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問題121 鍼灸治療についてSOAP形式で記録する場合、Aに該当するのはどれか。
1.医療面接の内容
2.他覚的所見
3.治療内容
4.治療経過の評価
解答4
解説
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。
S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)
で、経過を記録する。
1.× 医療面接の内容は、「S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)」である。
2.× 他覚的所見は、「O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)」である。
3.× 治療内容は、「P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)」である。
4.〇 正しい。治療経過の評価は、Aに該当する。
問題122 C8神経根障害でデルマトームを応用した低周波鍼通電療法を行う場合の経穴の組合せで最も適切なのはどれか。
1.合谷:温溜
2.神門:後渓
3.列欠:孔最
4.手五里:臂臑
解答2
解説
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
1.× 合谷:温溜は、C6領域である。なぜなら、前腕橈側に位置するため。
・合谷(※読み:ごうこく)は、手背、第2中手骨中点の橈側に位置する。
・温溜(※読み:おんる)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。
2.〇 正しい。神門:後渓は、C8神経根障害でデルマトームを応用した低周波鍼通電療法を行う場合の経穴の組合せである。
・神門(※読み:しんもん)は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上に位置する。
・後渓(※読み:こうけい)は、手背、第5中手指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。
3.× 列欠:孔最は、C6領域である。なぜなら、前腕橈側に位置するため。
・列欠(※読み:れっけつ)は、前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分に位置する。
・孔最(※読み:こうさい)は、前腕前外側、尺沢と太淵を結ぶ線上、手関節掌側横紋の上方7寸に位置する。
4.× 手五里:臂臑は、C5領域である。なぜなら、上腕橈側に位置するため。
・手五里(※読み:てごり)は、上腕外側、曲池と肩隅を結ぶ線上、肘窩横紋の上方3寸に位置する。深部に橈骨神経幹が通る。
・臂臑(※読み:ひじゅ)は、上腕外側、三角筋前縁、曲池の上方7寸に位置する。
問題123 肩関節外転90度で外旋の自動運動を行ったところ、肩の後方の疼痛を自覚した。罹患筋への刺鍼部位として最も適切なのはどれか。
1.結節間溝
2.肩甲骨下角
3.棘下窩の中央
4.隆椎と肩峰の中点
解答3
解説
・肩関節外転90度で外旋の自動運動。
・肩の後方の疼痛。
→本症例は、棘下筋への治療が必要である。
棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転である。
棘下筋の治療穴は、臑兪、天宗である。
・臑兪(※読み:じゅゆ)は、肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部に位置する。
・天宗(※読み:てんそう)は、肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部に位置する。
1.× 結節間溝は、上腕二頭筋長頭腱が通る。上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)、【神経】筋皮神経:C5,C6である。
2.× 肩甲骨下角は、広背筋や大円筋が付着する。
・広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋、【神経】胸背神経である。
・大円筋の【起始】肩甲骨の下角部、棘下筋膜下部外面、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、内旋、伸展、【神経】肩甲下神経である。
3.〇 正しい。棘下窩の中央は、罹患筋への刺鍼部位である。なぜなら、本症例は、棘下筋への治療が必要であるため。
棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転である。
棘下筋の治療穴は、臑兪、天宗である。
・臑兪(※読み:じゅゆ)は、肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部に位置する。
・天宗(※読み:てんそう)は、肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部に位置する。
4.× 隆椎と肩峰の中点は、主に僧帽筋が走行する。僧帽筋の【起始】後頭骨上項線、外後頭隆起、項靭帯、第7頸椎以下全胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨の肩甲棘と肩峰の上縁および鎖骨外側1/3(三角筋の起始範囲とほぼ同じ)、【作用】上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる。中部:肩甲骨を内側に引く。下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する、【神経】副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝である。
上腕二頭筋腱炎(上腕二頭筋長頭炎)は、上腕二頭筋長頭腱が、上腕骨の大結節と小結節の間の結節間溝を通過するところで炎症が起こっている状態のことである。腱炎・腱鞘炎・不全損傷などの状態で肩の運動時に痛みが生じる。Speedテスト(スピードテスト)・Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)で、上腕骨結節間溝部に疼痛が誘発される。治療は保存的治療やステロイド局所注射となる。
問題124 肩甲上腕関節の拘縮の所見はどれか。
1.自動運動より他動運動の可動域が大きい。
2.肩甲上腕リズムが1:2である。
3.肩峰直下に圧痛がある。
4.エンドフィールが明瞭である。
解答4
解説
1.× 逆である。「他動運動」より「自動運動」の可動域が大きい。なぜなら、自動運動の場合、筋の収縮を伴うため。ちなみに、自動運動とは、自分の力で動かす運動のことをいう。一方、他動運動とは、自分の力を使わず、他者や機械などの外力によって関節を動かすものである。
2.× 肩甲上腕リズムが1:2である場合は、正常の肩甲上腕関節の所見といえる。肩甲上腕リズムは、1944年にInmanらが初めて提唱し、以来様々な研究で検証され、現在においても上腕骨と肩甲骨の運動における基準である。肩関節外転は、肩甲上腕関節のみでは外転90~120°までしかできない。これは肩峰と鳥口肩峰靭帯によって阻害されるためである。さらなる外転位をとるには、肩甲骨・鎖骨を動かすことにより可能となる。上腕骨の外転と肩甲骨の動きを合わせて肩甲上腕リズムという。肩関節を外転させていく際の肩甲上腕リズムの比率は「肩甲上腕関節:肩甲胸郭関節=2:1」である。
3.× 肩峰直下に圧痛があるのは、肩峰下滑液包炎の所見といえる。肩峰直下に圧痛があるのは、プッシュボタン徴候という。ちなみに、肩峰下滑液包炎は、肩に無理な力が加わったり、使いすぎが原因となって、肩と三角筋の間の滑液包に炎症を引き起こす。また、肩峰下滑液包には、肩のインナーマッスルの無理な伸長を防止する働きがある。ちなみに、インピンジメントとは、「突き当たる」「衝突する」などと訳され、肩の関節近くで、骨同士や軟骨、靱帯の衝突やこすれが起きることで痛みを感じる。
4.〇 正しい。エンドフィールが明瞭である。肩甲上腕関節の拘縮とは、五十肩や肩関節周囲炎ともいわれる。明瞭とは、はっきりと見分け(認め)られることである。正常な最終域感(end feel:エンドフィール)は、①軟部組織の接近、②筋の伸張感、③関節包・靭帯の伸張、④骨性などがあげられる。肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節とその周辺組織(肩峰下滑液包や腱板など)の退行性変性が原因となり肩関節の痛みと運動の制限を伴うものである。つまり、③関節包・靭帯の伸張、④骨性に該当する。
肩関節周囲炎(五十肩)は、慢性炎症に分類される。肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節とその周辺組織(肩峰下滑液包や腱板など)の退行性変性が原因となり肩関節の痛みと運動の制限を伴うものである。加齢による退行変性を基盤に発症し、疼痛(運動時痛、夜間時痛)と運動障害を主徴とする。肩関節周囲炎は痙縮期、拘縮期、回復期と分けられ、筋萎縮は拘縮期に肩甲帯筋の廃用性萎縮としてみられる。リハビリとして、Codman体操(コッドマン体操)を実施する。肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。
①痙縮期(約2~9か月):急性期で疼痛が主体となる。明らかな誘因はなく、肩の違和感や痛みで出現。運動時痛や安静時・夜間時痛が出現し、急速に関節が硬くなる。局所の安静、三角巾固定痛みの出る動作は避ける。
②拘縮期(約4~12か月):亜急性期で拘縮が主体となる。徐々に安静時痛・夜間痛は軽減しますが、肩関節は拘縮し、可動域制限が残りやすくなる。過度に動かすと強いつっぱり感が出現する。徐々に運動範囲を広げる(お風呂やホットパックでの保温、愛護的に関節可動域の拡大)
③回復期(約6~9か月):慢性期で、症状は徐々に改善する。可動域制限も徐々に回復し、運動時痛も消失する。積極的な運動(ストレッチング)を実施する。
問題125 脳卒中後の後遺症による上肢の屈曲拘縮に対し、拮抗抑制を利用する目的で低周波鍼通電療法を行う場合の経穴の組合せで最も適切なのはどれか。
1.肩髎:肩隅
2.天泉:侠白
3.消濼:臑会
4.少海:間使
解答3
解説
相反性抑制とは、主働筋が収縮する際に拮抗筋を収縮させない(弛緩させる)命令が出されるというような、互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズムのことである。
1.× 肩髎:肩隅
・肩髎(※読み:けんりょう)は、肩周囲部、肩峰角と上腕骨大結節の間の陥凹部に位置する。三角筋の治療穴である。
・肩隅(※読み:けんぐう)は、肩周囲部、肩峰外縁の前端と上腕骨大結節の間の陥凹部に位置する。三角筋の治療穴である。
2.× 天泉:侠白
・天泉(※読み:てんせん)は、上腕前面、上腕二頭筋長頭と短頭の間、腋窩横紋前端の下方2寸に位置する。上腕二頭筋の治療穴である。
・侠白(※読み:きょうはく)は、上腕前外側、上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方4寸に位置する。上腕二頭筋の治療穴である。
3.〇 正しい。消濼:臑会は、脳卒中後の後遺症による上肢の屈曲拘縮(肘関節屈曲筋の緊張が優位)に対し、拮抗抑制を利用する目的で低周波鍼通電療法を行う場合の経穴の組合せである。つまり、肘関節伸展筋(上腕三頭筋)に対して行う。
・消濼(※読み:しょうれき)は、上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸に位置する。橈骨神経溝中に取る。上腕三頭筋の治療穴である。
・臑会(※読み:じゅえ)は、上腕後面、三角筋の後下縁、肩峰角の下方3寸に位置する。三角筋、上腕三頭筋の治療穴である。
4.× 少海:間使
・少海(※読み:しょうかい)は、肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さに位置する。円回内筋、尺側手根屈筋、長掌筋、橈側手根屈筋の治療穴である。
・間使(※読み:かんし)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸に位置する。浅指屈筋、長掌筋、橈側手根屈筋の治療穴である。