第22回(H26年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後121~125】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

121.痛みの性質と治療方針との組合せで最も適切なのはどれか。

1.酸痛:湿を除く
2.隠痛:熱を除く
3.刺痛:気を補う
4.脹痛:血を補う

解答

解説
1.〇 正しい。酸痛:湿を除く
酸痛は、気血不足・湿邪にみられる痛みの性質である。湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。

2.× 隠痛:熱を除く
隠痛は、虚証にみられる痛みの性質である。

3.× 刺痛:気を補う
刺痛は、瘀血にみられる痛みの性質である。瘀血(おけつ)とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

4.× 脹痛:血を補う
脹痛は、気滞にみられる痛みの性質である。(気鬱)気滞は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などで、増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

 

 

 

 

 

122.痛む所が定まらない患者に対し、その部位を追いかけて次々と繰り返し刺鍼する十二刺はどれか。

1.短刺
2.偶刺
3.報刺
4.輸刺

解答

解説
1.× 短刺
短刺とは、骨痹のとき、鍼を揺すりながら骨に至らせ、上下にこする方法である。

2.× 偶刺
偶刺とは、心痹のとき、胸部と背部の圧痛・反応点を前後から刺す方法である。2本使用する。

3.〇 正しい。報刺は、痛む所が定まらない患者に対し、その部位を追いかけて次々と繰り返し刺鍼する十二刺である。
報刺とは、痛みが動いて定まらないとき、痛む所を追って次々と刺す方法である。

4.× 輸刺
輸刺とは、気が盛んで熱があるとき、真っ直ぐ深く刺し、真っ直ぐに抜く方法である。

 

 

 

 

 

123.次の患者が示す症状に対し難経六十九難の治療法を用いる場合、適切な経穴はどれか。
 「55歳の女性。仕事の悩みから食欲不振が始まり、疲れやすく手足に力が入らない。脈は細。」

1.隠白
2.大都
3.太白
4.公孫

解答

解説

本症例のポイント

・55歳の女性。
・仕事の悩みから食欲不振が始まり、疲れやすく手足に力が入らない。
・脈は細。
→本症例は、脾虚証が疑われる。したがって、脾の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は大都・少府・労宮となる。

→難経六十九難「虚すればその母を補い、実すればその子を瀉せ」に基づき、脾(土)の母は心(火)となり、治療穴は、少府(または労宮)と大都を治療穴に用いる。

1.× 隠白(※読み:いんぱく)
隠白は、足の第1指、末節骨の内側、爪甲角の近内方1分(指付)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

2.〇 正しい。大都は、この患者が示す症状に対し難経六十九難の治療法を用いる場合の経穴である。
大都は、足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際に位置する。

3.× 太白(※読み:たいはく)
太白は、足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。

4.× 公孫(※読み:こうそん)
公孫は、足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際に位置する。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

 

 

 

 

124.次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
 「18歳の女性。2週間前から耳鳴りがする。大学受験のため不安とイライラで情緒不安定となっている。顔が紅潮し、口が苦く咽の渇きを訴える。舌質は紅、脈は弦数。」

1.血を補う
2.陽気を補う
3.痰湿を除く
4.肝火を除く

解答

解説

本症例のポイント

・18歳の女性(2週間前から耳鳴り)。
・大学受験のため不安とイライラで情緒不安定。
・顔が紅潮し、口が苦く咽の渇きを訴える。
・舌質は紅、脈は弦数。
→本症例は、肝火上炎が疑われる。肝火上炎の症状は、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などである。したがって、肝火を抑えるような対応が必要である。

1.× 血を補う
血とは、営気・津液で構成される栄養豊富な液体で、気の推動作用によって全身を循環し、自要している。血の運行は、心・肺・肝・脾などの機能と関連して行われる。また、神の機能を維持している。

2.× 陽気を補う
陽気とは、身体を温めるエネルギーや活力、気力の元となるものである。

3.× 痰湿を除く
気の病証のひとつである痰湿(津液の停滞)は、湿・水:(身体が重だるい、浮腫、下痢)など、飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など、痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害などの状態をいう。

4.〇 正しい。肝火を除くことは、患者の病証に対する治療方針である。本症例は、肝火上炎が疑われる。肝火上炎の症状は、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などである。したがって、肝火を抑えるような対応が必要である。

 

 

 

 

 

125.次の文で示す患者の病証に対する治療方針として適切なのはどれか。
 「58歳の女性。数年前から手足の冷えで悩んでいる。症状は雨の日にひどくなる。膝の重だるい痛みが常にある。舌苔は白膩。脈は濡。」

1.気滞を除く
2.瘀血を除く
3.腎陰を補う
4.脾陽を補う

解答

解説

本症例のポイント

・58歳の女性。
・数年前から手足の冷えで悩んでいる。
・症状は雨の日にひどくなる。
・膝の重だるい痛みが常にある。
・舌苔は白膩。脈は濡。
→本症例は、脾陽虚が疑われる。脾陽虚は、腹部の冷え、水様便・未消化便、食欲不振、顔面蒼白、畏寒などである。本症例は、陽虚が疑われる。陽虚(虚寒)は、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などである。

1.× 気滞を除く
気滞を除くときは、イライラ・易怒した状態で、肝鬱気滞や肝火上炎などのときである。

2.× 瘀血を除く
瘀血とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

3.× 腎陰を補う
腎陰を補うときは、腎陰虚の場合に用いられる。腎陰虚は、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などがあげられる。

4.〇 正しい。脾陽を補うことは、この患者の病証に対する治療方針である。本症例は、脾陽虚が疑われる。脾陽虚は、腹部の冷え、水様便・未消化便、食欲不振、顔面蒼白、畏寒などである。本症例は、陽虚が疑われる。陽虚(虚寒)は、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などである。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)