第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

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問題11 WBGTの測定に必要でないのはどれか。

1.感覚温度
2.乾球温度
3.黒球温度
4.湿球温度

解答

解説

WBGT値とは?

「熱中症予防運動指針」によると、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)が31℃を超える場合は、運動は原則中止と言われている。ちなみに、暑さ指数(WBGT値)とは、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標である。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されているが、その値は気温とは異なる。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標である。

1.× 感覚温度は、WBGTの測定に必要でない。
・感覚温度は、人間の体感が感じる暑さや寒さを示す指標である。個人の体調、着衣、活動レベルなど、主観的な要素や複雑な生理学的反応が絡み合って形成される。

2.〇 乾球温度は、WBGTの測定に必要である。乾球温度とは、一般的な温度計で測定される「気温」のことである。

3.〇 黒球温度は、WBGTの測定に必要である。黒球温度とは、黒色の球体の内部に温度計を入れ、太陽からの日射や地面からの輻射熱(放射熱)の影響を測定するものである。

4.〇 湿球温度は、WBGTの測定に必要である。湿球温度とは、水で湿らせたガーゼで覆った温度計で測定される温度で、空気中の湿度の影響を反映できる。

 

 

 

 

 

問題12 閉鎖性水域での富栄養化をもたらすのはどれか。2つ選べ。

1.塩素
2.酸素
3.窒素
4.リン

解答3・4

解説

富栄養化とは?

富栄養化とは、湖沼や内湾などの閉鎖性水域において、窒素やリンなどの栄養塩類が過剰に供給されることにより、植物プランクトン(藻類)が異常に増殖する現象を指す。これにより、水中の酸素濃度が低下したり、悪臭が発生したりするなど、水質が悪化する。

1.× 塩素は、閉鎖性水域の富栄養化を直接もたらす物質ではない。むしろ、塩素は、主に殺菌や消毒のために使用される化学物質である。例えば、水道水の消毒やプールの殺菌などに用いられる。

2.× 酸素は、閉鎖性水域の富栄養化を直接もたらす物質ではない。むしろ、富栄養化が進行すると水中の酸素濃度が低下する。例えば、富栄養化によって植物プランクトンが大量に増殖し、それらが死滅して分解される際に、分解者である微生物が水中の酸素を大量に消費する。このため、水中の酸素濃度が極端に低下し、魚類などが生息できなくなる。

3.〇 正しい。窒素は、閉鎖性水域での富栄養化をもたらす。なぜなら、窒素は、植物プランクトンが成長するために不可欠な三大栄養素(窒素、リン、カリウム)の一つであるため。農業排水(肥料由来)、生活排水(し尿や洗剤)、工場排水などから水域に流入し、植物プランクトンの過剰な増殖を促す。

4.〇 正しい。リンは、閉鎖性水域での富栄養化をもたらす。なぜなら、リンは、植物プランクトンが成長するために不可欠な三大栄養素(窒素、リン、カリウム)の一つであるため。

 

 

 

 

 

問題13 「健康および障害」を評価するWHODAS2.0で、6つの領域に含まれるのはどれか。

1.疼痛
2.筋力
3.日常活動
4.自然環境

解答

解説

WHODAS 2.0とは?

WHODAS 2.0とは、世界保健機関(WHO)が開発した、健康状態に関連する「障害」を評価するための包括的なツールである。国際生活機能分類(ICF)の概念に基づいており、単に疾病の有無だけでなく、生活機能の困難さを多角的に評価することを目的としている。

【6つの領域】①理解とコミュニケーション、②移動、③セルフケア、④他者との交流、⑤日常生活(家事, 学業/職業)、⑥社会参加

1~2.× 疼痛/筋力は、WHODAS 2.0の6つの領域に直接含まれていない
なぜなら、「身体機能・構造」の側面が強い項目であるため。

3.〇 正しい。日常活動は、「健康および障害」を評価するWHODAS2.0で、6つの領域に含まれる。具体的には「家庭の責任(家事など)」、「レジャー活動」、「仕事や学校での活動」といった項目が含まれる。

4.× 自然環境は、WHODAS 2.0の6つの領域に直接含まれていない
なぜなら、「環境」の側面が強い項目であるため。

 

 

 

 

 

問題14 CTではやや低吸収域、MRI拡散強調画像では鮮明な高信号城として描出される脳病巣はどれか。

1.新しい脳出血
2.古い脳出血
3.新しい脳梗塞
4.古い脳梗塞

解答

解説

核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

拡散強調像(DWT):超急性期(発症後1~3時間)
②FLAIR像:発症後3~6時頃
③T2強調像:発症後3~6時頃
④T1強調像の順である。

1.× 新しい脳出血は、CTでは出血した血液が原因で高吸収域として描出される。
・CT検査とは、脳内の腫瘍や出血などの異常の有無や程度が分かる。出血部位(急性)は高吸収域(白)としてうつる。エックス線を使用した撮影である。

2.4.× 古い脳出血/古い脳梗塞は、CT・MRI拡散強調画像ともに「不鮮明」な低信号域として描出される。なぜなら、古い脳出血は、時間の経過とともに血腫が吸収され、周囲の脳組織が壊死・変性することで、出血部位が脳脊髄液に近くなるため。

3.〇 正しい。新しい脳梗塞は、CTではやや低吸収域、MRI拡散強調画像では鮮明な高信号城として描出される脳病巣である。
・CTでは壊死した脳組織が周囲よりX線を吸収しにくくなるため、やや低吸収域として描出される。
・MRIの拡散強調画像(DWI)は、細胞レベルでの水分子の拡散運動の変化を捉える画像であり、新しい脳梗塞では細胞がむくんで水分子の動きが制限されるため、鮮明な高信号域として描出される。

MRI検査とは?

核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

【MRI検査の禁忌】
①体内の電子電機部品(ペースメーカ、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動器、神経刺激器、植込み型プログラマブル注入ポンプ):MRI対応型もあるためしっかり確認する。
②素材の確認できない脳動脈クリップ:MRI対応型もあるためしっかり確認する。
③目や脳など特定の重要臓器に迷入した鉄片などの強磁性体の破片
④眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
⑤磁場によって活性化するもの(磁力で装着する義眼、磁石部分が脱着不能な義歯など)
⑥目のメークアップ用品、カラーコンタクト
⑦入れ墨
⑧補聴器
⑨いくつかの管腔内デバイス
⑩ニトログリセリン真皮浸透絆創膏

 

 

 

 

 

問題15 自発語は非流暢だが、言語理解と復唱が良好なのはどれか。

1.ブローカ失語
2.ウェルニッケ失語
3.超皮質性運動性失語
4.超皮質性感覚性失語

解答

解説


1.× ブローカ失語とは、①復唱困難、②言語理解良好、③非流暢を特徴として言語障害である。

2.× ウェルニッケ失語とは、①復唱困難、②言語理解不良、③非流暢を特徴とした言語障害である。感覚性失語ともいう。話し方は滑らかであるが、言い間違いが多かったり、言葉が支離滅裂になったりして、自分の言いたいことが思うように伝えられなくなってしまうという特徴がある。

3.〇 正しい。超皮質性運動性失語は、自発語は非流暢だが、言語理解と復唱が良好である(※上図参照)。

4.× 超皮質性感覚性失語とは、自発語が流暢で、理解は障害され、復唱は良好な失語である。超皮質性感覚性失語は、感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)から概念中枢の経路が障害されることで起こる。

 

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