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問題41 デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィー患者が歩行不能となる年齢はどれか。
1.3歳
2.10歳
3.20歲
4.30歳
解答2
解説
Duchenne型筋ジストロフィーとは、幼児期から始まる筋力低下・動揺性歩行・登攀性歩行・仮性肥大を特徴とするX連鎖劣性遺伝病である。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。
1.× 3歳頃は、歩き方が不安定(動揺歩行)になったり、粗大運動の異常が見られる。
2.〇 正しい。10歳は、デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィー患者が歩行不能となる。小学校高学年になる頃(10歳頃)は、歩くのが非常に困難になり、車椅子を使うようになることが多い。
3.× 20歲頃は、人工呼吸器を必要としたり、心臓の機能低下(心筋症)が進行したりしている状態が多い。
4.× 30歳頃は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の平均寿命とされている。
問題42 日本神経救急学会の熱中症新分類(1998年)でⅡ度に分類されるのはどれか。
1.頭痛
2.筋肉痛
3.めまい
4.けいれん発作
解答1
解説
1.〇 正しい。頭痛は、Ⅱ度に分類される。
2~3.× 筋肉痛/めまいは、Ⅰ度に分類される。
4.× けいれん発作は、Ⅲ度に分類される。
問題43 梅毒で正しいのはどれか。
1.扁平コンジローマは口腔周囲に好発する。
2.硬性下疳は無治療でも自然消退する。
3.バラ疹は晩期梅毒の症状である。
4.母親から垂直感染はしない。
解答2
解説
梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じて死に至ることもある。
【臨床的特徴】
Ⅰ期梅毒:感染後3~6週間の潜伏期の後に、感染局所に初期硬結や硬性下疳、無痛性の鼠径部リンパ節腫脹がみられる。
Ⅱ期梅毒:感染後3か月を経過すると皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなどの特有な発疹が見られる。
経過晩期:感染後3年以上を経過すると顕症梅毒としてゴム腫、梅毒によると考えられる心血管症状、神経症状、眼症状などが認められることがある。なお、感染していても臨床症状が認められないものもある。先天梅毒は、梅毒に罹患している母体から出生した児で、①胎内感染を示す検査所見のある症例、②Ⅱ期梅毒疹、骨軟骨炎など早期先天梅毒の症状を呈する症例、③乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にHutchinson3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson歯)などの晩期先天梅毒の症状を呈する症例がある。また、妊婦における梅毒感染は、先天梅毒のみならず、流産及び死産のリスクとなる。(※一部引用:「梅毒」厚生労働省HPより)
1.× 扁平コンジローマは、「口腔周囲」ではなく肛門周囲や外陰部、陰嚢、陰唇などの湿潤しやすい間擦部位に好発する。扁平コンジローマとは、梅毒の第2期に見られる症状の一つで、肛門や陰部などの皮膚に平らなイボができる病気である。
2.〇 正しい。硬性下疳は無治療でも自然消退する。しかし、これは治癒したわけではなく、病原菌が体内に残ったまま、病気は次の段階(第2期)へと進行する。
・硬性下疳とは、潰瘍を伴うしこりのことである(※読み:こうせいげかん)。硬性下疳は、初期梅毒の症状であり、自然に消えることが多い。その後、適切な抗生物質治療を受けなければ、感染は進行し、後期の合併症(皮膚、骨、神経などに影響を与える)を引き起こす。
3.× バラ疹は、「晩期」ではなく第2期梅毒の症状である。
・バラ疹とは、全身(特に体幹、手掌、足底)に現れる、痛みやかゆみのない淡い赤色の発疹のことである。
4.× 母親から垂直感染「もする」。なぜなら、梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が原因で、妊娠中に母体の血液から胎盤を通じて胎児に感染するため。これにより、胎児に先天性梅毒を引き起こし、重篤な健康障害(発育不全、奇形、神経障害など)や流産、死産のリスクがある。
・水平感染とは、感染源から周囲に伝播する様式であり、①接触感染、②飛沫感染、③空気感染などがある。
・垂直感染とは、一般的に母子感染とも呼び、何らかの微生物(細菌、ウイルスなど)がお母さんから赤ちゃんに感染することである。妊娠前から元々その微生物を持っているお母さん(キャリアと言います)もいれば、妊娠中に感染するお母さんもいます。「母子感染」には、赤ちゃんがお腹の中で感染する胎内感染、分娩が始まって産道を通る時に感染する産道感染、母乳感染の3つがあります。
問題44 40歳の男性。40.3℃の発熱、強い呼吸困難、右胸の痛みと咳を訴えて来院した。5日前から感冒症状があり、発熱とのどの痛み、咳、痰が続いている。尿検査で肺炎球菌抗原陽性であった。
低値を示すのはどれか。
1.赤沈
2.呼吸数
3.末梢血好中球数
4.血中酸素飽和度
解答4
解説
・40歳の男性。
・40.3℃の発熱、強い呼吸困難、右胸の痛みと咳。
・5日前:感冒症状があり、発熱とのどの痛み、咳、痰が続いている。
・尿検査:肺炎球菌抗原陽性。
→本症例は、肺炎球菌性肺炎が疑われる。ちなみに、肺炎球菌性肺炎とは、肺炎球菌という細菌が原因で起こる肺の感染症である。高熱、咳、息切れなどの症状があり、特に高齢者や免疫力が低下している人は重症化しやすい。ワクチンによる予防が可能である。
1.× 赤沈(赤血球沈降速度)は、本症例(肺炎球菌性肺炎)において高値となる。
・赤沈(赤血球沈降速度)は、炎症反応の指標として、CRPと共に用いられる。赤沈が亢進する病態としては、炎症性疾患・悪性腫瘍・貧血・心筋梗塞・肝硬変・膠原病などが挙げられる。一方、赤沈が低下する病態は少なく、多血症、DIC(播種性血管内凝固症候群)などを疑う。
2.× 呼吸数は、本症例(肺炎球菌性肺炎)において高値となる。なぜなら、肺の機能が低下するため。肺機能低下により、体内に十分な酸素を取り込めなくなり、二酸化炭素を排出しにくくなる。この状態を補うために、体は呼吸の回数を増やして、より多くの酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しようとする。
3.× 末梢血好中球数は、本症例(肺炎球菌性肺炎)において高値となる。なぜなら、肺炎球菌のような細菌感染が体内で起こると、体を守るために白血球の一種である好中球が感染部位に集まるため。
・好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。細菌感染による急性炎症で最初に反応する。
4.〇 正しい。血中酸素飽和度は、低値を示す。なぜなら、肺炎によって肺胞(酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる場所)に炎症が起こり、液体や炎症性細胞が貯留すると、肺が酸素を血液中に取り込む能力が低下するため。したがって、血液中に含まれる酸素の量が減少し、血中酸素飽和度(パルスオキシメーターなどで測定されるSpO2)が低下する。
パルスオキシメーターとは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定するための装置である。赤い光の出る装置で指をはさむことで測定する。検知器を指先に装着し、非侵襲的な方法で、脈拍数と経皮的動脈血の酸素飽和度 をリアルタイムでモニターするための医療機器である。
問題45 70歳の男性。30分前から続く激しい胸の痛みと冷や汗を訴えている。2週前から歩くときに胸の痛みを感じたが、休むと治るので放置していた。高血圧症、糖尿病、脂質異常症にて近医に通院中である。喫煙歴がある。皮膚に異常はない。
疑われるのはどれか。
1.胆囊炎
2.心筋梗塞
3.帯状疱疹
4.尿路結石
解答2
解説
・70歳の男性(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)。
・30分前:続く激しい胸の痛みと冷や汗。
・2週前:歩くときに胸の痛みを感じたが、休むと治る。
・喫煙歴がある。
・皮膚に異常はない。
→本症例は、急性心筋梗塞が疑われる(2週間前は労作性狭心症)。
・急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。
・労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
1.× 胆囊炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることである。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすい。
2.〇 正しい。心筋梗塞が疑われる。本症例のように、2週前からの労作時胸痛(休むと治る):これは狭心症(冠動脈が狭くなっている状態)の症状であり、心筋梗塞の前触れとしてよく見られる。つまり、動脈硬化が進行していることを示唆できる。
3.× 帯状疱疹とは、身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気である。多くの人が子どものときに感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こる。
4.× 尿路結石とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。