第25回(H29年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前21~25】

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問題21 腹膜後臓器はどれか。

1.S状結腸
2.回腸
3.肝臓
4.膵臓

解答

解説
1.× S状結腸/回腸/肝臓は、腹膜内臓器である。
・腹膜内臓器:胃、空腸、回腸、横行結腸、S状結腸、脾臓、卵巣、卵管、虫垂
・半腹膜内臓器:肝臓、膀胱、子宮、直腸、盲腸、上行結腸、下行結腸
・後腹膜器官:十二指腸、腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈、下大静脈、交感神経幹。

4.〇 正しい。膵臓は、腹膜後臓器である。
腹膜後器官(後腹膜臓器)とは、後腹壁の壁側腹膜に接する領域に位置する器官のことである。
腹膜後器官:①十二指腸、②腎臓、③副腎、④膵臓、⑤尿管、⑥腹大動脈、⑦下大静脈、⑧胸管、⑨乳び槽など

 

 

 

 

 

問題22 膀胱について正しいのはどれか。

1.坐骨の後方にある。
2.全体が腹膜で覆われる。
3.膀胱頂に尿管が開口する。
4.骨盤内臓神経が分布する。

解答

解説


1.× 坐骨の「後方」ではなく前方にある(※図参照)。

2.× 「全体」ではなく上部のみが腹膜で覆われる。なぜなら、膀胱は骨盤内の臓器であり、膨張や収縮が頻繁に起こるため。膀胱の上部のみが腹膜で覆われることで、膀胱が柔軟に拡張・収縮しやすくなり、周囲の臓器と摩擦を生じずに動けるようになっている。

3.× 「膀胱頂」ではなく膀胱底部に尿管が開口する。膀胱尖は膀胱頂部に位置する。

4.〇 正しい。骨盤内臓神経が分布する。膀胱には、主に骨盤内臓神経が分布している。骨盤内臓神経は副交感神経線維を含み、排尿の際に膀胱の筋肉(排尿筋)を収縮させる役割を果たしている。

 

 

 

 

 

問題23 男性生殖器とその位置の組合せで正しいのはどれか。

1.精巣上体:陰囊
2.精管:大腿輪
3.尿道球腺:骨盤隔膜
4.射精管:尿道球

解答

解説


1.〇 正しい。精巣上体:陰囊
精巣上体とは、陰嚢の中精巣の外側に付属する組織である。精巣上体は、精巣(睾丸)の上部に位置する管状の構造で、精子が成熟し貯蔵される場所です。精巣上体は、精巣と共に陰囊(陰嚢)の中に存在します。これは正しい組み合わせです。

2.× 精管とは、精巣から精子を精嚢に輸送し、尿道に開口する管である。
大腿輪とは、大腿動静脈が、外腸骨動静脈から分岐して骨盤の中から外に出ていく際に通過する鼠径部にある場所のことを指す。

3.× 尿道球腺は、尿生殖隔膜内に位置する。尿道球腺液とは、カウパー腺液ともいい、男性の尿道球腺から分泌される弱アルカリ性の粘性がある無臭無色透明な液体である。尿道球腺は、前立腺の下、陰茎の付け根付近に位置する。尿生殖隔膜とは、骨盤隔膜とともに骨盤下口を覆う筋膜である。
骨盤隔膜とは、骨盤底を支える強力な筋肉および筋膜の総称である。 主に、肛門挙筋 ・尾骨筋などからなる。 前方は尿生殖隔膜に連続している。骨盤の前の恥骨から後ろの尾骨にかけて存在し、骨盤底の真ん中にあり、最も強く、重要な役割を果たす。膜には、直腸、膣、尿道が通過する穴が存在する。この膜は、腕や足の筋肉と同じく横紋筋でできている。

4.× 射精管とは、精巣上体に蓄えられた精子を射精する際に通過する管で、精管の一部である。
尿道球とは、男性の陰茎の下側にある尿道海綿体の中に位置する。

 

 

 

 

 

問題24 甲状腺について正しいのはどれか。

1.中胚葉に由来する。
2.上甲状腺動脈は外頸動脈の枝である。
3.下甲状腺静脈は鎖骨下静脈に流入する。
4.傍濾胞細胞から出るホルモンは血中カルシウム濃度を上げる。

解答

解説

甲状腺とは?

甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモン(T3およびT4)とカルシトニンを分泌している。甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を抑制する働きを持つ。

1.× 「中胚葉」ではなく内胚葉に由来する。
外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

2.〇 正しい。上甲状腺動脈は外頸動脈の枝である
①内頚動脈の枝:後交通動脈、前大脳動脈、眼動脈、中大脳動脈
②外頚動脈の枝:顔面動脈、後頭動脈、浅側頭動脈、後耳介動脈、舌動脈、顎動脈、上甲状腺動脈、上行咽頭動脈

3.× 下甲状腺静脈は、「鎖骨下静脈」ではなく腕頭静脈に流入する。ちなみに、上大静脈に直接注ぐ静脈は、①右腕頭静脈、②左腕頭静脈、③奇静脈である。

4.× 傍濾胞細胞から出るホルモンは血中カルシウム濃度を「上げる」ではなく下げる。なぜなら、傍濾胞細胞から分泌されるホルモンはカルシトニンであるため。カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を抑制する働きを持つ。つまり、血中カルシウム濃度を低下させる働きをもつ。ちなみに、血中カルシウム濃度を上げるホルモンは、副甲状腺ホルモンである。副甲状腺ホルモンとは、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。

 

 

 

 

 

問題25 感覚とその中継核の組合せで正しいのはどれか。

1.触覚:後索核
2.聴覚:上丘
3.嗅覚:孤束核
4.視覚:内側膝状体

解答

解説
1.〇 正しい。触覚:後索核
深部感覚(振動覚、位置覚、識別的な触圧覚)の伝導路は、後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野となる。

2.× 上丘は、「聴覚」ではなく視覚に関わる。
・聴覚の伝導路は、蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回である。
・(中脳)上丘は、外界の視覚情報に対する眼球や身体の素早い応答を制御する中枢である。

3.× 孤束核は、「嗅覚」ではなく味覚に関わる。
・味覚の伝導路は、味蕾(味細胞)→顔面神経(舌前2/3)、舌咽神経(舌後1/3)→延髄孤束核→視床→大脳味覚野となる。
・嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。
・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。
・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)

4.× 内側膝状体は、「視覚」ではなく聴覚に関わる。
・聴覚の伝導路は、蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回である。
・視覚の伝導路は、視神経→視交叉→視索→外側膝状体→視放線→後頭葉(視覚野)である。

 

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