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51.癌と前癌病変との組合せで正しいのはどれか。
1.子宮頸癌:子宮頸部異形成
2.胃癌:胃潰瘍
3.乳癌:乳腺症
4.前立腺癌:前立腺肥大
解答1
解説
前癌病変とは、正常組織よりも癌を発生しやすい形態学的に変化した組織のことをいう。
1.〇 正しい。子宮頸癌:子宮頸部異形成
子宮頸部異形成とは、子宮頸がんの前段階(前がん病変)である。 別名で子宮頸部上皮内腫瘍とも呼ばれる。子宮頸がんや子宮頸部異形成は、20~30歳代の女性に急速に増加している。
2.× 胃癌:胃潰瘍
胃潰瘍は、胃癌の前癌病変ではない。ただし、慢性的な炎症やピロリ菌感染が背景にある場合、胃癌のリスクが高くなることがある。ちなみに、胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
3.× 乳癌:乳腺症
乳腺症は、乳癌の前癌病変ではない。乳腺症とは、30~50代の女性でよくみられる良性の疾患の総称である。乳腺症は、正常とは異なる状態に乳腺が変化している状態を指しており、基本的に良性腫瘍である乳腺症が、悪性腫瘍である乳癌へ変化することはない。
4.× 前立腺癌:前立腺肥大
前立腺肥大は、前立腺癌ではない。前立腺肥大症とは、男性の膀胱の隣にある前立腺という臓器が大きくなっている状態で、排尿症状や蓄尿症状、排尿後症状などが現れる。原因ははっきりと断定できていないが、男性ホルモンの関与が指摘されている。また、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症なども関係があるといわれている。
52.手指の変形でPIP関節屈曲、DIP関節過伸展を示すのはどれか。
1.スワンネック変形
2.ボタン穴変形
3.尺側偏位
4.鷲手
解答2
解説
1.× スワンネック変形とは、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節屈曲する変形をいう。関節リウマチなどによっておこる。
2.〇 正しい。ボタン穴変形は、手指の変形でPIP関節屈曲、DIP関節過伸展を示す。関節リウマチなど、正中索の断裂によりボタン穴変形が起こる。
3.× 尺側偏位とは、手関節が尺骨側(手の小指側)に偏位する変形をいう。関節リウマチなどによっておこる。
4.× 鷲手とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
53.前庭性眩暈の記述で正しいのはどれか。
1.小脳脳幹出血が原因となる。
2.回転性の眩暈である。
3.悪心・嘔吐は伴わない。
4.頭位による影響は少ない。
解答2
解説
運動失調は、障害部位によって①小脳性、②脊髄(後索)性、③迷路(前庭)性、④大脳性に分けられる。
前庭性運動失調とは、平衡感覚をつかさどる器官である前庭器官が障害されて起こる運動失調を指す。特に閉眼時や足場が不安定な状況下で悪化する傾向がある。
1.× 小脳脳幹出血が原因となるのは、「中枢性めまい」である。前庭性眩暈は、末梢性めまいであり、内耳や前庭神経の異常が原因となる。
2.〇 正しい。回転性の眩暈である。なぜなら、内耳の三半規管や前庭神経に異常があるため。前庭性眩暈とは、典型的に回転性めまい(自分または周囲がぐるぐる回る感覚)を伴うめまいのことである。内耳の三半規管や前庭神経に異常による起こるため、主な原因疾患は、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などである。
3.× 悪心・嘔吐は伴わないと断言することはできない。むしろ、前庭性眩暈では、悪心や嘔吐を伴うことが多い。なぜなら、内耳の前庭機能と脳幹の嘔吐中枢が密接に関係しているため(前庭系が受け取る情報:平衡感覚は、脳幹を通じて脳全体に伝えられるため)。特に急性期ではめまいの強さに応じて悪心・嘔吐の症状が顕著になる。
4.× 頭位による影響は少ないと断言することはできない。むしろ、頭位変換(頭の位置の変化)によって症状が誘発されたり増悪したりすることが一般的である。
(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)
54.γ-GTPの上昇がみられる疾患はどれか。
1.食道炎
2.胃炎
3.溶血性貧血
4.閉塞性黄疸
解答4
解説
γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝胆道系の異常を推測する指標である。肝臓の解毒作用(タンパク質分解)に関係する酵素である。
1.× 食道炎は、主に胃酸の逆流や感染などが原因で、食道粘膜に炎症が起こる疾患である。
2.× 胃炎は、主にピロリ菌感染やNSAIDsの服用などが原因で、胃粘膜の炎症を伴う疾患である。炎症マーカー(C反応性蛋白質:CRP)の上昇がみられる血中CRPとは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
3.× 溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。
4.〇 正しい。閉塞性黄疸は、γ-GTPの上昇がみられる疾患である。
・黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの(溶血性貧血)、②肝細胞の障害によるもの(肝実質性黄疸)、③胆汁の流れの障害によるもの(閉塞性黄疸)、④体質によるもの(体質性黄疸)、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。
55.血圧について正しい記述はどれか。
1.平均血圧は収縮期血圧と拡張期血圧の和の1/2である。
2.触診法では聴診法より高く測定される。
3.仮面高血年患者では家庭血圧が診察室血圧より高い。
4.白衣高血圧は若年者に多い。
解答3
解説
1.× 平均血圧は、収縮期血圧と拡張期血圧の「和の1/2」ではなく差の1/3で、 拡張期血圧を加えたものである。
・平均血圧とは、収縮期血圧、拡張期血圧を1つの数値で表したものである。
【平均血圧(mmHg)の計算方法】
(収縮期血圧 - 拡張期血圧)/3 + 拡張期血圧である。
2.× 触診法では聴診法より「高く」ではなく低く測定される。10mmHg程度の誤差が出ることが多い。その理由として、触診法は、動脈の収縮期と拡張期の境目である脈波(拍動)を手で感じて血圧を測定するため、①拍動がはっきり確認できるまでの誤差、②収縮期血圧ちょうどに心拍しないことなどが考えられる。聴診法は、コロトコフ音を聴取よって血圧を測定する方法である。一方、触診法は、Korotkow音が弱くて聴診法での測定が困難な場合に代用する。方法として、橈骨動脈の拍動を触れながら、徐々に加圧していき、脈が触れなくなったところから、さらに20〜30mmHgほど圧を上げる。圧を徐々に下げて、再び橈骨動脈の拍動が触れるようになった時の圧を最高血圧の目安とする。中点として、触診法では最低血圧の測定はできない。
3.〇 正しい。仮面高血年患者では家庭血圧が診察室血圧より高い。なぜなら、血圧測定の順番を待つ間にストレスから解放されてリラックスしたり、一定時間タバコを吸わないことなどで血圧が下がるため。ちなみに、仮面高血圧とは、病院の診察室では正常値を示すものの、家庭では高血圧の数値を示す高血圧である。原因としては、職場や家庭での強いストレスや喫煙である。
4.× 白衣高血圧は、「若年者」ではなく高齢者に多い。なぜなら、そもそも高齢者のほうが血圧の変動幅が広く、診察時の緊張やストレスが原因とされているため。ちなみに、白衣性高血圧とは、家などの医療機関外では血圧が正常であるにもかかわらず、医療者が血圧を測った時や診察室などの医療機関で血圧が高値になる高血圧である。白衣性高血圧であるかの判断、自宅血圧の経過を判断するために自宅での血圧測定を継続してもらう必要がある。