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136.「18歳の男子学生。小学生の頃からバスケットボールを10年間続けている。1年前から腰痛がある。下肢症状はないが、L4-L5の棘突起間に階段状変形を認める。」
罹患部に対する局所治療穴として最も適切な経穴はどれか。
1.厥陰兪
2.腎兪
3.大腸兪
4.膀胱兪
解答3
解説
・18歳の男子学生。
・小学生の頃からバスケットボールを10年間続けている。
・1年前から腰痛がある。
・下肢症状はないが、L4-L5の棘突起間に階段状変形を認める。
→本症例は、腰椎分離すべり症が疑われる。それぞれの消去できる理由もしっかりおさえておこう。
1.× 厥陰兪は、上背部、第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
2.× 腎兪は、腰部、第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
3.〇 正しい。大腸兪は、罹患部(L4-L5の棘突起間)に対する局所治療穴である。大腸兪は、腰部、第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
4.× 膀胱兪は、仙骨部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨棱の外方1寸5分に位置する。
「脊椎分離症」・・・疲労骨折などにより、椎骨が椎弓の関節突起間部で分離したものをいう。
「脊椎分離すべり症」・・・脊椎分離症から、さらに分離した椎体が前方に転位したものをいう。
【特徴】
日本人男性の約8%にみられ、また成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占める。L5に好発し、腰部から殿部の痛みと圧痛・叩打痛がみられる。Kempテスト(ケンプテスト)で他動的に体幹を後側屈・回旋させると椎弓根が狭窄され下肢に放散痛が生じる (Kemp徴候)。
【X線45° 斜位像】
椎間関節や椎弓根の狭窄を確認する。脊椎分離(テリアネックサイン)が特徴的である。
【治療】
①若年での発症が多いこと、②症状が腰部に限局し下肢症状がないことから、保存的治療(安静・コルセット装着・消炎鎮痛)が優先になる。重度の障害がある場合に手術が検討される。
137.「20歳の男性。社会人野球選手。連日バッティング練習を続けていたところ、グリップエンドが当たる左手根部に強い痛みを感じ、手に力が入りにくくなった。エックス線検査で骨折が認められた。現在、小指にしびれが残っている。」
骨折しているのはどれか。
1.舟状骨
2.月状骨
3.大菱形骨
4.有鈎骨
解答4
解説
・20歳の男性(社会人野球選手)。
・連日バッティング練習を続けていた。
・グリップエンドが当たる左手根部に強い痛みを感じ、手に力が入りにくくなった。
・エックス線検査:骨折が認められた。
・現在:小指にしびれが残っている。
→本症例は、有鈎骨骨折が疑われる。そのほかの選択肢の消去理由もあげられるようにしよう。
1.× 舟状骨の骨折より優先度が高いものが他にある。なぜなら、グリップエンドとの関連性が低いため。ちなみに、舟状骨骨折とは、サッカーなどの運動時に後ろ向きに転倒して、手関節背屈で手をついた時に受傷することが多い。10〜20代のスポーツ競技者によくみられる骨折である。急性期では、手首の母指側が腫れ、痛みがある。急性期を過ぎると一時軽快するが、放置して骨折部がつかずに偽関節になると、手首の関節の変形が進行し、手首に痛みが生じて、力が入らなくなり、また動きにくくなる。
2.× 月状骨の骨折より優先度が高いものが他にある。なぜなら、月状骨の骨折自体、非常に稀であるため。虚血性壊死(キーンベック病)との関連性が高い骨折である。
3.× 大菱形骨の骨折より優先度が高いものが他にある。なぜなら、グリップエンドとの関連性が低いため。大菱形骨は、親指の動きと関連し、母指側の手根骨である。
4.〇 正しい。有鈎骨が骨折している。なぜなら、有鈎骨骨折の原因は、野球やゴルフ、テニスのスイング動作の繰り返しによる疲労骨折で、グリップエンド側(下の手)に発症するため。症状として、手のひらの小指側に痛みを感じることが多く、痛みで握ることや手首を反らすことが困難になる。また、骨折により神経が損傷された場合は痺れなどを感じることもある。
(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
138.「20歳の男性。社会人野球選手。連日バッティング練習を続けていたところ、グリップエンドが当たる左手根部に強い痛みを感じ、手に力が入りにくくなった。エックス線検査で骨折が認められた。現在、小指にしびれが残っている。」
罹患神経に直接刺激を与えるのに最も適切な経穴はどれか。
1.尺沢
2.曲沢
3.小海
4.天井
解答3
解説
・20歳の男性(社会人野球選手)。
・連日バッティング練習を続けていた。
・グリップエンドが当たる左手根部に強い痛みを感じ、手に力が入りにくくなった。
・エックス線検査:骨折が認められた。
・現在:小指にしびれが残っている。
→本症例は、有鈎骨骨折が疑われる。有鈎骨骨折の原因は、野球やゴルフ、テニスのスイング動作の繰り返しによる疲労骨折で、グリップエンド側(下の手)に発症するため。症状として、手のひらの小指側に痛みを感じることが多く、痛みで握ることや手首を反らすことが困難になる。また、骨折により神経が損傷された場合は痺れなどを感じることもある。
1.× 尺沢は、外側前腕皮神経領域である。尺沢は、肘前部、肘高横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部に位置する。
2.× 曲沢は、内側前腕皮神経領域である。曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部に位置する。上腕動脈拍動部で、尺沢(肺経)と少海(心経)とのほぼ中点にあたる。
3.〇 正しい。小海は、罹患神経(尺骨神経)に直接刺激を与える。小海は、肘後内側、肘頭と上腕骨内側上顆の間の陥凹部に位置する。
4.× 天井は、後上腕皮神経領域である。天井は、肘後面、肘頭の上方1寸、陥凹部に位置する。
139.「38歳の女性。3年前に全身性硬化症と診断され、皮膚の硬化がみられる。レイノー現象の改善を目的に鍼治療を行うことになった。」
鍼治療の効果を評価する方法として最も適切なのはどれか。
1.サーモグラフィ
2.単純エックス線
3.筋電図
4.脳波
解答1
解説
・38歳の女性(3年前:全身性硬化症と診断)。
・皮膚の硬化がみられる。
・レイノー現象の改善を目的に鍼治療を行う。
→全身性硬化症とは、強皮症ともいい、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。
→Raynaud現象とは、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。
1.〇 正しい。サーモグラフィは、鍼治療の効果を評価する方法である。なぜなら、サーモグラフィにより、血流や温度が客観的に評価できるため。ちなみに、サーモグラフィとは、物体から放射される赤外線を分析し、温度分布を表した画像や映像、またはその画像を取得するために利用する装置を指す。
2.× 単純エックス線とは、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる。骨折や肺炎、腸閉塞、マンモグラフィなどで有用である。
3.× 筋電図検査とは、筋肉や神経に異常がないかについて、筋肉が収縮する時や神経を電気で刺激するなどの筋肉や神経の信号の伝わり方を記録する検査である。筋肉を随意的に収縮してもらったり、神経に電気的刺激をしたりすることにより、神経や筋肉に生じる電気的活動を記録する。この記録を評価することにより、神経や筋肉に疾患があるかを調べられる。
4.× 脳波検査とは、頭皮に電極を取り付けて脳の活動状態を調べる検査で、てんかんや脳腫瘍、脳出血などの診断に用いられる。
140.「38歳の女性。3年前に全身性硬化症と診断され、皮膚の硬化がみられる。レイノー現象の改善を目的に鍼治療を行うことになった。」
レイノー現象の改善を目的とした局所への治療穴として適切なのはどれか。
1.血海
2.中渚
3.正営
4.建里
解答2
解説
・38歳の女性(3年前:全身性硬化症と診断)。
・皮膚の硬化がみられる。
・レイノー現象の改善を目的に鍼治療を行う。
→全身性硬化症とは、強皮症ともいい、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。
→Raynaud現象とは、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。
1.× 血海は、大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸に位置する。
2.〇 正しい。中渚は、レイノー現象の改善を目的とした局所への治療穴である。中渚は、手背、第4~5中手骨間、第4中手指節関節近位の陥凹部に位置する。
3.× 正営は、頭部、前髪際から入ること2寸5分、瞳孔線上に位置する。
4.× 建里は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方3寸に位置する。