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126.次の文で示す患者の病証に対する治療方針として除くべき外邪はどれか。
「55歳の男性。風が強く吹く天候の中、ここ数日屋外で仕事をしていたら右上肢に痛みが出た。痛みは右の肩や肘、手首など定まっていない。疼痛部に冷えはない。舌苔は薄、脈は浮。」
1.寒邪
2.風邪
3.湿邪
4.熱邪
解答2
解説
・55歳の男性。
・風が強く吹く天候の中、ここ数日屋外で仕事をしていたら右上肢に痛みが出た。
・痛みは右の肩や肘、手首など定まっていない(風邪の遊走性)。
・疼痛部に冷えはない。
・舌苔は薄、脈は浮。
→本症例は、風邪が疑われる。風邪は、陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
1.× 寒邪は、陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。
2.〇 正しい。風邪は、この患者の病証に対する治療方針として除くべき外邪である。風邪は、陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
3.× 湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
4.× 熱邪
・暑邪(熱邪):陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。
・火邪(熱邪):陽性の邪気で炎上性があり、気・津液を損傷する。また、生風、動血という特徴も持つ。
127.徒手検査所見と罹患部への治療穴との組合せで適切なのはどれか。
1.ファレンテスト陽性:陽池
2.トムゼンテスト陽性:間使
3.グラスピングテスト陽性:膝陽関
4.K・ボンネットテスト陽性:大腸兪
解答3
解説
1.× ファレンテスト陽性:陽池
・Phalenテスト(ファレンテスト)は、手根管症候群の診断に用いられ、正中神経障害によって陽性となる。
・陽池は、手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上に位置する。
2.× トムゼンテスト陽性:間使
・Thomsen(トムセン)テストの陽性は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を疑う。方法は、握りこぶしにして手関節を背屈させ、検者が掌屈させようとする。
・間使は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸に位置する。
3.〇 正しい。グラスピングテスト陽性:膝陽関
・Graspingテスト(グラスピングテスト)は、腸脛靭帯を圧迫してテンションをかけた状態で、膝の曲げ伸ばしで症状が再現されるかどうかで判断する。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
・膝陽関は、膝外側、大腿二頭筋腱と腸脛靭帯の間の陥凹部、大腿骨外側上顆の後上縁に位置する。
4.× K・ボンネットテスト陽性:大腸兪
・Kボンネットテストとは、梨状筋症候群の診断に使用される誘発テストである。やり方は、背臥位の被検者は、検査側の膝関節屈曲位にて、対側の脚の上に乗せる(梨状筋に伸展ストレスを加える)。殿部から太ももにかけて、放散痛が出た場合は陽性である。
・大腸兪は、腰部、第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
128.スポーツ障害と局所治療穴との組合せで最も適切なのはどれか。
1.ジャンパー膝:犢鼻
2.ランナー膝:三陰交
3.シンスプリント:陽陵泉
4.フットボールアンクル:膝関
解答1
解説
1.〇 正しい。ジャンパー膝:犢鼻
・大腿四頭筋腱炎とは、(ジャンパー膝:膝蓋靭帯炎)ともいい、反復したジャンプ動作によって起こる。バレーボール・バスケットボールの選手などに多く発症し、膝蓋骨遠位部に圧痛を認める。
・犢鼻は、膝前面、膝蓋靱帯外方の陥凹部に位置する。
2.× ランナー膝:三陰交
・腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
・三陰交は、下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸に位置する。
3.× シンスプリント:陽陵泉
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。運動中や運動後にすねの内側に痛みが出る。超音波にて治療を行う際は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。
・陽陵泉は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部に位置する。
4.× フットボールアンクル:膝関
フットボールアンクルとは、衝突性外骨腫ともいい、サッカーのキック動作や、バスケットボールのジャンプ時など足関節を大きく動かすことで、骨同士が衝突して足首の前や後ろの部分に骨の増殖変化(骨棘形成)、骨軟骨に損傷をきたしている状態をさす。したがって、サッカー選手に多く発生する足首の障害である。また、足関節捻挫の既往により、足関節の不安定性が増すことで発生しやすくなる。
・膝関は、下腿脛骨面、脛骨内側顆の下方、陰陵泉の後方1寸に位置する。
129.絞扼部への治療穴として照海穴が最も適切なのはどれか。
1.腓腹神経絞扼神経障害
2.ギヨン管症候群
3.足根管症候群
4.モートン病
解答3
解説
照海は、足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部に位置する。
1.× 腓腹神経絞扼神経障害
・腓腹神経は、足の外くるぶし辺りから小趾にかけての外側の部分の皮膚知覚を支配している知覚神経である。
2.× ギヨン管症候群
・ギヨン管:Guyon管は、尺骨神経管ともいい、豆状骨と有鈎骨、そして豆鈎靱帯によって形成されたトンネル(管)のことである。通るものとして、①尺骨神経、②尺骨動脈である。Guyon管症候群は、尺骨神経麻痺が起こる。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
3.〇 正しい。足根管症候群は、絞扼部への治療穴として照海穴である。足根管症候群とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。
4.× モートン病
モートン病とは、足趾へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害である。 神経が圧迫される原因には、ハイヒールなどの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾など骨の形態異常がある。中足骨頭周辺または足趾周辺の疼痛を特徴とする。
130.局所治療穴として気戸穴が最も適切となる徒手検査所見はどれか。
1.モーリーテスト陽性
2.エデンテスト陽性
3.スパーリングテスト陽性
4.ヤーガソンテスト陽性
解答2
解説
気戸は、前胸部、鎖骨下縁、前正中線の外方4寸に位置する。
1.× モーリーテスト陽性
・Morley test(モーレイテスト、モーリーテスト)は、胸郭出口症候群(胸郭出口症候群のうちの斜角筋症候群)の誘発テストである。方法は、検者が患者の鎖骨上縁の斜角筋三角部を指先で1分間圧迫する。患側頚部から肩・腕および手指にかけての痛み・しびれ・だるさなどが出現すれば陽性である。
2.〇 正しい。エデンテスト陽性は、局所治療穴として気戸穴が最も適切となる徒手検査所見である。
・Edenテスト(エデンテスト)は、胸郭出口症候群誘発テストである。方法は、患者は座位になり胸を張った状態で両方の肩関節を伸展する。検査者は橈骨動脈の拍動をモニターして約1分程度保持する。橈骨動脈の拍動が減弱または消失した場合、胸郭出口症候群と判断する。
3.× スパーリングテスト陽性
・Spurlingテスト(スパーリングテスト)は、頚椎の椎間孔圧迫試験である。方法は、頭部を患側に傾斜したまま下方に圧迫を加える。患側上肢に疼痛やしびれを認めれば陽性である。
4.× ヤーガソンテスト陽性
・Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)の陽性は、上腕二頭筋腱炎を疑う。患者の肘90°屈曲させ、検者は一側の手で肘を固定して、他方の手で患側手首を持つ。次に患者にその前腕を外旋・回外するように指示し、検者はそれに抵抗を加える。