第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午後36~40】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題36 出血傾向がみられないのはどれか。

1.血友病
2.鉄欠乏性貧血
3.再生不良性貧血
4.特発性血小板減少性紫斑病

解答

解説
1.× 血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。

2.〇 正しい。鉄欠乏性貧血は、出血傾向がみられない。鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。

3.× 再生不良性貧血とは、骨髄の造血幹細胞の減少と、それによる末梢血の汎血球減少を主徴とする症候群で、骨髄で血液が造られないために血液中 の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気である。白血球(Tリンパ球)の働きが何らかの原因で異常をきたし、自分自身の造血幹細胞を攻撃して壊してしまうことが原因と考えられている。

4.× 特発性血小板減少性紫斑病とは、血液中の血小板が減少することにより出血しやすくなる病気である。原因は不明であるが、体の中の免疫反応が過剰になり、自分の血小板を攻撃してしまうために、血小板が減少するといわれている。

 

 

 

 

 

問題37 巨赤芽球性貧血の原因になるのはどれか。

1.胃全摘出術
2.胆嚢摘出術
3.虫垂切除術
4.結腸切除術

解答

解説

巨赤芽球性貧血とは?

巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。

1.〇 正しい。胃全摘出術は、巨赤芽球性貧血の原因になる。なぜなら、ビタミンB12は食物中に含まれ、から分泌される内因子と結合することで、小腸の末端(回腸末端)で吸収されるため。胃をすべて切除すると、内因子が全く分泌されなくなるため、食事から十分なビタミンB12を摂取していても、体内に吸収することができなくなる。

2.× 胆嚢摘出術は、巨赤芽球性貧血の原因となりにくい。胆嚢とは、胆汁を貯蔵し、必要に応じて腸に放出する役割を持つ臓器である。肝臓の右葉の下に位置し、長さは10cm、幅は4cm程度で、50〜60mlの胆汁を貯えることができる。

3.× 虫垂切除術は、巨赤芽球性貧血の原因となりにくい。虫垂とは、盲腸からしっぽのように出ている部分をいう。役割として、腸内細菌叢のバランスを維持する働きがあるとの研究もあるが、特別な機能がないため、切除しても問題ないことが多い。

4.× 結腸切除術は、巨赤芽球性貧血の原因となりにくい。大腸は、①結腸と②直腸に分かれ、①結腸とは、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に区別される。結腸は、主に水分と電解質の吸収、便の形成・貯留に関与する。

 

 

 

 

 

問題38 2型糖尿病の治療で合併症予防のためのHbA1cの目標値はどれか。

1.6.0%未満
2.6.5%未満
3.7.0%未満
4.8.0%未満

解答

解説

ヘモグロビンA1cとは?

ヘモグロビンA1cとは、ヘモグロビンのアミノ基とブドウ糖が結合したもので過去1~2ヶ月程度の血糖の高さを反映する検査である。HbA1c:6.5%以上は、糖尿病の診断基準である。続発性脂質異常症の分類である高トリグリセライド血症の③糖尿病に該当する。

(※引用:「2章 糖尿病治療の目標と指針」糖尿病診療ガイドライン2024より

1.× 6.0%未満は、血糖正常化を目指す際の目標である。

2.× 6.5%未満は、糖尿病の診断基準である。

3.〇 正しい。7.0%未満は、2型糖尿病の治療で合併症予防のためのHbA1cの目標値である。

4.× 8.0%未満は、治療強化が困難な際の目標である。

 

 

 

 

 

問題39 関節リウマチで正しいのはどれか。

1.腰痛をきたす。
2.骨棘形成がみられる。
3.遠位指節関節に好発する。
4.朝方に関節のこわばりが強い。

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× 腰痛をきたす。
これは、変形性脊椎症や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などでみられる。

2.× 骨棘形成がみられる。
これは、変形性関節症で特徴的に見られる骨の増殖性変化である。骨棘とは、骨同士の摩擦や変形によって発生する骨のトゲのことである。変形性膝関節症や変形性股関節症などでよく見られる。レントゲンによって判断が可能で、変形性関節症の進行度合いの確認指標となる。

3.× 遠位指節関節に好発する。
関節リウマチの手指変形は、PIPやMP関節が一般的である。手指の変形性関節症は、大きく2種類あり、①DIP関節の変形(ヘバーデン結節)と、②PIP関節の変形(ブシャール結節)がある。これらの関節と親指の付け根がこわばり、ときに痛みを伴うことがある。一般的に手首・MP関節、手掌の関節は侵されない。治療としては、①関節可動域を改善する訓練を温水中で行う(運動中の痛みを軽減しできるだけ関節を柔軟にしておくため)、②安静にする、③間欠的に副子で固定して変形を予防する、④鎮痛薬や非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いて痛みや腫れを軽減するなどがあげられる。

4.〇 正しい。朝方に関節のこわばりが強い。なぜなら、寝ている間に手足にリウマチの炎症物質や関節液がたまってしまうからと言われているため。

 

 

 

 

 

問題40 全身性エリテマトーデスで誤っているのはどれか。

1.高熱をきたす。
2.顔面の紅斑がみられる。
3.臓器障害は腎臓に多い。
4.60代の女性に好発する。

解答

解説

1.〇 高熱をきたす
2.〇 顔面の紅斑がみられる
3.〇 臓器障害は腎臓に多い。ループス腎炎とは、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎障害(糸球体障害)である。
・全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の蝶形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。診断基準として、顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍、抗核抗体陽性など4項目以上満たすと全身性エリテマトーデス(SLE)を疑う。

4.× 「60代」ではなく10~30歳代の女性に好発する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)