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問題31 正しい組み合わせはどれか。
1.顔面痛覚-顔面神経
2.振動覚-脊髄後索
3.小指痛覚-正中神経
4.2点識別覚-前頭葉
解答2
解説
(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)
1.× 顔面痛覚は、「顔面神経」ではなく三叉神経を伝える。顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。ちなみに、三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。
2.〇 正しい。脊髄後索は、振動覚:深部感覚(振動覚、位置覚)を伝える。伝導路は、【後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野】である。
3.× 小指痛覚は、「正中神経」ではなく尺骨神経に関与する。正中神経とは、腕神経叢を出たのち上腕骨に沿って走り、前腕では橈骨と尺骨の間を走り、手根管をくぐりぬけて、主に手の親指側に分布する。支配する感覚の領域は手のひら側の親指から薬指の半分とその下の手のひら、手背側では親指から薬指の半分の指先である。正中神経麻痺で、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
4.× 2点識別覚は、「前頭葉」ではなく頭頂葉(体性感覚)に関与する。複合感覚とは、二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚である。刺激の局在部位を識別する感覚である。ちなみに、前頭葉の障害は、発動性・意欲・創造性・判断力の低下、注意障害、脱抑制、易怒性、病識の欠如などが起こる。
問題32 食道癌の危険因子でないのはどれか。
1.喫煙
2.ノロウイルス感染
3.アルコール摂取
4.熱い食物の摂取
解答2
解説
食道癌は食道に発生した上皮性腫瘍のことである。組織学的に約90%が扁平上皮癌である。好発部位は、胸部中部食道、胸部下部食道の順で、胸部中部食道が約50%を占める。アルコール、喫煙、熱い食事、Barret食道、アカラシアなどが誘因である。
1.3~4.〇 喫煙/アルコール摂取/熱い食物の摂取は、食道癌の危険因子である。原因は、アルコール、喫煙、熱い食事、Barrett食道、アカラシアなどである。アカラシアとは、食道が狭窄する疾患である。有害物質が食道の粘膜を傷つけ、発癌リスクを高めると考えられている。
2.× ノロウイルス感染は、食道癌の危険因子でない。ノロウイルスは、主に急性胃腸炎を引き起こすウイルスである。
ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。
【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。
(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)
問題33 ウイルス性肝炎で正しいのはどれか。
1.A型肝炎の60~70%は慢性化する。
2.HBe抗原陽性は感染性が弱い。
3.HBs抗体陽性はB型肝炎の既往を示す。
4.C型肝炎は慢性化することはない。
解答3
解説
ウイルス性肝炎とは、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気である。A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染する。中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなる。
1.× A型肝炎の「60~70%」ではなく1%以下は慢性化する。慢性化しやすいのは、C型肝炎である。A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
2.× HBe抗原陽性は、感染性が「弱い」のではなく強い。
~B型肝炎ウイルス検査について~
①HBs抗体:陽性であれば過去に感染し、その後、治癒したことを示す。HBVワクチンを接種した場合にも陽性となる。
②HBc抗体:陽性であればHBVに感染したことを示す。(HBVワクチン接種の場合は陽性にはならない。)
③HBc-IgM抗体:最近HBVに感染したことを示す。
④HBe抗原:陽性であれば一般にHBVの増殖力が強いことを示す。
⑤HBe抗体:陽性であれば一般にHBVの増殖力が低下していることを示す。
⑥HBV-DNA:血液中のHBVのウイルス量を測定する。
3.〇 正しい。HBs抗体陽性はB型肝炎の既往を示す。HBs抗体:陽性であれば過去に感染し、その後、治癒したことを示す。HBVワクチンを接種した場合にも陽性となる。
4.× C型肝炎は慢性化「することはない」のではなくしやすい。C型肝炎ウイルスに感染すると、約70~85%の人が慢性肝炎となり、肝硬変に発展する。C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。そのほか、妊娠中の母親から胎児への感染や性行為による感染もあるが、感染する確率は低いと考えられている。
問題34 気管支喘息で正しいのはどれか。
1.喘息発作は日中に多い。
2.気道感染は発作を誘発する。
3.吸気性の呼吸困難がみられる。
4.重症発作では伏臥位姿勢をとる。
解答2
解説
気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなっていくが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。
【症状】
喘鳴、呼吸困難、呼気延長など(1秒率の低下)、アレルギー反応やウイルス感染が誘引となる。
【治療】気道の炎症を抑えて、発作が起きない状態にする。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなるため治療が難しくなる。そのため、日頃から気道の炎症を抑える治療を行い、喘息をコントロールすることが重要である。
1.× 喘息発作は、「日中」ではなく夜や朝に多い。なぜなら、夜は副交感神経が優位になり、気道が狭くなるため。また、朝は、冷え込みによって、敏感になった気道に布団によるホコリやハウスダストなどで反応して喘息発作が起こる。
2.〇 正しい。気道感染は発作を誘発する。なぜなら、気道感染が気道の炎症を悪化させ、発作を引き起こすため。喘息発作の原因は、風邪、運動、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)、たばこ、気温や気圧の変化など、さまざまな刺激によって起こる。したがって、こうした刺激をできるだけ避けることが、発作の予防につながる。
3.× 「吸気性」ではなく呼気性の呼吸困難がみられる。なぜなら、気道が狭くなるため。したがって、息を吐くのが難しくなり、呼気時に喘鳴(ゼーゼー音)が聞こえる。
4.× 重症発作では、「腹臥位」ではなく起座位姿勢をとる。なぜなら、起座位は、横隔膜が下がり、臥位の状態で腹部臓器による横隔膜への圧迫が避けられるため。したがって、呼吸面積が広がり、肺の伸展がスムーズになり、呼吸がしやすくなる。ちなみに、起座位とは、上半身をほぽ90度に起こした状態で、呼吸困難を軽減する目的で用いる体位である。
問題35 急性心筋梗塞の合併症で誤っているのはどれか。
1.心室中隔穿孔
2.心室細動
3.心肥大
4.心不全
解答3
解説
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。ちなみに、労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
心筋梗塞の合併症は、①不整脈、②心不全、③心原性ショック、④機能的合併症(心破裂・心室中隔穿孔・乳頭筋断裂)、⑤血栓塞栓症、⑥心膜炎などである。24時間以内には、①不整脈、②心不全、③心原性ショックが起こりやすい。その後2週間までは、乳頭筋断裂、心破裂、心室中隔穿孔に注意を要する。
1.〇 心室中隔穿孔は、急性心筋梗塞の合併症である。心室中隔穿孔とは、心筋梗塞のため右室と左室の間の筋肉が壊死し穴が開くことによって左心室と右心室の交通ができ、心機能がさらに悪化する病気である。心不全症状から多臓器不全に陥ることが多い。24時間以内に起こりやすく、左冠動脈前下行枝の閉塞で起こることが多い。
2.〇 心室細動は、急性心筋梗塞の合併症である。心室細動とは、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
3.× 心肥大は、急性心筋梗塞の合併症ではない。心肥大とは、心臓の筋肉(心筋)が厚くなることである。心肥大の主な原因は高血圧である。高血圧によって全身へ血液を送り出すのに心臓に過度な負担がかかるようになり、負担増により心筋が厚くなり心肥大を引き起こす。
4.〇 心不全は、急性心筋梗塞の合併症である。心不全とは、組織が必要とする循環血液量を心臓が拍出できない病態である。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。
うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態である。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。BNPが 100pg/mL以上であることが診断基準である。