第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午後121~122】

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問題121 75歳の女性。BMIは35である。8年前から両膝の痛みを自覚していたが、痛みが増悪してきたため来所した。両膝に発赤、腫脹、熱感はないが、荷重で痛みが増悪し、屈曲・伸展の制限がみられる。
 後療法で誤っているのはどれか。

1.揉捏法
2.温熱療法
3.深屈曲運動
4.大腿四頭筋訓練

解答

解説

本症例のポイント

・75歳の女性(BMI:35)。
・8年前から両膝の痛みを自覚。
・痛みが増悪してきた。
・両膝に発赤、腫脹、熱感はない
荷重で痛みが増悪し、屈曲・伸展の制限がみられる。
→本症例は、変形性膝関節症が疑われる。変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。

1.〇 正しい。揉捏法は、変形性膝関節症に対する後療法である。揉捏法は、膝関節周囲の筋(特に、大腿四頭筋)の緊張を緩和し、血行を促進することで、痛みの軽減や関節の可動域改善が期待できる。

2.〇 正しい。温熱療法は、変形性膝関節症に対する後療法である。温熱療法(ホットパック、温浴など)は、患部の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果がある。

3.× 深屈曲運動は、本症例の後療法ではない。むしろ、変形性膝関節症における深屈曲運動は、関節に過度な痛みを引き起こし、病態を悪化させる可能性がある。なぜなら、変形性膝関節症では、関節軟骨の摩耗や骨棘形成が進んでいることが多く、骨棘同士が衝突するため。また、関節の変形が進んでいる場合もあり、深屈曲が構造的に困難であることも多い。

4.〇 正しい。大腿四頭筋訓練は、変形性膝関節症に対する後療法である。なぜなら、大腿四頭筋は、膝関節の安定化に寄与するため。大腿四頭筋を強化することで、膝関節への負担を軽減し、膝の動揺性を減らし、痛みの軽減が期待できる。

 

 

 

 

 

問題122 19歳の男性。大学で野球部に所属している。入部後練習量が増え、ランニング後にアキレス腱部の痛みが生じるようになったため来所した。長軸超音波画像を下に示す。
 正しい画像所見はどれか。

1.骨棘がみられる。
2.腱の肥厚がみられる。
3.異所性骨化がみられる。
4.腱内に血腫がみられる。

解答

解説

本症例のポイント

・19歳の男性(野球部)。
・入部後練習量が増え、ランニング後にアキレス腱部の痛みが生じる。
・長軸超音波画像:アキレス腱の肥厚がみられる。
→本症例は、アキレス腱炎が疑われる。アキレス腱炎とは、その名の通り、アキレス腱が延焼している状態である。スポーツや日常生活など様々な動作が原因となる。

1.× 骨棘は、「みられない」。骨棘とは、骨同士の摩擦や変形によって発生する骨のトゲのことである。変形性膝関節症や変形性股関節症などでよく見られる。レントゲンによって判断が可能で、変形性関節症の進行度合いの確認指標となる。

2.〇 正しい。腱の肥厚がみられる。健側(右側)のアキレス腱と比較して、患側(左側)のアキレス腱が全体的に厚くなっている(肥厚している)。これは、アキレス腱炎の典型的な所見であり、炎症や変性によって腱が浮腫を起こし、肥厚する病態を示す。

3.× 異所性骨化は、「みられない」。異所性骨化とは、本来骨組織が存在しない部位、すなわち筋・筋膜・靱帯・関節包などに異常に骨形成が起こる現象である。骨梁構造を認める点が石灰化との違いである。 好発部位は骨盤・股関節(最も多い)・膝関節(2位)・肩関節(4位)・肘関節(3位)などである。脊髄損傷受傷後1~6か月くらいに発症することが多い。

4.× 腱内に血腫は、「みられない」。血腫がみられる場合、外傷などによる出血が原因で、腱内部に液体貯留として描出される。超音波画像では、内部に無エコーから低エコーの領域として見られることが多い。

 

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