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31.ホルモンとその効果器の組合せで正しいのはどれか。
1.セクレチン:肝臓
2.コレシストキニン:胆嚢
3.ガストリン:膵臓
4.エリスロポエチン:腎臓
解答1・2
解説
1.〇 正しい。セクレチン:肝臓
セクレチンとは、十二指腸のS細胞から分泌され、胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。肝臓、膵臓、十二指腸が重炭酸塩を分泌するのを促す役割を果たす。
2.〇 正しい。コレシストキニン:胆嚢
コレシストキニンは、十二指腸と上部小腸から分泌される。膵酵素分泌促進、胆嚢収縮作用がある。コレシストキニンもセクレチンと同じく、膵液の分泌を促すホルモンであるが、この膵液は消化酵素を多く含む。
3.× ガストリンは、「膵臓」ではなく胃である。
ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。
4.× エリスロポエチンは、「腎臓」ではなく骨髄である。
エリスロポエチンとは、主に腎臓から分泌される糖蛋白性の造血促進ホルモンである。赤血球の産生を促進する造血因子の一つである。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるδ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
32.出産時の子宮収縮にかかわるホルモンはどれか。
1.エストロゲン
2.黄体形成ホルモン
3.オキシトシン
4.プロゲステロン
解答3
解説
1.× エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
2.× 黄体形成ホルモンとは、下垂体前葉から分泌され、卵巣に影響し排卵を起こす上で重要な役割を担う。また、思春期に増加し、精巣においてテストステロン、卵巣においてエストロゲンの分泌を増加させる。
3.〇 正しい。オキシトシンは、出産時の子宮収縮にかかわるホルモンである。オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。出産後に乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。
4.× プロゲステロンとは、黄体ホルモンともいい、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
33.神経線維の興奮伝導について正しいのはどれか。
1.活動電位は隣接する神経線維に伝わる。
2.無髄線維は有髄線維より伝導速度が速い。
3.活動電位の大きさは伝導の途中で減衰する。
4.有髄線維では跳躍伝導が起こる。
解答4
解説
①絶縁性(隔絶)伝導…1本の神経線維の興奮は、隣接するほかの神経線維を興奮させない。
②不滅衰伝導…興奮は減衰せずに伝わる。
③両方向(両側)性伝導…神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。
④等速伝導…1本の軸索上の興奮は一定の速度で伝導していく。ただし、有髄線維では跳躍伝導が起こる。
1.× 活動電位は、隣接する神経線維に「伝わらない」。これを絶縁性(隔絶)伝導という。
2.× 逆である。「有髄線維」は「無髄線維」より伝導速度が速い。なぜなら、有髄線維では跳躍伝導が起こるため。
3.× 活動電位の大きさは伝導の途中で減衰「しない」。これを不滅衰伝導という。
4.〇 正しい。有髄線維では跳躍伝導が起こる。なぜなら、有髄線維の活動電位は、ランビエ絞輪を飛び越えるように伝導するため。髄鞘とは、ミエリン鞘ともいい、神経細胞の軸索のまわりを幾重にも包み込む、脂質に富んだ膜構造のことである。グリア細胞(中枢神経ではオリゴデンドロサイト、末梢神経ではシュワン細胞)から供給され、神経細胞の軸索が一定の径に達すると、髄鞘形成が開始される。
34.筋収縮に必要なイオンはどれか
1.カルシウム
2.水素
3.鉄
4.マグネシウム
解答1
解説
【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。
【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)
1.〇 正しい。カルシウムは、筋収縮に必要なイオンである。なぜなら、筋収縮の機序として、まず筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合するため。
2.× 水素は、筋収縮に必要なイオンとはいえない。乳酸/水素イオン(H+)は、運動による疲労時に筋内で増える。乳酸は、嫌気性代謝でピルビン酸から産生される。水素イオン(H+)は、クエン酸回路において、「ピルビン酸→活性酢酸」、「クエン酸→α-ケトグルタル酸」、「α-ケトグルタル酸→コハク酸」、「リンゴ酸→オキサロ酢酸」という4つの化学反応で、水素はNADH + H+ というかたちで放出される。また、「コハク酸→フマル酸」へ変化する過程で、FADH2 というかたちで水素(H+)が放出される。
3.× 鉄は、筋収縮に必要なイオンとはいえない。鉄は、ヘモグロビンやミオグロビンの構成要素として酸素運搬に寄与する。
4.× マグネシウムは、筋収縮に必要なイオンとはいえない。マグネシウムは、ATPの安定化や酵素活性の調整に寄与する。
解糖系とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解し、グルコースに含まれる高い結合エネルギー(ATP)を生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。グルコースから生じたピルビン酸は、還元され最終産物として乳酸になる。このグルコースから乳酸への変換経路は、酸素の関与なしに起こりうるので、嫌気的代謝(解糖)と呼ばれる。
【クエン酸回路とは?】
クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。
35.随意運動の伝導路はどれか。
1.皮質脊髄路
2.後索路
3.脊髄視床路
4.脊髄網様体路
解答1
解説
1.〇 正しい。皮質脊髄路は、随意運動の伝導路である。外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)は、大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索である。
2.× 後索路は、深部感覚、識別的な触圧覚を伝える経路である。後索路とは、脊髄後角から同側の後索を通り、延髄でニューロンを換え、左右交差し、内側毛帯を通り、視床という経路となる。
3.× (外側)脊髄視床路は、温痛覚・粗大触圧覚を伝え、「感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野」を通る。
4.× 脊髄網様体路は、脊椎動物の姿勢や歩行(移動)動作に関与する運動性下行路である。
聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回
視覚:視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野
・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。
・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野