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問題96 股関節屈曲位拘縮で陽性となるのはどれか。2つ選べ。
1.エリーテスト
2.ヒップテスト
3.トーマステスト
4.パトリックテスト
解答1・3
解説
1.〇 正しい。エリーテストは、股関節屈曲位拘縮で陽性となる。
・Elyテスト(エリーテスト)は、大腿直筋の短縮のテストである。短縮していた場合、腹臥位で膝関節を最大屈曲した際に、股関節が屈曲し、殿部が持ち上がる(尻上がり現象)。
2.× ヒップテスト(Hibb’s Test)は、仙腸関節の異常を検査する。腹臥位にて膝関節90度屈曲位にて、股関節を内旋する。このとき、仙腸関節に痛みが発生すれば異常を意味する。
3.〇 正しい。トーマステストは、股関節屈曲位拘縮で陽性となる。
・トーマステストは、背臥位で股関節・膝関節を屈曲する。反対側の膝が持ち上がると陽性である。
4.× パトリックテスト(Patrickテスト)は、股関節の炎症や痛みのテストである。背臥位で評価側の足背を反対側の膝蓋骨に載せ、評価側の膝を床へ押さえる。鼠径部に痛みが出れば陽性である。
問題97 ハムストリングスの肉離れが生じる肢位はどれか。
1.膝関節伸展、股関節屈曲
2.膝関節伸展、股関節伸展
3.膝関節屈曲、股関節屈曲
4.膝関節屈曲、股関節伸展
解答1
解説
肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
1.〇 正しい。膝関節伸展、股関節屈曲は、ハムストリングスの肉離れが生じる肢位である。なぜなら、ハムストリングス(膝関節屈曲、股関節伸展)に伸張ストレスがかかるため。
・ハムストリングスとは、3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指す。
①大腿二頭筋
【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展、外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部
②半膜様筋
【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部
③半腱様筋
【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部
2.× 膝関節伸展、股関節伸展
3.× 膝関節屈曲、股関節屈曲
4.× 膝関節屈曲、股関節伸展
これらより、ハムストリングスの肉離れが生じる肢位がほかにある。(赤文字は、ハムストリングスの作用つまり、短縮するほうこうであるため。)
問題98 障害が起こりやすいのはどれか。
1.膝蓋上滑膜ヒダ
2.膝蓋下滑膜ヒダ
3.膝蓋内側滑膜ヒダ
4.膝蓋外側滑膜ヒダ
解答3
解説
1.× 膝蓋上滑膜ヒダ
2.× 膝蓋下滑膜ヒダ
4.× 膝蓋外側滑膜ヒダ
これらより、障害が起こりやすい部位が他にある。
3.〇 正しい。膝蓋内側滑膜ヒダは、障害が起こりやすい。滑膜ヒダとは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側顆との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼ぶ。
問題99 下腿の前方区画症候群で正しいのはどれか。
1.長腓骨筋が障害される。
2.足趾の底屈で疼痛が増強する。
3.足背外側の感覚が障害される。
4.RICE処置のうち圧迫が有効である。
解答2
解説
コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢動脈の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
①前方コンパートメント症候群:前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋
②外側コンパートメント症候群:長・短腓骨筋
③浅後方コンパートメント症候群:腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋
④深後方コンパートメント症候群:後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋
1.× 長腓骨筋が障害されるのは、外側コンパートメント症候群である。
下腿の前方区画症候群は、前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋である。
2.〇 正しい。足趾の底屈で疼痛が増強する。なぜなら、足趾の底屈により、前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋に伸長ストレスが加わるため。炎症や腫脹がある状態での伸長ストレスは、これら筋内の圧力がさらに上昇し、疼痛が増強する。
3.× 足背外側の感覚が障害されるのは、外側コンパートメント症候群である。
総腓骨神経麻痺により足背外側の感覚が障害されやすい。長・短腓骨筋が支配神経である。
4.× RICE処置のうち、「圧迫」ではなく安静が有効である。なぜなら、区画症候群は、すでに区画内の内圧が異常に上昇している状態であるため。したがって、この状態でさらに外部から圧迫を加えると、内圧がより高まり、筋肉や神経、血管への血流障害を悪化させ、重篤な組織壊死につながる危険性がある。
RICE処置とは、①安静(Rest)、②冷却(Ice)、③圧迫(Compression)、③挙上(Elevation)することで、これらの頭文字をとったものである。
問題100 第5中足骨骨折で偽関節が生じやすいのはどれか。
1.基部
2.骨幹部近位
3.骨幹部遠位
4.骨頭部
解答2
解説
偽関節とは、骨折部の癒合不全により異常可動をきたすことである。血流が少なく、骨癒合が起こりにくい部位の骨折が好発部位である。つまり、①大腿骨頸部骨折、②手の舟状骨骨折、③脛骨中下1/3骨折等は偽関節を起こしやすい。
1.× 基部とは、下駄骨折とも呼び、昔下駄を履いたときに足を捻り発生しやすかったため起こっていた。下駄での発症以外では転倒や段差の踏み外し等が原因で起こる。第5中足骨基底部には、短腓骨筋が付着しているため、足を捻った際に筋肉の収縮力により裂離骨折が起こる。
2.〇 正しい。骨幹部近位は、偽関節が生じやすい。なぜなら、骨への血流が乏しいため。遷延治癒・偽関節が生じやすく、完全骨折に至っている場合には手術療法が推奨される。ジョーンズ(Jones)骨折ともいい、疲労骨折が起きやすい。サッカー、バスケットボール、ラグビーなど素早い動きを繰り返して行うスポーツの競技選手によく発生する。ランニングやジャンプ動作による過度の体重負荷が、長時間、足部アーチに繰り返し加わることで発生するオーバーユースに起因するスポーツ障害である。
3~4.× 骨幹部遠位/骨頭部は、比較的血行が豊富で、治癒しやすい傾向にある。ただし、関節内骨折となる場合が多く、関節面の不整や変形性関節症などの合併症のリスクがある。