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71.自然気胸について正しいのはどれか。
1.女性に多い。
2.肥満者が多い。
3.胸痛をきたすことが多い。
4.緊張性気胸となることはない。
解答3
解説
自然気胸とは、明らかな原因がなく起こる気胸のことである。一般的な症状として、①突然の胸の痛み、②咳、③呼吸困難などがあげられる。自然気胸は20歳前後に多く、その次には60歳代によく起こる。若年者の特徴は、男性・長身・やせ型である。体質的に肺の表面を覆っている胸膜が弱いため発症すると考えられている。一方で高齢者の場合は、喫煙者で栄養状態の悪い方が多い。高齢の方は肺の状態が元来良くないために、治療に時間がかかったり、治療後に気胸が再発することもある。
1.× 「女性」ではなく男性に多い。
2.× 「肥満者」ではなくやせ型が多い。
3.〇 正しい。胸痛をきたすことが多い。一般的な症状として、①突然の胸の痛み、②咳、③呼吸困難などがあげられる。
4.× 緊張性気胸となること「もある」。自然気胸が進行すると、胸腔内の圧力が増大して緊張性気胸(生命を脅かす状態)に移行することがある。緊張性気胸とは、胸壁と肺との間に空気がたまることで胸部への圧力が高まり、心臓に戻る血液が減少することである。症状には、胸痛、息切れ、速い呼吸、心拍数の増加などがあり、ショックに至ることがある。
【原発性自然気胸】
原発性自然気胸とは、肺疾患のない人に明らかな原因なく起こる気胸のこと。通常、肺のややもろくなった部分(ブラ)が破裂した際に発生する。特徴として、40歳未満で背が高い男性の喫煙者に最もよくみられる。ほとんどの人が完全に回復するが、最大で50%の人に再発がみられる。
【続発性自然気胸】
続発性自然気胸とは、基礎に肺疾患がある人に発生する気胸のこと。最も多いものは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のある高齢者である。他にも、嚢胞性線維症、喘息、ランゲルハンス細胞組織球症、サルコイドーシス、肺膿瘍、結核、ニューモシスチス(Pneumocystis)肺炎など、その他の肺疾患の患者でもみられる。特徴として、基礎に肺疾患があるため、原発性自然気胸に比べて症状や治療成績は一般に悪くなる。再発率は、原発性自然気胸と同程度である。
72.慢性腎不全でみられるのはどれか。
1.低カリウム血症
2.高ナトリウム血症
3.高リン血症
4.高カルシウム血症
解答3
解説
慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
1.× 「低」ではなく高カリウム血症を呈す。なぜなら、腎臓のカリウム排泄能力が低下するため。むしろ、低カリウム血症は、利尿薬の使用などで生じる。高カリウム血症とは、血清カリウム濃度が5.5mEq/Lを上回ることである。通常は腎臓からのカリウム排泄の低下またはカリウムの細胞外への異常な移動によって発生する。原因としては、①カリウム摂取の増加、②腎臓からのカリウム排泄を障害する薬剤、③急性腎障害または慢性腎臓病などで起こりえる。症状として、悪心、嘔吐などの胃腸症状、しびれ感、知覚過敏、脱力感などの筋肉・神経症状、不整脈などが現れる。
2.× 「高」ではなく低ナトリウム血症を呈す。慢性腎不全では、ナトリウム排泄の障害が起きるが、体液量が増加するため。低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が非常に低い状態をいう。原因として、大量の水分摂取、腎不全、心不全、肝硬変、利尿薬の使用などでナトリウム濃度が低下する。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。血中のナトリウムが120~130mEq/Lで軽度の疲労感がみられ、120mEq/L以下では頭痛や嘔吐、食欲不振、精神症状が加わり、110mEq/Lまで低下すると昏睡や痙攣等が起きる。
3.〇 正しい。高リン血症は、慢性腎不全でみられる。なぜなら、腎機能低下により、腎臓でのリンの排泄が障害されるため。ちなみに、高リン血症とは,血清リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回った状態である。原因には,慢性腎臓病,副甲状腺機能低下症,代謝性または呼吸性のアシドーシスがある。臨床的特徴は随伴する低カルシウム血症によるものと考えられ,テタニーが含まれる。診断は血清リン濃度の測定による。治療には,リンの摂取制限,および炭酸カルシウムなどのリン酸結合性制酸薬の投与がある(※引用:「高リン血症」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)。
4.× 「高」ではなく低カルシウム血症を呈す。なぜなら、慢性腎不全では、活性型ビタミンD(カルシトリオール)の生成が減少するため。低カルシウム血症とは、血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること、または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。 原因には、副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏症、および腎疾患がある。症状として、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれん(すべての形)、喉頭けいれん・気管支けいれん、歯牙発育障害などがある。
73.社会的リハビリテーションはどれか。
1.特別支援教育
2.義肢装具療法
3.障害者職業訓練
4.訪問介護サービス
解答4
解説
社会リハビリテーションとは、社会生活力を高めることを目的としたプロセスである。 社会生活力とは、様々な社会的な状況の中で、自分のニーズを満たし、一人ひとりにとって可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を意味する。
1.× 特別支援教育は、教育的リハビリテーションに分類される。特別支援教育とは、障害のある子どもがその能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うための教育である。 障害の状態に応じ、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、通級による指導が行われている。
2.× 義肢装具療法は、医学的リハビリテーションに分類される。義肢装具療法とは、身体障害者が身体機能を補うために義肢や装具を使用し、自立した生活を送ることを支援するものである。医学的リハビリテーションとは、病院や診療所などの医療機関で行われる、障害がある人のリハビリテーションの過程において、保健・医療などの医学的なことに対応する領域である。ちなみに、医学的リハビリテーションとは、病院や診療所などの医療機関で行われる、障害がある人のリハビリテーションの過程において、保健・医療などの医学的なことに対応する領域である。
3.× 障害者職業訓練は、職業リハビリテーションに分類される。障害者職業訓練とは、障害を持つ人が職業能力を身に付け、社会に参加することを目指す支援である。ちなみに、職業リハビリテーションとは、障害者が適当な雇用に就き、それを継続し、かつ、それにおいて向上することができるようにすること及びそれにより障害者の社会への統合又は再統合を促進することを目的とされているリハビリテーションである。
4.〇 正しい。訪問介護サービスは、社会的リハビリテーションである。訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)などが利用者の自宅を訪問して身体介護や調理、洗濯、掃除などの生活援助を行うサービスである。
①医学的リハビリテーション、②教育リハビリテーション、③職業リハビリテーション、④社会的リハビリテーション
74.半側空間無視の評価に用いる検査項目で正しいのはどれか。
1.100から7を順番に引かせる。
2.今日の日付を答えさせる。
3.直線の中点に印をつけさせる。
4.検者の母指と示指で輪をつくり模倣させる。
解答3
解説
劣位半球頭頂葉が障害されると、①対側の半側空無視、②着衣失行、③病態失認が起こる。半側空間無視とは、障害側の対側への注意力が低下し、その空間が存在しないかのように振る舞う状態のことである。半盲のように左半分が見えないわけではなく、注意力が低下している。したがって、①左側への注意喚起、②左側身体への触覚刺激、③左側方向への体軸回旋運動、④左側からの声かけなどが挙げられる。
1.× 100から7を順番に引かせる。
これは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールの計算を評価する。改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とは、認知機能をみる質問紙法による簡易精神機能検査である。9項目の質問に答え、30点満点で20点以下を認知症の疑いとする。
2.× 今日の日付を答えさせる。
これは、見当識の評価である。見当識とは、時間や場所、人、周囲の状況などを総合的に判断して、自分が現在置かれている状況を理解する能力である。
3.〇 正しい。直線の中点に印をつけさせる。
これは、線分二等分試験である。線分二等分試験とは、20cm位の線分の左右の真ん中と思うところに目分量で印をつけてもらう検査である。真の中点から1cm以上右にずれていた場合、左半側空間無視と判定する。
4.× 検者の母指と示指で輪をつくり模倣させる。
これは、観念運動失行の評価である。観念運動失行とは、習慣的な動作を言語命令に従ったり、模倣で遂行することができない状態である。例えば、敬礼やじゃんけんのグーの動作命令をされても出来ないなどである。角回の障害で出現する。
75.「20歳の女性。呼吸困難、全身倦怠感の精査のため受診。胸部レントゲン写真で心拡大と肺うっ血を認めた。心エコー検査では左室内腔は著明に拡大し、心室中隔と左室後壁は薄くなっていた。」
本疾患の所見で適切なのはどれか。
1.尿量増加
2.頸静脈怒張
3.左房径縮小
4.肺動脈圧低下
解答2
解説
・20歳の女性(呼吸困難、全身倦怠感)。
・胸部レントゲン写真:心拡大、肺うっ血。
・心エコー検査:左室内腔は著明に拡大、心室中隔と左室後壁は薄くなっていた。
→本症例は、拡張型心筋症が疑われる。拡張型心筋症とは、心臓(特に左心室、時として両心室)の筋肉の収縮する能力が進行性に低下することにより左心室が通常よりも大きくなってしまい、血液を適切に全身に送ることができなくなって心不全や不整脈を生じる病気である。
→肺うっ血とは、心不全などの循環不全により、肺に血流がうっ滞する状態を示す。
1.× 尿量は「増加」ではなく減少する。なぜなら、心不全では、腎血流が低下し、腎機能が障害されるため。したがって、尿量は減少する。また、心不全に伴う鬱血で水分が体内に貯留するため、尿量の減少する。
2.〇 正しい。頸静脈怒張が、本疾患の所見である。頸静脈怒張とは、頸静脈がぱんぱんに張っている状態(怒張)のことである。頸静脈怒張の機序として、心筋梗塞により心筋が動きにくい(心不全)→血液がうっ血する→頸静脈が怒張するという流れである。
3.× 左房径は「縮小」ではなく拡大する。なぜなら、左心系の負荷が増加するため。左房への負荷がかかると、左房が拡大し、心房細動などの不整脈が生じやすくなる。
4.× 肺動脈圧は「低下」ではなく上昇する。なぜなら、左心不全が進行すると、肺静脈圧が上昇し、それに伴って肺動脈圧も上昇するため。これを肺高血圧という。
心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。