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問題86 脳性麻痺の定義について正しいのはどれか。
1.進行性病変に基づく。
2.永続的な運動障害である。
3.脊髄病変も関与する。
4.症状は生後4週以内に発現する。
解答2
解説
「脳性麻痺は受胎から新生児(生後4週以内)までの間に生じた、脳の非進行性病変にもとづく永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常(1968年の厚生省脳性麻痺研究班)」。
1.× 「進行性病変」ではなく非進行性病変に基づく。発育中の脳に損傷が起こった結果、運動機能や姿勢に障害が生じるが、病変自体は進行しない(ただし、成長や発達に伴って症状が変化する)。
2.〇 正しい。永続的な運動障害である。運動機能や姿勢に影響が及び、これらの障害は一生涯続くものとされている。したがって、リハビリテーションや治療によって症状の改善は期待できるが、根本的に病変が治癒することはない。
3.× 脊髄病変は、関与しない。なぜなら、脳性麻痺は受胎から新生児(生後4週以内)までの間に生じるため。
4.× 症状は生後4週以内に発現するとはいえない。なぜなら、症状の発現は個人差があり、成長や発達に伴って症状が変化するため。脳の発達が進む過程で症状が目立つようになる場合もある。
脳性麻痺とは、お腹の中にいる間から、生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指す。失調型やアテトーゼ型などのタイプがある。アテトーゼとは、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうものである。身体が突っ張ったり捻じれたりするジストニア、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうアテトーゼ、踊るように身体を振ってしまう舞踏運動、上肢や下肢をいきなり大きく振り回してしまうバリズムなどがある。痙直型脳性麻痺の場合、股関節が屈曲・内転・内旋しやすく、尖足になりやすい。痙直型の特徴として、①機敏性の低下、②筋力低下、③脊髄反射の亢進などである。それらに加えて、脊髄レベルでの相反神経作用の障害として、動筋と拮抗筋が同時に過剰収縮を起こす病的な同時収縮や痙直の強い拮抗筋からの過剰な緊張性相反性抑制による④動筋の機能不全がみられる。
問題87 心臓リハビリテーションの適応となるのはどれか。
1.うっ血性心不全(NYHA Ⅳ度)
2.急性大動脈解離
3.高度な大動脈弁狭窄
4.冠動脈バイパス術後
解答4
解説
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化
3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合
1.× うっ血性心不全(NYHA Ⅳ度)は、心臓リハビリテーションが実施できないことが多い。なぜなら、NYHA分類 Ⅳ度は、いかなる程度の身体労作の際にも症状が発現するため。ちなみに、うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態である。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。BNPが 100pg/mL以上であることが診断基準である。
・NYHA分類(New York Heart Association functional classification)は、自覚症状から判断する心不全の重症度分類である。
Ⅰ度:心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が生じないもの。
Ⅱ度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの。安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
Ⅲ度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
Ⅳ度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。
2.× 急性大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。ほとんどの場合、高血圧症を基礎に持つ患者に突如発生する。大動脈解離は、大動脈が裂ける場所によって2つに分類される。
・スタンフォードA型:上行大動脈から裂けるタイプ
→A型は病気が発症して48時間以内に破裂を起こしやすく、緊急手術が必要。
・スタンフォードB型:上行大動脈は裂けず、背中の大動脈(下行大動脈)から裂けるタイプ
→B型はA型に比し、すぐには破裂しないことが多いため、お薬と絶対安静の治療が中心であるが、このB型も破裂の兆候が認められたり(背中の痛みが持続)、腹部内臓や下半身への血の流れが悪くなる場合は緊急の治療を必要とする。
3.× 高度な大動脈弁狭窄とは、全身に血液を送り出す左心室の出口が狭い状態をいう。①先天性と②後天性に分けられる。①先天性:生まれたときからずっと狭い場合である。②後天性:もともとは狭くなかった弁が年齢とともに動脈硬化が進んで、弁のひらひらが堅くなったりして狭くなった場合である。大動脈弁狭窄症の原因は①加齢性、②リウマチ性、③先天性二尖弁(正常に比べ比較的若年で石灰化が起こりやすい)などがあり、これらのなかで頻度は加齢性が最も高い。
4.〇 正しい。冠動脈バイパス術後は、心臓リハビリテーションの適応となる。冠動脈バイパス術後の患者は、術後の早期回復、生活習慣改善、再発予防を目的として心臓リハビリテーションが適応となるため。冠動脈バイパス術後に運動療法を行うことで、心肺機能が改善し、再発予防効果も期待できる。
①体力が回復し、スムーズに動けるようになる(運動耐容能の改善)。
②筋肉や骨が鍛えられ、疲れにくくなるとともに心臓の働きを助ける(心拍数減少)。
③動脈硬化のもととなる危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満)が軽減する(HDLコレステロール増加、中性脂肪の減少、肥満の改善)。
④血管が柔らかくなり、循環が良くなる(虚血徴候の軽減)。
⑤呼吸がゆっくりとして、息切れ感が軽減する(運動耐容能の改善)。
⑥自律神経を安定させ、動悸や不整脈が軽減する。
⑦不安やうつ状態が改善し気持ちが晴れやかになる。
⑧心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する。
(参考:「心臓リハビリテーション(運動療法について)」神戸掖済会病院様HPより)
問題88 短対立装具の適応となるのはどれか。
1.正中神経麻痺
2.尺骨神経麻痺
3.橈骨神経麻痺
4.腋窩神経麻痺
解答1
解説
1.〇 正しい。正中神経麻痺は、短対立装具の適応となる。長対立装具と短対立装具は、正中神経麻痺に適応である。母指対立不能、母指・示指の屈曲障害を生じた際に用い、母指を対立位に保持する。C6まで残存は、正中神経麻痺低位型で適応となる短対立装具が適応となる。母指の掌側外転や対立運動の低下のため、第1,2中手骨間を一定に保つ役割を持つ装具である。つまり、母指を対立位に保持し、手関節を保持する。
2.× 尺骨神経麻痺は、ナックルベンダーの適応となる。MP関節屈曲を補助し、鷲手変形を防止する。C7残存機能では、手指伸展が可能なレベルとなる。したがって、MP関節屈曲を補助するナックルベンダーを使用することにより、機能的な手指の使用が可能になる。
3.× 橈骨神経麻痺は、コックアップスプリント(手関節固定装具)の適応となる。手関節を軽度背屈位にして、安定保持を目的とした装具である。
4.× 腋窩神経麻痺は、基本的に装具を用いず、保存的治療(リラクゼーション、超音波治療、肩甲胸郭関節機能訓練)を実施する。腋窩神経は小円筋と三角筋を支配し、腋窩神経麻痺では上肢挙上が困難となる。
専門科目
問題89 相剋関係にある経脈の絡穴の組合せはどれか。
1.外関:通里
2.蠡溝:大鍾
3.公孫:偏歷
4.飛揚:内関
解答4
解説
五行相剋とは、水・火・金・木・土の五つの根元要素が互いに力を減じ合い、水は火に、火は金に、金は木に、木は土に、土は水に勝つという考え方である。
木剋土、土剋水、水剋火、火剋金、金剋木。
1.× 外関:通里
手の少陽三焦経(火)の外関(※読み:がいかん)は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横敏の上方2寸に位置する。
手の少陰心経(火)の通里(※読み:つうり)は、前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。
2.× 蠡溝:大鍾
足の厥陰肝経(木)の蠡溝(※読み:れいこう)は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸に位置する。
足の少陰腎経(水)の大鍾(※読み:たいしょう)は、足内側、内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部に位置する。
3.× 公孫:偏歷
足の太陰脾経(金)の公孫(※読み:こうそん)は、足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際に位置する。
手の陽明大腸経(土)の偏歴(※読み:へんれき)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
4.〇 正しい。飛揚:内関は、相剋関係にある経脈の絡穴の組合せである。
足の太陽膀胱経(火)の飛揚(※読み:ひよう)は、下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、崑崙の上方7寸に位置する。
手の厥陰心包経(水)の内関(※読み:ないかん)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸に位置する。
問題90 五行色体で相剋関係にある組合せはどれか。
1.筋:唾
2.血脈:涎
3.肌肉:涕
4.皮毛:汗
解答4
解説
五行相剋とは、水・火・金・木・土の五つの根元要素が互いに力を減じ合い、水は火に、火は金に、金は木に、木は土に、土は水に勝つという考え方である。
木剋土、土剋水、水剋火、火剋金、金剋木。
1.× 筋:唾
筋は、五体の「木」である。
唾は、五液の「水」である。
2.× 血脈:涎
血脈は、五体の「火」である。
涎は、五液の「土」である。
3.× 肌肉:涕
肌肉は、五体の「土」である。
涕は、五液の「土」である。
4.〇 正しい。皮毛:汗は、五行色体で相剋関係にある組合せである。
皮毛は、五体の「金」である。
汗は、五液の「火」である。