骨折
Smith骨折(スミス骨折)は、橈骨遠位端骨折で、遠位骨片が掌側に転位しているのが特徴である。通常、受傷直後に痛みや腫れなどの明らかな症状がある。
2~3.〇 正しい。舟状骨骨折/骨鈎骨鈎骨折は、陳旧性骨折となって発見される頻度が高い。
なぜなら、①著明な炎症症状がみられないこと(我慢できない痛みではないこと)、②レントゲン画像で見逃されやすいことなどがあげられる。
4.× 第5中手骨頸部骨折
第5中手骨頸部骨折は、拳の形成時に衝撃を受けることで発生することが多い骨折である。したがって、ボクサー骨折といわれることもある。第4・5中手骨の頸部に発生しやすい。中手骨の骨折は日常で良く発生し、骨折しても腫れや変形が目立ちにくいという特徴があるが、ほかの選択肢に、より陳旧性骨折となって発見される頻度が高いものがある。
問題72 小児骨折で偽関節になりやすいのはどれか。
1.上腕骨外顆骨折の回転転位
2.橈骨頸部骨折の屈曲転位
3.大腿骨骨幹部骨折の捻転転位
4.腓骨骨幹部骨折の側方転位
答え.1
解説
偽関節とは、骨折部位の癒合がうまくいかず、骨折部が可動性を持つ状態のことである。偽関節が生じやすい部位は、①上腕骨解剖頸、②手の舟状骨、③大腿骨頸部、④脛骨中下1/3、⑤距骨である。ちなみに、開放骨折・粉砕骨折・整復後も離開が生じている骨折では、部位によらず骨癒合は遷延しやすい。
1.〇 正しい。上腕骨外顆骨折の回転転位は、小児骨折で偽関節になりやすい。
なぜなら、上腕骨外顆には手首や手指を動かす筋肉がついているため。これら筋肉の緊張のため、骨折片が回転して、大きくずれることもあり、骨折片が、筋肉に引かれて回転しているので、徒手整復は不可能である。この骨折で初期治療を誤った場合は、骨折部は偽関節となり、その結果、成長と共に肘の変形(外反肘変形)を起こす。
2~4.× 橈骨頸部骨折の屈曲転位/大腿骨骨幹部骨折の捻転転位/腓骨骨幹部骨折の側方転位
これら骨折による転位は、選択肢1よりも偽関節形成のリスクは低い。なぜなら、骨折部位に直接付着している筋肉が少ないため。骨片の転位は複雑かつ大きくならずに済む。
問題73 脱臼の固有症状はどれか。
1.限局性圧痛
2.異常可動性
3.弾発性抵抗
4.機能障害
答え.3
解説
①弾発性固定:脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
②変形:関節が元の位置から逸脱するために、見た目にも変形がみられる。一度脱臼すると、関節の構造が破壊されてしまったり、靭帯や関節包が緩んでしまったりすることで不安定性が残る可能性がある。特に肩関節は、再負傷しやすいといわれている(反復性脱臼)。
1.× 限局性圧痛
限局性圧痛とは、指で痛めた箇所を軽く押すと骨折部位に限局して圧迫痛を感じることをいう。強い痛みを感じたら、骨折または不全骨折(ヒビ)の可能性がある。
2.× 異常可動性
異常可動性とは、骨折部に生じる可動性で正常な状態では生じない動きであり、骨折の固有症状である。
3.〇 正しい。弾発性抵抗は、脱臼の固有症状である。
弾発性抵抗は、脱臼の固有症状の1つである。脱臼した関節に対する他動運動で見られる弾性抵抗のことで、他動的であればある程度は可動であるが、力を弛めると元に戻る。
4.× 機能障害
炎症の4徴候は、発赤、熱感、腫脹、疼痛をいい、そこに「機能障害」を含め、炎症の5大徴候と呼ぶことがある。
問題74 脱臼の合併症はどれか。
1.化膿性骨髄炎
2.阻血性壊死
3.変形治癒
4.関節強直
答え.2
解説
1.× 化膿性骨髄炎
化膿性骨髄炎とは、骨髄を中心に骨皮質や骨膜にも細菌が感染して起こる炎症である。代表的な病原体は黄色ブドウ球菌(MRSAを含みます)であり、その他にもA群溶連菌、B群溶連菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、緑膿菌などがあげられる。
2.〇 正しい。阻血性壊死が脱臼の合併症である。
なぜなら、脱臼は、関節を形成する骨の血流を遮断する可能性があるため。阻血性骨壊死とは、骨壊死または骨梗塞とも呼ばれ、血液供給が阻害されることによりおこる骨組織の壊死である。ペルテス病にも見られる。
3.× 変形治癒
変形治癒とは、骨折した骨が、正常の形態とは異なった形態でくっつく(骨癒合)する場合をいう。交通事故による骨折の場合でもしばしば見受けられる。
4.関節強直
関節強直とは、徒手的には改善困難な関節可動域制限の状態で、関節が破壊されて変形を起こし、機能しなくなった状態である。長期的な炎症や関節損傷によって引き起こされる。
男女比は4:1で、小柄な男児に多く見られる。小児期における血行障害による大腿骨頭・頚部の阻血性壊死(虚血と阻血は同義であり、動脈血量の減少による局所の貧血のこと)が原因で骨頭・頚部の変形が生じる骨端症である。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛(大腿部にみられる関連痛)、股関節の可動域制限である。治療は、大腿骨頭壊死の修復が主な目標である。治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。
問題75 関節を長期間固定することで起こるのはどれか。
1.関節軟骨の栄養障害
2.深部腱反射の亢進
3.筋の阻血性拘縮
4.靭帯の弛緩
答え.1
解説
1.〇 正しい。関節軟骨の栄養障害は、関節を長期間固定することで起こる。
関節軟骨とは、関節の相対する骨端の表面にある厚さ2~4 mmの組織(硝子軟骨)で、血管、神経、リンパ管に乏しいという組織学的特徴がある。つまり、関節軟骨は、関節の動きによって栄養素や酸素が適切に供給される。
2.× 深部腱反射の亢進
深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。ちなみに、腱反射亢進は、上位運動ニューロン障害で起こる。
3.× 筋の阻血性拘縮
阻血性拘縮とは、外傷や骨折などの際に起こる、阻血性の外傷後遺症である。 別名「フォルクマン拘縮」と言う。 小児の上腕骨顆上骨折の合併症として発症することが多い。 骨折やひどい打撲が起こると、腫脹や浮腫により、患部の動脈が強く圧迫される。
4.× 靭帯の弛緩
靭帯の弛緩は、捻挫・脱臼・靱帯損傷などによる関節への外傷よって生じる。