第20回(H24年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前41~45】

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41.瞳孔の対光反射について誤っている記述はどれか。

1.受容器は視細胞である。
2.求心路は視神経である。
3.遠心路は運動神経である。
4.中枢は中脳にある。

解答

解説

対光反射とは?

対光反射とは、強い光に対して瞳孔が収縮してまぶしさを防ぐ反射である。

【求心路】視神経、【遠心路】動眼神経である。

1.〇 受容器は、視細胞である。視細胞とは、光を受容して感覚を生じる動物の感覚細胞である。

2.〇 求心路は、視神経である
3.× 遠心路は、「運動神経」ではなく動眼神経(副交感神経も含む)である。動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。

4.〇 中枢は、中脳にある。中脳の視蓋前域と動眼神経副核が該当する。

 

 

 

 

 

42.筋をすり潰し紐状の標本を作成し以下物質を加えた。この標本が顕著に短縮するのはどれか。

1.ATPとカリウムイオン
2.ATPとカルシウムイオン
3.グルコースとカリウムイオン
4.グルコースとカルシウムイオン

解答

解説

筋収縮の機序

【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)

1.× ATPとカリウムイオン
・カリウムイオン(K+)は、細胞内液で最も多い陽イオンである。カリウムは、細胞内の主要な陽イオンであり、体内のカリウムのほとんどが細胞内に分布しているため、溶血が起きると、血清カリウムの濃度が上昇する。

2.〇 正しい。ATPとカルシウムイオンが顕著に短縮する。
なぜなら、ATPはエネルギー供給源として、カルシウムイオンはアクチン-ミオシン結合の調節因子として、筋収縮に必須であるため。

3.× グルコースとカリウムイオン
4.× グルコースとカルシウムイオン
グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。血液中の主要な糖分であり、脳のエネルギー源として関与する。

 

 

 

 

 

43.γ運動ニューロンの特徴として正しいのはどれか。

1.自律神経系に属する。
2.錘内筋線維を支配している。
3.脊髄側角に分布している。
4.腱器官の感度を調整している。

解答

解説

γ運動ニューロンとは?

γ運動ニューロンは、筋紡錘(筋の伸展を感知する感覚器)内の錘内筋線維を支配する運動ニューロンである。その主な役割は、筋紡錘の感度を調節することで、これにより、筋の長さや張力の変化を検出しやすくなる。

1.× 「自律神経系」ではなく体性神経系に属する。体性神経系は、自律神経系とともに末梢神経系をなす。体性神経系は、感覚神経と運動神経とがある。体性感覚や特殊感覚に基づく骨格筋の反射による運動機能の調節、大脳皮質の働きに基づく意志による運動機能に関与する。

2.〇 正しい。錘内筋線維を支配している。γ運動ニューロンは、筋紡錘(筋の伸展を感知する感覚器)内の錘内筋線維を支配する運動ニューロンである。

3.× 「脊髄側角」ではなく脊髄前角に分布している。ちなみに、脊髄側角には自律神経の節前ニューロンが分布している。

4.× 「腱器官」ではなく筋紡錘の感度を調整している。腱器官(ゴルジ腱器官)は筋張力を感知する器官であり、Ⅰb求心性ニューロンを介して調節される。

自原抑制とは?

自原抑制(自己抑制)とは、筋が過剰に収縮し、健にかかる張力が大きくなったときに腱紡錘(ゴルジ腱器官)がそれを感知し、その健の筋が弛緩しにかかる張力を小さくする反射である。動筋の抑制性2シナプス反射となる。Ⅰb線維による。

 

 

 

 

 

44.痛覚に関する記述で正しいのはどれか。

1.受容器は自由神経終末である。
2.関連痛は皮膚の炎症で生じる。
3.鋭い痛みはC線維で伝えられる。
4.順応しやすい。

解答

解説
1.〇 正しい。受容器は自由神経終末である。侵害刺激とは、痛みをもたらし、組織の損傷を引き起こすような刺激である。侵害受容器は、組織の損傷や有害な刺激を感知する自由神経終末であり、特定の受容器構造(例えば、触覚や圧覚を感知するような特別な構造)は持っていない。

2.× 関連痛は、「皮膚の炎症」ではなく主に内臓の痛みで生じる。関連痛とは、神経線維の走行の関係で生じる痛みである。つまり、原因とは離れた部位に感じる痛みである。心筋梗塞では左肩・上腕部痛などとして自覚される。

3.× 鋭い痛みは、「C線維」ではなくAδ線維で伝えられる。Ⅳ群(C線維)は、信号伝達が遅く、長く持続する痛み(鈍痛)を伝える。一方、Ⅲ群(Aδ線維)は髄鞘を持ち、比較的速く鋭い痛みを伝える。

4.× 順応「しにくい」。なぜなら、痛覚は生体にとって危険を伴う刺激であるため。ちなみに、順応とは、ある刺激に慣れることで、順応速度が速いということはその刺激にすぐ慣れて感じにくくなること、順応速度が遅いということはその刺激になかなか慣れずに敏感な状態が続くということである。生体にとって危険な刺激に対する感覚ほど順応は遅い(敏感な状態が続く)と考えてよい。

 

 

 

 

 

45.日和見感染を引き起こす病原体はどれか。

1.セラチア菌
2.麻疹ウイルス
3.ヘリコバクター・ピロリ
4.髄膜炎菌

解答

解説

MEMO

日和見感染とは、免疫力が低下した状態(例:HIV感染、がん治療、臓器移植後、加齢など)で通常は病原性が低い微生物が感染を引き起こす現象である。これに該当する病原体は、健康な人では問題を引き起こさないが、免疫抑制状態の人では重篤な感染症を引き起こすものである。

1.〇 正しい。セラチア菌は、日和見感染を引き起こす病原体(病気を起こす力が弱い菌)である。セラチア菌とは、グラム陰性桿菌であり、免疫力が低下した患者で、肺炎、尿路感染症、敗血症などを引き起こすことがある。

2.× 麻疹ウイルスは、麻疹の原因であり、通常、免疫力のある人でも感染する。麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。

3.× ヘリコバクター・ピロリは、胃炎や胃潰瘍の原因であり、通常、免疫力のある人でも感染する。

4.× 髄膜炎菌とは、重篤な細菌性髄膜炎や敗血症を引き起こす病原体であり、通常、免疫力のある人でも感染する。

ヘリコバクター・ピロリ菌とは?

ヘリコバクター・ピロリ菌は、井戸水などにより経口感染するヒトなどの胃に生息するらせん型のグラム陰性微好気性細菌である。単にピロリ菌と呼ばれることもある。アンモニアを遊離し、局所をアルカリ化することによって胃粘膜の障害をきたす病原菌である。胃炎や胃潰瘍の発生に関与する。

 

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