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51.チアノーゼを判断しやすいのはどれか。
1.眼球結膜
2.口唇
3.手掌
4.腹部
解答2
解説
チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色である状態をいう。 一般に、血液中の酸素が不足することをきっかけとし、 血液中の酸素濃度が低下した際に、爪床や口唇周囲に表れやすい。毛細血管血液中の還元ヘモグロビンが、5g/dL以上に増加すると出現する皮膚の青紫調変化である。
1.× 眼球結膜/手掌/腹部より、チアノーゼを判断できる部位が他にある。
・眼球結膜の色調は、主に貧血や黄疸の評価に用いられる。
・手掌の色調は、厚い角質層や個人差(肌の色)が大きい。
・腹部の色調は、血流が比較的少ないため、色調の変化は乏しい。
2.〇 正しい。口唇は、チアノーゼを判断しやすい。チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色である状態をいう。 一般に、血液中の酸素が不足することをきっかけとし、 血液中の酸素濃度が低下した際に、爪床や口唇周囲に表れやすい。毛細血管血液中の還元ヘモグロビンが、5g/dL以上に増加すると出現する皮膚の青紫調変化である。
52.呼吸機能検査所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.拘束性障害:慢性閉塞性肺疾患(COPD)
2.閉塞性障害:肺結核後遺症
3.拡散能低下:特発性肺線維症
4.気道過敏性亢進:心臓性喘息
解答3
解説
(※図引用:yakugaku lab様HP)
1.× 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、「拘束性障害」ではなく閉塞性障害である。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%が慢性閉塞性肺疾患を発症する。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
・増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
・減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2
2.× 肺結核後遺症は、「閉塞性障害」ではなく拘束性障害である。なぜなら、肺結核後遺症は、胸隔形成術や胸膜炎の影響で胸隔の動きが制限されるため。
3.〇 正しい。拡散能低下:特発性肺線維症
・肺拡散能とは、肺胞から肺胞上皮および毛細血管内皮を介して赤血球へガスを運搬する能力を測定するものである。
・肺線維症とは、肺胞の周りの間質の壁が炎症により厚くなり、線維化している状態のこと。酸素の拡散が障害されるため、拡散能が低下する。原因としては、職業上の粉塵吸入やペット飼育などの住環境、薬剤や健康食品(薬剤性肺障害)、関節リウマチ他の膠原病などさまざまなものが考えられる。
4.× 気道過敏性亢進は、「心臓性喘息」ではなく気管支喘息である。
・心臓喘息とは、左心不全による肺うっ血のために気管支が圧迫されることが原因で、喘息と似た症状が起こる。
・気道過敏性亢進は、気道が刺激に過敏になり、収縮しやすくなる状態で、主に気管支喘息で見られる。気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなっていきますが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。
肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
53.血圧について正しいのはどれか。
1.血圧を測定する際は前腕を強く屈曲する。
2.低血圧は動脈硬化の危険因子である。
3.血圧は心臓の拡張期に最高となる。
4.収縮期血圧と拡張期血圧の差を脈圧という。
解答4
解説
1.× 血圧を測定する際は、前腕を強く屈曲する必要はない。なぜなら、前腕を強く屈曲すると、血流が妨げられ、不正確な血圧測定結果になる可能性があるため。したがって、血圧を正確に測定するためには、前腕をリラックスさせ、心臓と同じ高さに保つ。※厳密にいうと、「前腕を屈曲する」といった表現は不適切である。前腕を屈曲することは、骨折を意味する。したがって、肘関節、手関節どちらか明記すべきである。
2.× 「低血圧」ではなく高血圧は、動脈硬化の危険因子である。なぜなら、血圧が高い状態が続くと、血管の内膜にダメージが与えられ、コレステロールや脂質が沈着しやすくなるため。ちなみに、動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態である。 内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる。
3.× 血圧は、心臓の「拡張期」ではなく収縮期に最高となる。拡張期血圧とは、心臓が拡張したときの血圧を指す。 拡張期圧、最小血圧、最低血圧ともいう。 拡張期とは、全身から戻った血液が心臓にたまり、心臓が拡張している状態である。
4.〇 正しい。収縮期血圧と拡張期血圧の差を脈圧という。脈圧の異常(増加または減少)は、動脈硬化や心血管疾患のリスク評価に使用される。ちなみに、平均血圧とは、収縮期血圧、拡張期血圧を1つの数値で表したものである。平均血圧(mmHg)の計算方法は、(収縮期血圧 - 拡張期血圧)/3 + 拡張期血圧である。脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差である。
54.肝腫大の胸腹部打診所見はどれか。
1.濁音域の拡大
2.清音域の拡大
3.鼓音域の拡大
4.過共鳴音域の拡大
解答1
解説
肝腫大とは、肝臓が腫れて大きくなった状態である。ほとんど自覚症状ないが、時折、肝腫大による腹部膨満感や右脇腹の叩打痛を自覚する場合がある。また、軽い倦怠感を訴えることもある。原因には、脂肪肝、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性心不全によるうっ血肝などさまざまな病気が考えられる。
1.〇 正しい。濁音域の拡大は、肝腫大の胸腹部打診所見である。なぜなら、肝臓は密度が高いため。右下胸部から右上腹部にかけての濁音が広がる。ちなみに、濁音とは、打診で聴取される小さく濁った音である。音の振幅が小さく、含気が少ないことを意味する。肝臓、心臓などの実質性臓器において聴取される音である。腹水が貯留しているとき、臥位で側腹部を打診すると、液体が存在するため濁音が聴こえる。
2.× 清音域の拡大は、肝腫大の胸腹部打診所見とはいえない。清音とは、通常、空気を含む部位(例えば、肺)を打診したときに聞こえる。音の振幅が大きく、含気が多いことを意味します。正常な場合、打診によって聴かれる。
3.× 鼓音域の拡大は、肝腫大の胸腹部打診所見とはいえない。鼓音とは、ガスが充満しているとき、例えば、腸管内に大量のガスがあるときに聴こえる。気胸および肺に空洞のある患者の一部に胸部打診をしたとき聞こえる変化した鼓のような音調である。
4.× 過共鳴音域の拡大は、肝腫大の胸腹部打診所見とはいえない。過共鳴音(鼓音)とは、胸水の上部を打診した際に聴取される打診音である。肺気腫や気胸で聞かれる異常な肺音である。
55.胆嚢癌について正しいのはどれか。
1.女性に多い。
2.胆石の合併は少ない。
3.左季肋部痛が多い。
4.AFPの上昇がみられる。
解答1
解説
(※図引用:「腹痛」ソージュ山下町内科クリニック様HPより)
1.〇 正しい。女性に多い。男女比は、1:2前後である。これは、胆石が胆嚢癌のリスク因子であり、胆石症が女性に多いことと関連している。胆石症とは、胆汁の流れる胆道に石(胆石)ができてしまう病気の総称である。原因となる胆石は、胆汁に含まれる成分が溶けきれず石のように固まることで発生する。もっとも頻度が高いコレステロール石は胆汁のコレステロール濃度が高くなることで発生する。症状として、放散痛や吐き気、嘔吐である。胆石症の放散痛は、右肩甲骨部、腰、上腹部への放散痛が生じる。
2.× 胆石の合併は「少ない」と断定できない。むしろ、胆石が胆嚢癌のリスク因子である。胆石による慢性的な炎症が胆嚢癌のリスクを高める。
3.× 「左」ではなく右季肋部痛が多い。なぜなら、胆嚢は、右季肋部(右の肋骨の下あたり)に位置するため。
4.× AFP(α-フェトプロテイン)の上昇がみられるのは、主に肝臓の疾患である。健康な成人の血液には含まれないが、肝臓がんになると血液中に増加するため、肝臓がんのスクリーニング検査として用いられる。胆嚢癌では、CA19-9の上昇である。CA19-9は、膵癌の腫瘍マーカーである。ちなみに、CA19-9は、マウスモノクローナル抗体NS19-9で認識されるシアリルLea抗原のことである。また、胆道癌や一部の胃癌でも上昇することがある。