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36.基礎代謝量について正しいのはどれか。
1.加齢によって低下する。
2.同一年齢では女性の方が男性より高い。
3.体表面積に反比例する。
4.体温の上昇によって低下する。
解答1
解説
基礎代謝量とは、生体が正常に生命を維持するために必要な代謝量のことである。基礎代謝量は、体表面積/性別/年齢/体格/体温/ホルモンなどの影響を受けるものである。
1.〇 正しい。加齢によって低下する。なぜなら、加齢に伴い、筋肉量や活動性が減少するため。特に、20代をピークに、30代以降は徐々に減少する。
2.× 逆である。同一年齢では、「男性」の方が「女性」より高い。なぜなら、男性の方が女性より筋肉量が多いため。また、脂肪の割合が少ないのも要因の一つである。
3.× 体表面積に、「反比例」ではなく比例する。なぜなら、体表面積が大きいほど熱放散が多くなるため。
4.× 体温の上昇によって、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、発熱時には体温を維持するためのエネルギー消費が増えるため。
37.ある物質Sのクリアランスを求める際の指標として必要でないのはどれか。
1.物質Sの尿中濃度
2.物質Sの血漿濃度
3.1分間あたりの腎血流量
4.1分間あたりの尿量
解答3
解説
クリアランスとは、ある物質(例えば、クレアチニン)が、腎臓によって血液から除去される効率を表す指標である。
【クリアランスの計算式】
クリアランス= 尿中濃度×尿量÷血漿濃度
1~2.4.〇 物質Sの尿中濃度/物質Sの血漿濃度/1分間あたりの尿量は、指標として用いられる。
【クリアランスの計算式】
クリアランス= 尿中濃度×尿量÷血漿濃度
3.× 1分間あたりの腎血流量は、ある物質Sのクリアランスを求める際の指標として必要でない。
・腎血流量とは、腎臓を流れる血液量のことである。安静時の腎臓には1分あたり1L前後の血液が流れ込んでいる。腎臓全体の機能評価には役立つ指標である。
38.神経末端から分泌されるホルモンはどれか。
1.アルドステロン
2.インスリン
3.エストロゲン
4.オキシトシン
解答4
解説
副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
①球状帯:電解質コルチコイド(アルドステロン)を産生する。皮膜直下の薄い層で、皮質細胞が球状の塊を形成する。
②束状帯:糖質コルチコイド(コルチゾール)を産生する。最も厚い層で、細胞は縦に並び、細胞索を形成する。その間を洞様毛細血管が髄質に向かって走行する。
③網状帯:アンドロゲンを産生する。皮質の最深部で、網状をなす細胞索からなる。
1.× アルドステロンとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、腎臓に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。
2.× インスリンとは、膵臓のβ細胞で産生・分泌されるペプチドホルモンである。血中を流れるブドウ糖が、肝臓、脂肪細胞、骨格筋細胞に取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する。
3.× エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
4.〇 正しい。オキシトシンは、神経末端から分泌されるホルモンである。オキシトシンとは、視床下部の神経細胞で合成され、脳下垂体後葉(神経末端)から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるδ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
39.α受容体が主に関与している機能はどれか。
1.皮膚血管の収縮
2.心拍数の増加
3.立毛筋の弛緩
4.膀胱排尿筋の弛緩
解答1
解説
α受容体とは、神経伝達物質であるアドレナリンを受容するタンパク質の1つである。主に、平滑筋に存在するα1受容体(血管収縮、瞳孔散大、皮膚立毛など)と、中枢神経に存在するα2受容体(α1受容体の拮抗的な作用)に大別される。
・α1作用:主に血管収縮
・α2作用:ノルアドレナリン放出抑制によるネガティブフィードバック
・β1作用:心臓の陽性変性作用
・β2作用:血管、気管支の弛緩
1.〇 正しい。皮膚血管の収縮は、α受容体が主に関与している機能である。α1受容体によって、皮膚血管の平滑筋が収縮し、血流量が減少する。
2.× 心拍数の増加は、β1受容体が関与する。
3.× 立毛筋は、「弛緩」ではなく収縮する。立毛筋は、α1受容体によって収縮し、鳥肌を立たせる反応を起こす。
4.× 膀胱排尿筋の弛緩には、β3受容体が関与する。
40.シナプス伝達について正しい記述はどれか。
1.全か無の法則に従う。
2.シナプス下膜で過分極は起こらない。
3.薬物の影響を受けにくい。
4.可塑性をもつ。
解答4
解説
①絶縁性(隔絶)伝導…1本の神経線維の興奮は、隣接するほかの神経線維を興奮させない。
②不滅衰伝導…興奮は減衰せずに伝わる。
③両方向(両側)性伝導…神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。
④等速伝導…1本の軸索上の興奮は一定の速度で伝導していく。ただし、有髄線維では跳躍伝導が起こる。
1.× 全か無の法則に従う。
これは、神経細胞の活動電位に適用されるものである。全か無の法則とは、神経線維は電気刺激が閾値未満では全く反応しないが、閾値以上では最大かつ同じ大きさの反応を示すこと。
2.× シナプス下膜で過分極は「起こる」。シナプス下膜の過分極とは、シナプス下膜の膜電位が静止電位を超えてさらに負の電位となることである。ちなみに、シナプス下膜とは、シナプスを介した後の細胞はシナプス後部細胞といい、この形質膜でシナプス部に接している部分である。
3.× 薬物の影響は「受けやすい」。なぜなら、シナプス伝達は、神経伝達物質の放出、受容体への結合、再取り込みなどの過程を含むため。したがって、薬物(例:SSRI、抗コリン薬など)の影響を非常に受けやすいシステムである。
4.〇 正しい。可塑性をもつ。シナプス伝達の可塑性は、シナプスの効率が時間とともに変化する現象を指す。よく使われる記憶を蓄え、使われない記憶を消去して情報を整理するという働きもする。この可塑性は、学習や記憶の基盤となる重要な機能である。
抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑えて副交感神経を抑制し、交感神経を優位にする働きを持つ。なぜなら、ムスカリン受容体を遮断するため。ちなみに、前立腺肥大症に、抗コリン薬を使用は禁忌である。なぜなら、交感神経系が緊張状態となり、尿閉を悪化させるため。適応疾患として、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、気管支喘息、肺気腫パーキンソン病などに用いられる。