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41.感染伝播経路の観点から接触感染の予防が最も有効なのはどれか。
1.インフルエンザ
2.風疹
3.結核
4.MRSA
解答4
解説
1.× インフルエンザよりも接触感染の予防が最も有効なものが他にある。インフルエンザは、接触感染と飛沫感染である。インフルエンザとは、インフルエンザウイルスへの感染を原因に発症する。A型、B型、C型の3種類があり、このうち冬季に流行する「季節性インフルエンザ」はA型とB型によるものである。症状として、38℃以上の発熱や寒気、関節痛、全身のだるさなどの全身症状と、喉の痛みや咳などの風邪のような症状が現れる。上気道症状が1週間程度続くのが典型的である。
2.× 風疹は、飛沫感染である。風疹とは、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。俗に「三日ばしか」と呼ばれる。風疹ウイルスに感染してからおよそ2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱などの症状が現れる。ただし、症状がない、もしくは気付かないほど軽いこともある。一般的な症状として、発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などである。多くの場合、特別な治療をしなくても自然に治るため、症状を和らげる治療が行われるが、妊娠中に風疹にかかると赤ちゃんに悪影響が出ることもあるため、予防接種をすることがすすめられる。
3.× 結核は、空気感染である。結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
4.〇 正しい。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、感染伝播経路の観点から接触感染の予防が最も有効である。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、主に接触感染である(ただし飛沫感染も否定できない)。健康な人の常在菌で皮膚や鼻腔内にも存在し、傷口の化膿の原因になることがある。しかし、細菌感染症に対する抵抗力が低下した入院患者などが感染した場合、特に手術後の患者は感染の危険性が高くなる。免疫が低下した人などでは様々な疾患の原因となる、いわゆる日和見感染症の原因となる。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
42.胎盤を通過する免疫グロブリンはどれか。
1.IgA
2.IgE
3.IgG
4.IgM
解答3
解説
1.× IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。
2.× IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。
3.〇 正しい。IgGは、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
4.× IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
43.肥満細胞が主役となる疾患はどれか。
1.花粉症
2.結核
3.橋本病
4.関節リウマチ
解答1
解説
肥満細胞とは、マスト細胞ともいい、骨髄系細胞由来の細胞であり、末梢血の顆粒球の一種である好塩基球に類似した性質を持つ、免疫細胞の一種である。 肥満細胞の顆粒内には、ヒスタミン、ロイコトリエン、血症板活性化因子、セロトニン、ヘパリンなどのケミカルメディエーターと呼ばれる物質が含まれている。
1.〇 正しい。花粉症は、肥満細胞が主役となる疾患である。なぜなら、花粉症は、Ⅰ型アレルギー疾患であるため。花粉症とは、植物の花粉が原因(アレルゲン)となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気である。花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉がアレルゲンとなり生じる。Ⅰ型アレルギーではマスト細胞や好塩基球のIgEによる液性免疫が重要な役割を果たす。
2.× 結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
3.× 橋本病とは、甲状腺に炎症が引き起こされることによって徐々に甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下していく病気のことである。慢性甲状腺炎とも呼ばれる。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が低下することによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じる。また、甲状腺クリーゼとは、甲状腺中毒症(甲状腺ホルモン高値)の治療が不十分であったり治療を受けていない場合に、肺炎などの感染症や大怪我・手術などのストレスをうけると、甲状腺ホルモンの過剰な状態に耐え切れなくなり、複数の臓器の機能が低下し、死の危険が切迫した状態になることを指す。症状として、高熱、頻脈、意識朦朧、心臓や肝臓の急速な機能低下、呼吸停止、全身性の黄疸がみられる。生命が危険な状態にあるため、入院し呼吸や血圧の管理、血中の甲状腺ホルモンを減らす必要がある。
4.× 関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
44.癌が最も転移しやすい臓器はどれか。
1.心臓
2.脾臓
3.肝臓
4.腎臓
解答3
解説
肝臓とは、有害物質を無毒化し排泄する臓器である。ほかにも①代謝、②貯蔵、③胆汁の生成・排泄、④生体防御の働きを持つ。
1.× 心臓より癌が転移しやすい臓器が他にある。なぜなら、心臓は、常に血液を拍出する動的な環境であるため、癌細胞が定着しにくい。ちなみに、心臓とは、収縮と拡張を繰り返して、血液を循環させる働きを持つ器官である。
2.× 脾臓より癌が転移しやすい臓器が他にある。なぜなら、脾臓は、癌細胞の定着を防ぐ特殊な免疫機能を持つため、癌細胞が定着しにくい。ちなみに、脾臓とは、左上腹部にあり、①古くなった血球(白血球、赤血球、血小板)の処理や、②感染に対する防御など免疫に関係する働きを担う。
3.〇 正しい。肝臓は、癌が最も転移しやすい臓器である。なぜなら、肝臓は、①門脈系の血流、②血流量の多さ、③栄養豊富な環境が主に上げられるため。癌の転移は、血流やリンパ流に乗って他の臓器へ広がる現象である。その際、特定の臓器は解剖学的・生理学的な特徴により転移の頻度が高くなる。
①門脈系の血流:消化管(胃・腸など)からの血液が門脈を通じて肝臓に流れるため、消化管系の癌(大腸癌、胃癌、膵癌など)が転移しやすい。
②血流量の多さ:肝臓は高い血流量を持つため、血行性転移が起こりやすい。
③栄養豊富な環境:肝臓は癌細胞が増殖しやすい環境を提供する。
4.× 腎臓より癌が転移しやすい臓器が他にある。腎臓とは、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性・アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能がある。
45.対光反射の遠心路はどれか。
1.動眼神経
2.三叉神経
3.外転神経
4.顔面神経
解答1
解説
対光反射とは、強い光に対して瞳孔が収縮してまぶしさを防ぐ反射である。
【求心路】視神経、【遠心路】動眼神経である。
1.〇 正しい。動眼神経は、対光反射の遠心路である。動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。
2.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。
3.× 外転神経とは、眼球運動に関わる脳神経である。外側直筋を支配し、外側への眼球運動を行う。
4.× 顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。
(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)