第25回(H29年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後101~105】

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次の文で示す患者について、問題100、問題101の問いに答えよ。
「31歳の女性。主訴は頭痛と肩こり。月経は不定期で月経時に頭痛が増悪し、下腹部痛も出現する。月経血に血塊がみられ、舌下静脈の怒張もみられる。」

問題101 本患者の病証でみられる脈状はどれか。

1.浮いていて細軟の脈
2.ざらざらとして渋滞したような脈
3.弾力に富み、琴の弦を按じるような脈
4.絹糸のように細くて力があり、按じて左右に移る脈

解答

解説

本症例のポイント

・31歳の女性(主訴:頭痛と肩こり)。
・月経は不定期で月経時に頭痛が増悪し、下腹部痛も出現する。
・月経血に血塊がみられ、舌下静脈の怒張もみられる。
→本症例は、血瘀が疑われる。血の病証である血瘀は、疼痛(固定痛・刺痛、夜間に増悪)、腫脹、腫塊、肌膚甲錯。瘀斑、月経痛・血塊、皮下出血斑、色素沈着、紫舌・暗紅舌があげられる。

1.× 浮いていて細軟の脈は、濡脈である。濡脈は、湿証、虚証で起こり、浮位で触れ、脈幅が小さく軟らかい、少し按じると絶えそうなものを指す。

2.〇 正しい。ざらざらとして渋滞したような脈は、本患者の病証でみられる脈状である。濇脈は、渋脈ともいい、血瘀で起こる。脈の流れが悪く、ざらざらとして渋滞したようなものを指す。

3.× 弾力に富み、琴の弦を按じるような脈は、弦脈である。弦脈は、肝胆病、痛証、痰飲で起こり、琴の弦に触れたような、長く真っすぐで緊張したものを指す。

4.× 絹糸のように細くて力があり、按じて左右に移る脈は、緊脈である。緊脈は、実寒、痛証で起こり、張った縄に触れたような、緊張して有力なものを指す。弦脈に似る。

 

 

 

 

 

問題102 内眼角で接続する経脈の井穴の組合せで正しいのはどれか。

1.隠白:少衝
2.商陽:厲兌
3.関衝:足竅陰
4.少沢:至陰

解答

解説

MEMO

【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

1.× 隠白:少衝は、心中で接続する。
・足の太陰脾経である隠白(※読み:いんぱく)は、足の第1指、末節骨の内側、爪甲角の近内方1分(指付)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
・手の少陰心経である少衝(※読み:しょうしょう)は、小指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

2.× 商陽:厲兌は、鼻翼外方で接続する。
・手の陽明大腸経である商陽(※読み:しょうよう)は、示指、末筋骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
・足の陽明胃経である厲兌(※読み:れいだ)は、足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

3.× 関衝:足竅陰は、外眼角で接続する。
・手の少陽三焦経である関衝(※読み:かんしょう)は、薬指、末節骨尺側、爪甲尺側縁の垂直線と爪甲基底部の水平線との交点に位置する。
・足の少陽胆経である足竅陰(※読み:あしきょういん)は、足の第4指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指付)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基部の水平線の交点に位置する。

4.〇 正しい。少沢:至陰は、内眼角で接続する。
手の太陽小腸経である少沢(※読み:しょうたく)は、小指、末節骨尺側、爪甲角の近位内方1分(指寸)、爪甲尺側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
足の太陽膀胱経である至陰(※読み:しいん)は、足の第5指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

 

 

 

 

 

問題103 骨度で犢鼻から下巨虚までと同じなのはどれか。

1.前髪際中点から後髪際中点
2.胸骨体下端から臍中央
3.腋窩横紋前端から肘窩
4.中指尖から手関節横紋

解答

解説

MEMO

・犢鼻(※読み:とくび)は、膝前面、膝蓋靱帯外方の陥凹部に位置する。
・下巨虚(※読み:げこきょ):下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方9寸に位置する。

1.× 前髪際中点から後髪際中点は、1尺5寸である。

2.× 胸骨体下端から臍中央は、8寸である。

3.〇 正しい。腋窩横紋前端から肘窩は、9寸である。
したがって、骨度で犢鼻から下巨虚までと同じである。

4.× 中指尖から手関節横紋は、8寸5分である。

骨度法とは?

骨度法とは、骨を基準にして、身体各所の長さを尺寸によって定める方法である。

骨度法:1尺10寸、1寸10分
【頭顔面部】
前髪際中点~後髪際中点:1尺2寸
眉間~前髮際中点:3寸
両額角際間:9寸
両乳様突起間:9寸

【胸腹部】
頸切痕~胸骨体端:9寸
胸骨体下端~臍中央:8寸
臍中央~恥骨結合上縁:5寸
両乳頭間:8寸

【上肢】
左右の肩甲棘内端縁間:6寸
中指尖~手関節横紋:8寸5分
腋窩横紋前端または後端~肘窩:9寸
肘窩~手関節横紋:1尺2寸

【下肢】
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁:1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖:1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖:1尺3寸
脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖:2寸
大転子頂点~膝窩:1尺9寸
殿溝~膝窩:1尺4寸
膝窩~外果尖:1尺6寸
内果尖~足底:3寸
足指尖~踵(足底):1尺2寸

 

 

 

 

 

問題104 骨度で大腸経の郄穴から臂臑までと同じなのはどれか。

1.陽維脈の郄穴から中瀆
2.膀胱経の合土穴から承扶
3.胃経の郄穴から気衝
4.陽驕脈の郄穴から委陽

解答

解説

MEMO

・大腸経の郄穴(温溜)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間に取る。

・臂臑は、上腕外側、三角筋前縁、曲池の上方7寸に位置する。

→温溜と臂臑の間は1尺4寸である。

1.× 陽維脈の郄穴から中瀆は、1尺6寸である。
・陽維脈の郄穴(陽交)は、下腿外側、腓骨の後方、外果尖の上方7寸に位置する。外丘と飛揚(膀胱経)との間にあたる。
・中瀆は、大腿部外側、腸脛靭帯の後方で、膝窩横紋の上方7寸に位置する。

2.〇 正しい。膀胱経の合土穴から承扶は、骨度で大腸経の郄穴から臂臑までと同じである。
・膀胱経の合土穴(委中)は、膝後面、膝窩横紋の中点に位置する。
・承扶は、殿部、殿溝の中点に位置する。深部に坐骨神経が通る。

3.× 胃経の郄穴から気衝は、1尺6寸である。
・胃経の郄穴(梁丘)は、大腿前外側、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、膝蓋骨底の上方2寸に位置する。
・気衝は、鼠経部、恥骨結合上縁と同じ高さ、前正中線の外方2寸、大腿動脈拍動部に位置する。

4.× 陽驕脈の郄穴から委陽は、1尺3寸である。
・陽驕脈の郄穴(跗陽)は、下腿後外側、腓骨とアキレス腱の間、崑崙の上方3寸に位置する。
・委陽は、膝後外側、大腿二頭筋腱の内緑、膝窩横紋上に位置する。深部に総骨神経が通る。

骨度法とは?

骨度法とは、骨を基準にして、身体各所の長さを尺寸によって定める方法である。

骨度法:1尺10寸、1寸10分
【頭顔面部】
前髪際中点~後髪際中点:1尺2寸
眉間~前髮際中点:3寸
両額角際間:9寸
両乳様突起間:9寸

【胸腹部】
頸切痕~胸骨体端:9寸
胸骨体下端~臍中央:8寸
臍中央~恥骨結合上縁:5寸
両乳頭間:8寸

【上肢】
左右の肩甲棘内端縁間:6寸
中指尖~手関節横紋:8寸5分
腋窩横紋前端または後端~肘窩:9寸
肘窩~手関節横紋:1尺2寸

【下肢】
恥骨結合上縁~膝蓋骨上縁:1尺8寸
膝蓋骨尖~内果尖:1尺5寸
脛骨内側顆下縁~内果尖:1尺3寸
脛骨内側顆下縁~膝蓋骨尖:2寸
大転子頂点~膝窩:1尺9寸
殿溝~膝窩:1尺4寸
膝窩~外果尖:1尺6寸
内果尖~足底:3寸
足指尖~踵(足底):1尺2寸

 

 

 

 

 

問題105 陽蹻脈の八脈交会穴の部位で正しいのはどれか。

1.第4・第5中足骨底接合部の遠位第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部
2.内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部
3.内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部
4.外果尖の直下、外果下縁と踵骨の間の陥凹部

解答

解説

八脈交会穴(八総穴)

【衝脈】公孫:内関【陰維脈】
【帯脈】足臨泣:外関【陽維脈】
【督脈】後渓:申脈【陽蹻脈】
【任脈】列欠:照海【陰蹻脈】

1.× 第4・第5中足骨底接合部の遠位第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部は、足臨泣である。
足臨泣は、帯脈である。

2.× 内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部は、照海である。
照海は、陰蹻脈である。

3.× 内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部は、大鍾である。
大鍾は、腎の絡穴である。

4.〇 正しい。外果尖の直下、外果下縁と踵骨の間の陥凹部は、陽驕脈の八脈交会穴の部位(申脈)である。

 

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