第21回(H25年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前1~5】

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1.医療の需要を最も増大させる要因はどれか。

1.医療機関の増加
2.先進医療機器の導入
3.人口集団の高齢化
4.診療報酬の引き上げ

解答

解説

MEMO

【医療の需要を増大させる要因】
①人口増大、②人口集団の高齢化、③高度医療の受療ニーズ、④生活習慣病増加などの疾病構造の変化など。

【医療の供給を増大させる要因】
①医療機関・従事者の増加、②医療機器の導入、③医薬品物価の上昇、④経営側の過当な供給体制、⑤診療の精密化・高度化、⑥診療報酬の値上げなど。

1.× 医療機関の増加は、「医療の需要」との関連性は低い。むしろ、医療の供給を増大させる要因である。つまり、需要を満たす要素となる。

2.× 先進医療機器の導入は、「医療の需要」との関連性は低い。ただし、新しい治療法の普及によって結果的に一部の需要が増える可能性はある(需要が増える主要因ではない)。

3.〇 正しい。人口集団の高齢化は、医療の需要を最も増大させる要因である。なぜなら、人口が高齢化すると、加齢に伴い慢性疾患や複数の疾患を抱える人が増えるため。高齢者は若年層に比べて医療機関を利用する頻度が高く、入院や在宅医療が必要になるケースも多い。

4.× 診療報酬の引き上げは、「医療の需要」との関連性は低い。なぜなら、医療の需要は基本的に患者側の要因によるものであるため。ちなみに、診療報酬とは、医師や看護師などから受ける医療行為に対して、保険制度が支払う料金である。

 

 

 

 

 

2.我が国の公的医療保険制度の特徴で誤っている記述はどれか。

1.運営は保険者が行う。
2.一部負担金がある。
3.任意の加入である。
4.はり・きゅうの保険施術は現金給付である。

解答

解説

(※図引用:「医療保険」日本医師会様HPより)

1.〇 運営は保険者が行う。公的医療保険制度の保険者は、被保険者から保険料を徴収し、医療費の支払いなどを管理する。ちなみに、保険者とは、健康保険事業の運営主体のことのことをいう。例えば、保険契約の一方の当事者で、保険事故に対して給付する義務がある者(民間の保険契約の場合は、生命保険会社)のことをいう。

2.〇 一部負担金がある。たとえば、0~6歳:2割、6歳~70歳:3割、70歳以上:2割、75歳以上:1割である。

3.× 「任意」ではなく義務の加入である。公的医療保険制度とは、病気やケガをした時に医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことをいう。日本は「国民皆保険制度」を採用しており、日本国民すべてに加入が義務づけられている。①地域保険の国民健康保険、②後期高齢者医療制度、③職域保険の全国健康保険協会・組合保険・共済組合・船員保険などがある。

4.〇 はり・きゅうの保険施術は現金給付である。はり・灸、あんま・マッサージなどを受けた場合の費用は、原則として健康保険の対象外である。ただし、一定の条件を満たしていれば、事後に健康保険から現金で払い戻し(現金給付)を受けられる。ちなみに、保険給付を行う方法には、病気やけがをした場合に、これを治すために医療そのものを給付する方法と、治療にかかった費用を給付する方法との二つの方法がある。医療を給付する方法を「現物給付」、現金を給付する方法を「現金給付」と呼ぶ。
・現金給付とは、お金で支給されるもののことをさす。
・現物給付とは、診療や検査、投薬、入院などの医療行為を直接患者に提供することである。

(※図引用:「医療費の一部負担(自己負担)割合について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

3.栄養素で推定平均必要量が算出できない場合に用いる指標はどれか。

1.推奨量
2.目安量
3.耐用上限量
4.目標量

解答

解説

推定平均必要量とは?

推定平均必要量は、特定の年齢層や性別集団において、50%の者が栄養素やエネルギーを摂取することで不足しない量を推定した値である。栄養欠乏症の予防を目的としており、食事摂取基準の指標の1つである。

1.× 推奨量とは、推定平均必要量を基にして算出される値であり、ほとんどの個体(97~98%)が必要量を満たすための基準となる。

2.〇 正しい。目安量は、栄養素で推定平均必要量が算出できない場合に用いる指標である。目安量とは、健康を維持するために十分と考えられる摂取量を示し、具体的には、特定の栄養素に関するデータが不十分な場合に用いられる補完的な基準である。

3.× 耐用上限量とは、健康に悪影響を及ぼさないと考えられる栄養素の1日の最大摂取量を示す。これは過剰摂取を防ぐための基準である。

4.× 目標量とは、特定の疾病予防や健康増進を目的として設定される基準である。これは生活習慣病予防を主な目的としている。

 

 

 

 

 

4.年末の登録結核患者数を分子とし人口を分母とする指標はどれか。

1.有病率
2.罹患率
3.受療率
4.受診率

解答

解説
1.〇 正しい。有病率は、年末の登録結核患者数を分子とし人口を分母とする指標である。有病率とは、ある一時点における観察集団での疾病保有者の割合を意味する。有病率=罹患率×平均有病期間で表すことができ、平均有病期間が短ければ、有病率が高くなることはない。生涯有病率とは、一生のうちに一度はその病気にかかる人の割合をいう。

2.× 罹患率とは、ある一定の観察期間に新規発生した患者数を、危険曝露人口一人ひとりの観察期間の総和(観察人年)で除したものである。疾病や死亡が生じることを事象の発生という。事象の発生は、ある一定期間を設定し、その期間内で新規に発生した頻度により把握できる。また、発生頻度の表現は、率(rate)の形で示される。

3.× 受療率とは、調査日に医療施設で受療した推計患者数を、人口10万人に対する割合で表したものである。医療の水準全体との関連性は低い。

4.× 受診率とは、単位人口当たりの、一定期間内(通常1ヶ月)における診療報酬明細書(レセプト)の件数をいう。つまり、1人当たり件数は、加入者1人当たりが一定期間にいくつの医療機関にかかったかを示す指標で100人当たり、もしくは1人当たりの件数として表されることが多い。

 

 

 

 

 

5.後天性免疫不全症候群について感染の危険性があるのはどれか。

1.汗
2.涙
3.唾液
4.母乳

解答

解説

MEMO

後天性免疫不全症候群とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。

1.× 汗/涙/唾液は、感染の危険性は低い。一般的に、通常の接触(食器の共有、キスなど)では感染しないが、血液が混入している場合には注意が必要である。

4.〇 正しい。母乳は、後天性免疫不全症候群について感染の危険性がある。なぜなら、母乳にも血液やその他の体液と同様に、ウイルスやウイルスに感染した免疫細胞が含まれるため。出生時に感染していなかった乳児がHIVに感染している母親の母乳を飲むと、約12~14%がHIVに感染するといった報告もある。したがって、HIV陽性の母親が母乳を与える場合、通常は粉ミルクなどの代替栄養が推奨される。

 

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