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116.次の文で示す患者の病証に対し、募穴を用いて治療を行う際、最も適切なのはどれか。
「43歳の女性。子育てと仕事の両立で倦怠感と下腿のだるさが常にある。顔色は黄色で艶がなく、下痢をしやすい。舌質は淡、脈は虚。」
1.期門
2.章門
3.京門
4.石門
解答2
解説
・43歳の女性。
・子育てと仕事の両立で倦怠感と下腿のだるさが常にある。
・顔色は黄色で艶がなく、下痢をしやすい。
・舌質は淡、脈は虚。
→本症例は、脾虚証が疑われる。脾虚証とは、体力がなく、弱々しい感じの状態を指す。ほかの症状として、細くて華奢、顔色が悪くて、肌が荒れやすい。 細くて、小さな声。 胃腸が弱くて、下痢をしやすいなどである。
1.× 期門は、肝の募穴である。期門は、前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸に位置する。
2.〇 正しい。章門は、この患者の病証(脾虚証)に対し、募穴を用いて治療を行う。脾の募穴である章門は、側腹部、第11肋骨端下縁に位置する。
3.× 京門は、腎の募穴である。京門は、側腹部、第12肋骨端下縁に位置する。
4.× 石門は、三焦の募穴である。石門は、下腹部、前正中線上、臍中央の下方2寸に位置する。
117.次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。
「69歳の男性。主訴は呼吸促迫。冬になると症状が増悪する。少し動くだけで息切れが起こる。手足は冷たく、淡は希薄で色は白っぽい。舌質は淡白、脈は弱。」
1.気虚
2.血虚
3.陰虚
4.陽虚
解答4
解説
・69歳の男性(主訴:呼吸促迫)。
・冬になると症状が増悪する。
・少し動くだけで息切れが起こる。
・手足は冷たく、淡は希薄で色は白っぽい。
・舌質は淡白、脈は弱。
→本症例は、陽虚が疑われる。ほかの選択肢が消去できる理由もおさえておこう。
1.× 気虚とは、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などの症状がみられる状態である。
2.× 血虚とは、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などがみられる状態である。
3.× 陰虚とは、陰熱であり、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などがみられる状態である。
4.〇 正しい。陽虚は、この患者の病証である。陽虚は、虚寒であり、寒証+気虚症状。寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、下痢、白色帯下、腹痛、自汗、倦怠感、息切れ、食欲不振、脈遅・弱などがみられる状態である。
118.鍼施術が有効な睡眠障害で最も適切なのはどれか。
1.閉塞性無呼吸症候群
2.レム睡眠行動障害
3.交替勤務性睡眠障害
4.単純性睡眠障害
解答4
解説
持続性気道陽圧法(Continuous Positive Airway Pressur:CPAP:シーパップ)は、気道内圧を呼吸相全般にわたって常に一定の陽圧に(大気圧よりも高く)保ち、換気は機械的な換気補助なしに患者の自発呼吸にまかせて行う換気様式のことである。機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止できる。
1.× 閉塞性無呼吸症候群より鍼施術が有効なものが他にある。なぜなら、閉塞性無呼吸症候群の治療の第一選択は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)や外科的治療であるため。ちなみに、睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断化、睡眠の減少により日中過度の眠気などを伴う病態である。医学的には、10秒以上の気流停止を無呼吸とし、無呼吸が一晩に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上を診断基準とすることが多い。
2.× レム睡眠行動障害より鍼施術が有効なものが他にある。なぜなら、レム睡眠行動障害の治療の第一選択は、薬物療法(クロナゼパムなど)であるため。ちなみに、レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
3.× 交替勤務性睡眠障害より鍼施術が有効なものが他にある。なぜなら、交替勤務性睡眠障害の治療の第一選択は、勤務スケジュールの調整であるため。ちなみに、交代勤務睡眠障害とは、夜間の勤務を終えて朝方から睡眠をとる際になかなか寝付けず、寝付いても何回も途中で目が覚めてしまうという症状が認められる状態である。 起床後に疲労回復感が乏しく、夜間の勤務時間帯における眠気と注意集中困難および作業能力の低下がみられる。
4.〇 正しい。単純性睡眠障害は、鍼施術が有効な睡眠障害である。単純性睡眠障害とは、習慣性いびき、単純性いびきともいわれ、睡眠中に上気道で発生する呼吸音で、無呼吸や低呼吸、呼吸努力関連覚醒反応(RERA)などのエピソードを伴わずに生じる睡眠障害である。
119.神経痛と局所治療穴の組合せで正しいのはどれか。
1.大後頭神経痛:天柱
2.小後頭神経痛:脳戸
3.大耳介神経痛:聴会
4.眼神経痛:四白
解答1
解説
1.〇 正しい。大後頭神経痛:天柱
天柱は、後頸部、第2頸椎棘突起上縁と同じ高さ、僧帽筋外縁の陥凹部に位置する。
2.× 小後頭神経痛は、「脳戸」ではなく完骨である。
・完骨は、前頸部、乳様突起の後下方、陥凹部に位置する。ちなみに、大後頭神経は、後頭部の知覚を支配する。
・脳戸は、頭部、外後頭隆起上方の陥凹部に位置する。
3.× 大耳介神経痛は、「聴会」ではなく瘈脈である。
・瘈脈は、頭部、乳様突起の中央、翳風と角孫を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、翳風から1/3に位置する。耳介を隔てて外耳孔と相対するところにあたる。ちなみに、大耳介神経は、頚神経叢の枝であり、耳介とその周辺の皮膚の感覚を司る神経である。大耳介神経の分布領域は広く、側頭部から耳介後部を経て後頭部、顔面の三叉神経第3枝領野と第2枝領野の一部、顎下部などに及んでいる。
・聴会は、顔面部、珠間切痕と下顎角関節突起の間、陥凹部に位置する。聴宮(小場経)の直下にあたる。
4.× 四白は、「眼神経痛」ではなく眼窩下神経である。四白は、顔面部、眼窩下孔部に位置する。眼窩下神経の出る部にあたる。また、眼輪筋の治療穴である。四白は、特発性三叉神経痛の好発部位に対する局所治療穴である。特発性三叉神経痛とは、三叉神経のうち、1つまたは複数の枝の領域におこる発作性電撃様疼痛である。40歳以上の中高年者に多くみられ、女性に多くみられる。発作の間隔は症状の進行とともに短縮する。痛みは片側性に発症し、正中を越えて反対側に広がることはない。好発部位は第Ⅱ枝、次に第Ⅲ枝である。
(※図引用:「illustAC様」)
120.中指背側の痛みを認める患者に対し、罹患部のデルマトームを考慮した治療穴で適切なのはどれか。
1.手三里
2.外関
3.消濼
4.少海
解答2
解説
1.× 手三里は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘窓横紋の下方2寸に位置する。
2.〇 正しい。外関は、中指背側の痛み(C7領域)に対する罹患部のデルマトームを考慮した治療穴である。
外関は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横敏の上方2寸に位置する。総指伸筋腱と小指伸筋腱の間に取る。
3.× 消濼
消濼は、上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸に位置する。橈骨神経溝中に取る。
4.× 少海
少海は、肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さに位置する。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)