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問題26 頸部の神経とその支配の組合せで正しいのはどれか。
1.横隔神経:前斜角筋
2.頸神経ワナ:顎二腹筋
3.鎖骨上神経:筋三角の皮膚
4.大耳介神経:耳下腺上の皮膚
解答4
解説
1.× 横隔神経は、「前斜角筋」ではなく横隔膜を支配する。
横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。
横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。
前斜角筋の【起始】第3~7頸椎の横突起前結節、【停止】第1肋骨の前斜角筋結節、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝である。
2.× 頸神経ワナは、「顎二腹筋」ではなく舌骨下筋群を支配する。
舌骨下筋群とは、甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋のことを指す。
顎二腹筋の【起始】側頭骨の乳突切痕(後腹)、【停止】(前腹)下顎骨全部後面の二腹筋窩、【作用】下顎骨を固定時は舌骨を引き上げ、舌骨を固定時は下顎骨を引き下げる(開口)、【神経】前腹:下顎神経の顎舌骨筋神経、後腹:顔面神経の額二腹筋枝である。
3.× 鎖骨上神経は、「筋三角の皮膚」ではなく鎖骨上部の皮膚を支配する。
・鎖骨胸筋三角とは、鎖骨の下部にある三角形のくぼみである。三角筋の前縁、大胸筋の外側縁、鎖骨の下縁で構成されている。
4.〇 正しい。大耳介神経は、耳下腺上の皮膚を支配する。
大耳介神経は、頚神経叢の枝であり、耳介とその周辺の皮膚の感覚を司る神経である。大耳介神経の分布領域は広く、側頭部から耳介後部を経て後頭部、顔面の三叉神経第3枝領野と第2枝領野の一部、顎下部などに及んでいる。
舌骨上筋群:顎舌骨筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋、オトガイ舌骨筋
舌骨下筋群:甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋
問題27 細胞外液について正しいのはどれか。
1.体重の60%を占める。
2.最も多く含まれる陽イオンはナトリウムイオンである。
3.細胞内液よりも浸透圧が高い。
4.間質液と血漿の蛋白質濃度は等しい。
解答2
解説
総水分(体液成分)は、①細胞外液、②細胞内液に分けられる。
①細胞外液:間質液と血漿。間質液が細胞外液の7~8割を占める。
②細胞内液:体液のうち細胞内に存在する。
1.× 体重の「60%」ではなく20%を占める。成人の体液は、60%のうちの40%が細胞内液で、細胞外液は20%である。細胞外液は、①新生児(40%)、②3か月乳児(30%)、③成人(20%)、④高齢者(20%)と変化する。
2.〇 正しい。最も多く含まれる陽イオンはナトリウムイオンである。ナトリウムは、細胞外液中の陽イオンの90%を占め、血漿浸透圧や酸塩基平衡、細胞外液量の調整に重要である。 成人の人体の約60%はナトリウムなどの電解質を含む水分で構成されている。血漿浸透圧と膠質浸透圧の違いを理解し、血漿浸透圧は電解質、膠質浸透圧はアルブミンによって維持されていることを抑えておく。血液中の浸透圧は、イオンなどの低分子による血漿浸透圧と、血漿タンパク質による膠質浸透圧で決まる。膠質浸透圧が低下すると、毛細血管から組織液(間質)へ水が移動し浮腫が起こる。
3.× 細胞内液よりも浸透圧が「高い」のではなく等しい。細胞外液と細胞内液の浸透圧は通常ほぼ等しい。これにより、細胞内外での水分移動が適切に調節されている。不均等となると、浮腫を呈す。
4.× 間質液と血漿の蛋白質濃度は「等しい」のではなく異なる。血漿の蛋白質濃度は、間質液よりも高くなっている。なぜなら、血漿には多くの血漿タンパク質(アルブミンなど)が含まれているため。
浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
問題28 減少すると血圧が上昇するのはどれか。
1.血管断面積
2.血中カテコールアミン
3.血液の粘性
4.循環血液量
解答1
解説
1.〇 正しい。血管断面積が減少すると血圧が上昇する。なぜなら、血管が収縮して断面積が小さくなると、血流に対する抵抗が増すため。
2.× 血中カテコールアミンは「増加」すると、血圧が上昇する。カテコールアミンとは、アドレナリンやノルアドレナリンなどのことで、血管を収縮させ、心拍数を増加させる。ちなみに、副腎髄質から分泌される。
3.× 血液の粘性は「増加」すると、血圧が上昇する。なぜなら、血流に対する抵抗が増すため。
4.× 循環血液量は「増加」すると、血圧が上昇する。なぜなら、心臓が大量の血液を循環させるため。ちなみに、循環血液量とは、血管系内を比較的迅速に循環している血液量をいう。
問題29 呼息時に起こるのはどれか。
1.肋骨が挙上する。
2.外肋間筋が収縮する。
3.横隔膜が水平になる。
4.胸腔内圧が上昇する。
解答4
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.× 肋骨が挙上するのは、「吸気時」である。肋骨が挙上することで、胸腔の容積が拡大し、肺に空気が取り込まれる。
2.× 外肋間筋が収縮するのは、「吸気時」である。安静吸気には、横隔膜・外肋間筋が働く。外肋間筋の【起始】上位肋骨下縁、【停止】下位肋骨上縁、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)である。
3.× 横隔膜が、「水平」ではなく下降する。一方、呼息時には横隔膜は弛緩し、上方へ戻る。これにより、胸腔の容積が減少し、呼息が促進される。
4.〇 正しい。胸腔内圧が上昇する。呼気時は横隔膜が弛緩し、腹圧は低下し、胸腔内圧は上昇する。
問題30 ガストリンの胃に対する作用部位はどれか。
1.壁細胞
2.主細胞
3.精液細胞
4.平滑筋細胞
解答1・2・4
解説
ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。
1.〇 正しい。壁細胞/主細胞は、ガストリンの胃に対する作用部位である。ペプシノーゲンは、主細胞から分泌される。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。
3.× 精液細胞は、ガストリンの胃に対する作用部位ではない。なぜなら、胃に精液細胞はないため。精液細胞とは、精子となる男性生殖細胞である。
4.〇 正しい。平滑筋細胞は、ガストリンの胃に対する作用部位である。なぜなら、胃運動促進の作用があるため。平滑筋細胞とは、筋肉組織の一つで、組織を構成する平滑筋細胞は紡錘形で単核であり、緩やかな収縮で持続性がある。