第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後16~20】

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問題16 失語症で正しいのはどれか。

1.純粋語唖は発語面に限定した障害である。
2.純粋語聾では非言語音の理解が不良である。
3.超皮質性運動性失語では復唱が障害される。
4.ジャーゴンはブローカ失語に特徴的である。

答え.1

解説


1.〇 正しい。純粋語唖は発語面に限定した障害である
純粋語唖とは、言語理解、文字言語の理解および表現は正常で、発語面にのみ限定した障害を認めるものをいう。

2.× 純粋語聾では非言語音の理解が、「不良」ではなく良好である。
純粋語聾とは、言語音の聴理解が選択的に障害される状態であり、聴力障害はなく、非言語音の理解は良好であり、自発語、書字、視覚による言語理解能力は保たれるものをさす。

3.× 超皮質性運動性失語では復唱は、障害「されない」。
超皮質性運動性失語は、復唱・言語理解は良好であるが、流暢性に障害をきたす。

4.× ジャーゴンは、「ブローカ失語」ではなくウェルニッケ失語に特徴的である。
ジャーゴンとは、流暢ではあるが、字性錯語や語性錯語、新造語が多くて理解できない話し方をいう。「語性錯語」とは、言葉を言い間違えること(例えば「とけい」を「めがね」と言うように他の単語に言い間違えてしまう)。音韻性錯語(字性錯語)とは、「とけい」を「とてん」「とけん」などと発音を間違えること。新造語とは、存在しない新しい言葉に置き換わること。

 

 

 

 

 

問題17 ボツリヌス毒素治療薬が痙縮に対して主に作用する部位はどれか。

1.軸索
2.脊髄神経節
3.神経筋接合部
4.脊髄前角細胞体

答え.3

解説

ボツリヌス毒素療法とは?

ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。

1.× 軸索
軸索は、神経細胞(ニューロン)の長い突起部分である。 神経の興奮を伝える役目をする。

2.× 脊髄神経節
神経節とは、末梢神経系においてニューロンの細胞体が集合している部位である。

3.〇 正しい。神経筋接合部は、ボツリヌス毒素治療薬が痙縮に対して主に作用する部位である。
神経筋接合部とは、神経の末端が骨格筋組織と交わる部分である。筋肉を収縮させる信号は、神経伝達物質であるアセチルコリンなどの化学物質によって発せられ、この物質が神経の末端(運動神経終板)から筋肉に送られる。

4.× 脊髄前角細胞体
脊髄前角細胞体は、運動神経細胞の細胞体が集まった部位である。脊髄の中にある、筋肉を動かすためにはたらく細胞である。

 

 

 

 

 

問題18 セルフケアに関連したADLを主として訓練する職種はどれか。

1.理学療法士
2.作業療法士
3.医療福祉士
4.介護支援専門員

答え.2

解説
1.× 理学療法士
理学療法士とは、医師の指示のもとに治療体操や運動・マッサージ・電気刺激・温熱などの物理的手段を用いて、運動機能の回復を目的とした治療法・物理療法(理学療法)を行う専門職である。つまり、関節可動域や筋力の向上などが役割である。

2.〇 正しい。作業療法士は、セルフケアに関連したADLを主として訓練する職種である。
作業療法士とは、医師の指示のもとに手工芸・芸術・遊びやスポーツ・日常動作などを行うことにより、障害者の身体運動機能や精神心理機能の改善を目指す治療(作業療法)を行う専門職である。つまり、食事動作等、日常生活動作の回復が役割である。

3.× 医療福祉士
医療福祉士には資格制度がない。医療福祉は、①医療、②保健衛生、③社会保険、④社会福祉及び介護に関するサービスを提供する事業の総称である。したがって、それぞれのサービスを分類すると、職種には、「医療、医療補助系」「検査系」「介護系」「リハビリテーション系」などがあげられる。主に、医療ソーシャルワーカー(MSW)のことをいうことも多く、この職種は、医療機関などにおける福祉の専門職で、病気になった患者や家族を社会福祉の立場からサポートする。

4.× 介護支援専門員
介護支援専門員とは、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。

 

 

 

 

 

問題19 訓練と内容の組み合わせで誤っているのはどれか。

1.スクワット:筋力増強運動
2.緊縛帯訓練:協調運動練習
3.フレンケル体操:関節可動域運動
4.トレッドミル歩行:持久性運動

答え.3

解説
1.〇 正しい。スクワットは、筋力増強運動である。
スクワットは、大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋などの筋肉を鍛えることができる。

2.〇 正しい。緊縛帯訓練は、協調運動練習である。
(弾性)緊縛帯法とは、四肢・体幹を圧迫固定することで運動効果を向上させる手段である。脊髄小脳変性症に対し、運動学習を進め、運動・動作の改善をはかることを目的に利用する。体幹や四肢近位部の筋の筋腹から関節にかけて弾性包帯を巻いて圧迫する。

3.× フレンケル体操は、「関節可動域運動」ではなく協調運動練習である。
Frenkel体操(フランクル体操、フレンケル体操)は、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法であり、脊髄性運動失調などに対して行われる。

4.〇 正しい。トレッドミル歩行は、持久性運動である。
トレッドミルは、流れるベルトの上を歩行するリハビリテーション機器である。 スピードを調整しながら歩行することができるので、患者さまの能力に合わせた歩行練習を行うことができる。

 

 

 

 

 

問題20 プラスチック製短下肢装具で誤っているのはどれか。

1.軽量である。
2.通気性が乏しい。
3.関節角度を制御しやすい。
4.加熱によって形の調整が可能である。

答え.3

解説
1.〇 正しい。軽量である。
プラスチック製の短下肢装具は、金属製の装具(両側支柱型)に比べて軽量である。

2.〇 正しい。通気性が乏しい。
プラスチックは通気性に劣るため、装具の内部が蒸れやすく、皮膚トラブルの原因となることがある。

3.× 関節角度を「制御しやすい」のではなく制御しにくい
なぜなら、プラスチックであるため、力によってたるみやすいため。一方、金属製の装具(両側支柱型)は、力によってたるみにくく変形しにくい。したがって強い痙縮がみられている場合に適応となる。

4.〇 正しい。加熱によって形の調整が可能である。
プラスチックは、適切な温度で加熱することで、患者の足にフィットするように形状を変更することができる。

 

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