第21回(H25年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後116~120】

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116.四総穴で頭項の病変に用いるのはどれか。

1.足三里
2.委中
3.列欠
4.合谷

解答

解説
1.× 足三里は、四総穴で腹部一切の病変に用いる。足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。

2.× 委中は、四総穴で腰背部の病変に用いる。委中は、膝後面、膝窩横紋の中点に位置する。深部に脛骨神経が通る。

3.〇 正しい。列欠は、四総穴で頭項の病変(頭項部疼痛)に用いる。列欠は、前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分に位置する。

4.× 合谷は、四総穴で顔面・目の病変に用いる。合谷は、手背、第2中手骨中点の橈側に位置する。

 

 

 

 

 

117.募合配穴で天枢と併せて用いるのはどれか。

1.足三里
2.上巨虚
3.下巨虚
4.陽陵泉

解答

解説

MEMO

下合穴は、胆:陽陵泉【胆】、小腸:下巨虚【胃】、胃:足三里【胃】、大腸:上巨虚【胃】、膀胱:委中【膀】、三焦:委陽【膀】があげられる。

1.× 足三里は、胃の下合穴である。足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。ちなみに、胃の募穴は、中脘である。中脘は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸に位置する。

2.〇 正しい。上巨虚は、募合配穴で天枢と併せて用いる。上巨虚は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸に位置する。一方、大腸の募穴である天枢は、上腹部、臍中央の外方2寸に位置する。

3.× 下巨虚は、小腸の下合穴である。下巨虚は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方9寸に位置する。一方、小腸の募穴は、関元である。関元は、下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸に位置する。

4.× 陽陵泉は、胆の下合穴である。陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にあるに位置する。一方、胆の募穴は、日月である。日月は、前胸部、第7肋間、前正中線の外方4寸に位置する。女性では、鎖骨中線と第7肋間との交点に位置する。

 

 

 

 

 

118.八会穴で陽経に属するのはどれか。

1.脈会
2.気会
3.髄会
4.腑会

解答

解説

MEMO

【八会穴】
腑会-中脘【任】、血会-膈兪【膀】、臟会-章門【肝】、骨会-大杼【膀】、筋会-陽陵泉【胆】、脈会-太淵【肺】、髄会-懸鍾【胆】、気会-膻中【任】

1.× 脈会は、太淵である。手の太陰肺経である太淵は、手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部に位置する。

2.× 気会は、膻中である。任脈である膻中は、前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さに位置する。

3.〇 正しい。髄会は、八会穴で陽経に属する。髄会は、懸鍾に該当する。懸鍾は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方3寸に位置する。跗陽(膀胱経)の前方にあたる。

4.× 腑会は、中脘である。任脈である中脘は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸に位置する。

 

 

 

 

 

119.次の文で示す患者に八会穴を用いて治療する場合、適切なのはどれか。
 「51歳の女性。6ヶ月前から上腕外側に刺すような痛みが発症。舌診では舌下静脈怒脹、腹診では小腹急結がみられる。脈は細濇。」

1.太淵
2.膻中
3.膈兪
4.中脘

解答

解説

本症例のポイント

・51歳の女性。
・6ヶ月前:上腕外側に刺すような痛みが発症。
・舌診:舌下静脈怒脹
・腹診:小腹急結、脈:細濇。
→本症例は、瘀血が疑われる。瘀血とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。ちなみに、小腹急結は、下腹部(特に左)に抵抗感や硬結のあるものである。瘀血の腹証である。

【八会穴】
腑会-中脘【任】、血会-膈兪【膀】、臟会-章門【肝】、骨会-大杼【膀】、筋会-陽陵泉【胆】、脈会-太淵【肺】、髄会-懸鍾【胆】、気会-膻中【任】

1.× 太淵は、脈会である。太淵は、手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部に位置する。

2.× 膻中は、気会である。膻中は、前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さに位置する。

3.〇 正しい。膈兪は、この患者に八会穴(血会)を用いて治療する。膈兪は、上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

4.× 中脘は、腑会である。中脘は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸に位置する。

 

 

 

 

 

120.次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
 「34歳の女性。主訴はめまい。病院でメニエール病と診断された。いつも頭が重くぼんやりし、四肢も重だるい。舌苔は厚膩、脈は滑。」

1.気血を補う。
2.肺陰を補う。
3.胃気の上逆を抑える。
4.痰濁を取り除く。

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の女性(主訴:めまい)。
・診断:メニエール病。
・いつも頭が重くぼんやりし、四肢も重だるい。
・舌苔は厚膩、脈は
→本症例は、メニエール病が疑われる。主な原因は「内リンパ水腫」である。したがって、メニエール病は、内耳のリンパ流の失調によって生じるものであり、病症としては湿痰と考えられる。

1.× 気血を補う。
これは、気血虚に用いられる。気血虚とは、気虚(気の不足)と血虚(血の不足)が同時に起こる病証である。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。

2.× 肺陰を補う。
これは、肺陰虚に用いられる。肺陰虚とは、乾いた咳嗽、痰(粘稠で少量黄色)、盗汗、のぼせ、口乾、舌質紅などがあげられる。

3.× 胃気の上逆を抑える。
これは、胃気上逆に用いられる。気逆証は、頭痛、眩暈、易怒、咳嗽、喘息、悪心・嘔吐、噯気、吃逆などをいう。肺気上逆・胃気上逆・肝気上逆などである。

4.〇 正しい。痰濁を取り除く。痰濁とは、水と脂質の代謝障害によって体内に生じた病理産物で、体液の停滞を指す。

メニエール病とは?

メニエール病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

 

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