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はり理論試験問題(問題141~150)
(はり師国家試験を受験する者が解答すること。)
問題141 ステンレス鍼の特徴はどれか。
1.刺入痛が少ない。
2.曲がりやすい。
3.酸化しやすい。
4.低周波鍼通電療法に適する。
解答4
解説
・利点:刺入しやすく折れにくい。腐触しにくく、通電・高減菌が可能、安価。
・欠点:柔軟性・弾力性に劣る。
1.× 刺入痛が「少ない」と断言できない。なぜなら、刺入痛は、患者の痛みに対する感受性や、術者の技量に応じて変化するものであるため。
2.× 曲がりにくい。
3.× 酸化しにくい。
4.〇 正しい。低周波鍼通電療法に適する。通電・高減菌が可能で安価なのが特徴である。
特殊鍼法である鍼通電は、鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的である。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。また、通電装置の出力に影響を及ぼすため、通電装置と超短波治療器あるいはマイクロ波治療器を近接して使用すべきではない。20号鍼(3番鍼)以上の太さが推奨される。病的共同運動には高Hz(100HZ)で行うとよい。
問題142 鍼の術式で刺鍼時・抜鍼時に左右交互にひねりながら行うのはどれか。
1.回旋術
2.間歇術
3.旋撚術
4.乱鍼術
解答3
解説
1.× 回旋術は、左右のどちらか一方向に回しながら刺入する(または一定の深さで行う)。
2.× 間歇術は、目的の深さへ刺入し、半分抜いて留め、また前の深さまで刺して留める、を繰り返す。
3.〇 正しい。旋撚術は、鍼の術式で刺鍼時・抜鐵時に左右交互にひねりながら行う。
4.× 乱鍼術は、一定の方式に従わず、複数の手技を併用する。
問題143 鍼の術式のうち鍼管のみを用い、弾入の要領で鍼管を叩打するのはどれか。
1.管散術
2.細指術
3.振せん術
4.内調術
解答1
解説
1.〇 正しい。管散術は、鍼の術式のうち鍼管のみを用い、弾入の要領で鍼管を叩打する。十七手技のうち、最も刺激が弱い。
2.× 細指術は、刺鍼する部位に対して弾入だけを繰り返す。
3.× 振せん術は、刺入後、鍼柄を刺手でつまんで鍼を振動させる。
4.× 内調術は、刺入した鍼の鍼柄を鍼管で叩打し、鍼体に動揺を与える。
問題144 現在の小児鍼で接触鍼および摩擦鍼として用いるのはどれか。
1.いちょう鍼
2.ウサギ鍼
3.振子鍼
4.ローラー鍼
解答1
解説
1.〇 正しい。いちょう鍼は、現在の小児鍼で接触鍼および摩擦鍼として用いる。
小児鍼の対象は、生後2週間後~小学生である。
種類:①摩擦鍼(いちょう鍼、車鍼、ウサギ鍼など)、②接触鍼(集毛鍼、振子鍼、いちょう鍼など)ちなみに、いちょう鍼とは、いちょうの葉のような形のヘラで、皮膚表面を押圧する接触鍼として、また皮膚表面を擦る摩擦鍼としても使用する方法である。
2.× ウサギ鍼は、小児鍼の摩擦鍼として用いられる。皮膚の熱を取り去る目的で使う。
3.× 振子鍼は、小児鍼の接触鍼として用いられる。振ると中に入った鍼が皮膚を刺激する。
4.× ローラー鍼は、小児鍼の摩擦鍼として用いられる。表面に突起がついた小さい車輪の形で、皮膚の上を転がして刺激する。
問題145 NIHの合意形成声明書(1998年2月最終版)で、鍼が有効とされるのはどれか。
1.妊娠時の吐き気
2.薬物中毒
3.テニス肘
4.月経痛
解答1
解説
鍼は(歯科の術後痛、妊娠悪阻、手術後および化学療法による吐き気と嘔吐)に有効であるとされている。
(※参考:「NIH合意形成声明書1998最終版」全日本鍼灸学会雑誌48巻2号様HPより)
1.〇 正しい。妊娠時の吐き気は、NIHの合意形成声明書(1998年2月最終版)で、鍼が有効とされる。
2~4.× 薬物中毒/テニス肘/月経痛は、補助的ないしは代替的治療法として有用である。「NIH合意形成声明書1998最終版」において、「薬物中毒、脳卒中のリハビリ、頭痛、月経痛、テニス肘、線維性筋痛、筋筋膜性疼痛、変形性関節炎、腰痛、手根管症候群、喘息などに対しては、補助的ないしは代替的治療法として有用であろう」と記載されている。
妊娠悪阻とは、妊娠中にみられる極めて強い吐き気や激しい嘔吐のことである。通常の「つわり」がみられる女性とは異なり、妊娠悪阻の女性は体重が減少し、脱水を起こす。妊娠悪阻の重篤な合併症としてビタミンB1の欠乏から発症するウエルニッケ脳症があり、意識障害や小脳性運動失調などが出現し、50%以上で逆行性健忘、記銘力の低下、作話が特徴のコルサコフ症候群という後遺症が残る。 母体死亡に至る症例もあるため、慎重に管理する必要がある。悪心・嘔吐が強く、脱水、3kg以上の体重減少、飢餓によるケトアシドーシスをきたすもの、経口摂取が困難な時、尿ケトン体が陽性の場合は、輸液を行い水分と栄養、ビタミン類を補充する。