第22回(H26年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前26~30】

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26.内包が通るのはどれか。

1.尾状核とレンズ核の間
2.淡蒼球と被殻の間
3.被殻と前障の間
4.前障と島の間

解答

解説

線条体の構成

①被殻
②尾状核
(※レンズ核は①被殻、②淡蒼球である)

1.〇 正しい。尾状核とレンズ核の間に、内包が通る。レンズ核は「被殻」と「淡蒼球」から成り、内包はその内側(尾状核との間)を通過する。ちなみに、内包とは、大脳皮質と脳幹・脊髄を結ぶ投射線維が通る経路である。

2.× 淡蒼球と被殻の間
被殻、淡蒼球は、大脳基底核の一部である。大脳基底核は左右の大脳半球の深部に存在する神経群(灰白質)である。

3.× 被殻と前障の間
・前障は、レンズ核の外側にある灰白質の層に位置する。

4.× 前障と島の間
・島とは、側頭葉と前頭葉の間、外側溝(シルビウス裂)の奥に位置する部位で、内臓からの感覚および自律神経情報を統合する。

(※図引用:「脳(矢状断)」illustAC様HPより)

 

 

 

 

 

27.舌咽神経と関連するのはどれか。

1.毛様体神経節
2.翼口蓋神経節
3.顎下神経節
4.耳神経節

解答

解説

舌咽神経とは?

舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。

1.× 毛様体神経節は、動眼神経(第Ⅲ脳神経)と関連し、眼球内の平滑筋(毛様体筋や瞳孔括約筋)を支配する副交感神経線維を中継する。

2.× 翼口蓋神経節は、顔面神経(第Ⅶ脳神経)の副交感神経線維と関連し、涙腺や鼻腔・口腔の分泌腺に分布する線維を中継する。

3.× 顎下神経節は、顔面神経(第Ⅶ脳神経)の副交感神経線維と関連し、顎下腺や舌下腺(唾液腺)への分泌を司る線維を中継する。

4.〇 正しい。耳神経節は、舌咽神経と関連する。耳神経節とは、舌側頭下窩の卵円孔のすぐ下、下顎神経の内側表面に位置する小さな副交感神経節である。機能的には舌咽神経に関連しており、唾液分泌のために耳下腺を神経支配している。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

28.腕神経叢の後神経束から分かれるのはどれか。

1.横隔神経
2.長胸神経
3.胸筋神経
4.胸背神経

解答

解説

(※図引用:日本整形外科学会様HPより)

腕神経叢麻痺とは?

腕神経叢とは、頚髄から分枝した神経が鎖骨や肋骨の間を通り、腋窩付近を走行する際に形成する神経の束のことである。腕神経叢麻痺は、腕神経叢の過伸展によって引き起こされることが多い。
・上位型:C5~6神経根
・下位型:C8~T1神経根
・全型:C5~T1神経根

1.× 横隔神経とは、第四頚神経を中心に構成され、首から縦隔を通って横隔膜にいたる。横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の線維を含む。 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。 感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。 胸郭においては、縦隔胸膜と心膜に枝を出す。

2.× 長胸神経とは、最も近位である神経根から分岐し(C5~7)、前鋸筋を支配する。

3.× 胸筋神経には「外側胸筋神経(外側神経束から)」と「内側胸筋神経(内側神経束から)」がある。つまり、腕神経叢の外側神経束または内側神経束から分かれる。

4.〇 正しい。胸背神経は、腕神経叢の後神経束から分かれる。胸背神経(C7~8)は、広背筋を支配する。ほかにも、腕神経叢の後神経束から分岐するのは、①腋窩神経と②橈骨神経である。

 

 

 

 

 

29.腰神経叢の枝で筋裂孔を通るのはどれか。

1.陰部大腿神経
2.外側大腿皮神経
3.腸骨下腹神経
4.閉鎖神経

解答

解説

MEMO

腹部から下肢に分布する脊髄神経は、腰神経叢と仙骨神経叢とを形成する。腰神経叢は、T12~L4の前枝で構成され、その枝は腹部から大腿前面に分布する。一方、仙骨神経叢は、L4~S4前枝から構成され、その枝は腰部~大腿後面と下肢~足部に分布する。

腰神経叢:①腸骨下腹神経、②腸骨鼠経神経、③外側大腿皮神経、④大腿神経、⑤陰部大腿神経、⑥閉鎖神経

仙骨神経叢:①上殿神経、②下殿神経、③坐骨神経、④後大腿皮神経、⑤陰部神経

1.× 陰部大腿神経は、腰神経叢(L1~L2)から分かれ、血管裂孔を通る。血管裂孔を通過するものは、①大腿動脈、②大腿静脈、③大腿管(リンパ管)、④陰部大腿神経の大腿枝である。

2.〇 正しい。外側大腿皮神経は、腰神経叢の枝で筋裂孔を通る。大腿の外側部の皮膚感覚を支配する。鼡径靭帯下の筋裂孔とは、鼠経靭帯と寛骨で形成される間隙で、腸恥筋膜弓によって分割された空間のことである。①筋裂孔は、外側の空間を、②血管製孔内側の空間をとよぶ 。筋裂孔を通過するものは、外側大腿皮神経のほか、①腸腰筋、②大腿神経である。

3.× 腸骨下腹神経は、腰神経叢(T12~L1)から分かれ、腹壁の筋(外腹斜筋)や皮膚を支配する。

4.× 閉鎖神経は、腰神経叢(L2~L4)から分かれ、閉鎖孔を通って大腿内側の筋(内転筋群)を支配する。ちなみに、閉鎖孔とは、骨盤腔の下方で坐骨・恥骨・腸骨に囲まれる三角形の空隙のことである。その中に、閉鎖神経と閉鎖動静脈脈が通る。長内転筋の【起始】恥骨結節の下方、【停止】大腿骨粗線内側唇の中部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【支配神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。

 

 

 

 

 

30.眼について正しいのはどれか。

1.黄斑の中央部を視神経円板という。
2.水晶体と虹彩の間の空間を前眼房という。
3.角膜と強膜の境界部にシュレム管がある。
4.網膜の色素上皮層は単層円柱上皮よりなる。

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

1.× 黄斑の中央部を「視神経円板」ではなく中心窩という。視神経乳頭(視神経円板)とは、視神経が網膜を貫通する部分である。ここには視覚受容器(錐体細胞と桿体細胞)が存在しない。したがって、視神経乳頭は盲点と呼ばれることがある。

2.× 水晶体と虹彩の間の空間を「前眼房」ではなく後眼房という。前眼房とは、角膜と虹彩の間にある部分を指す。 一方、後眼房とは、虹彩と水晶体の間の部分を指す。眼内圧の維持に寄与している。

3.〇 正しい。角膜と強膜の境界部にシュレム管がある。シュレム管とは、強膜静脈洞ともいい、角膜と強膜の境界部にある輪状に走る管である。房水を集めて静脈へ排出する役割を持つ管である。

4.× 網膜の色素上皮層は、「単層円柱上皮」ではなく単層立方上皮よりなる。単層円柱上皮とは、吸収と分泌を行う場所に向く特徴を持ち、消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮などが該当する。

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

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