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問題16 膜輸送について正しいのはどれか。
1.単純拡散では濃度勾配に逆らって物質が細胞膜を通過する。
2.促通拡散ではATP分解で生じたエネルギーを利用する。
3.食作用では細胞膜が物質を包み込んで細胞内に取り込む。
4.能動輸送では担体蛋白質を介して物質が細胞に取り込まれる。
解答3
解説
膜輸送体(トランスポーター)とは、細胞膜内外でイオンや低分子物質を通過させる装置である。生体膜を貫通し、膜を通して物質の輸送をするタンパク質の総称である。単に輸送体または輸送担体あるいは輸送タンパク質ともいう。物質が透過できる間隙を持った構造の膜タンパク質である。
1.× 「単純拡散」ではなく能動輸送では濃度勾配に逆らって物質が細胞膜を通過する。単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。
2.× 「促通拡散」ではなく能動輸送ではATP分解で生じたエネルギーを利用する。促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。
3.〇 正しい。食作用では、細胞膜が物質を包み込んで細胞内に取り込む。主に白血球などが行う過程である。ちなみに、貪食とは、貪食作用、食作用、ファゴサイトーシスともいい、体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用である。 貪食する対象は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)によって死滅した細胞、体内に侵入した異物や病原体、がん化した自己の細胞等である。
4.× 「能動輸送」ではなく促進拡散では担体蛋白質を介して物質が細胞に取り込まれる。担体蛋白質とは、生体膜に存在し、イオンや有機物質などの輸送を仲介する機能蛋白質である。ちなみに、能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。
拡散とは、物質粒子(あるいは分子、イオン)がある空間を拡がり散る現象のことをいう。また、受動輸送とは、エネルギーを必要としない栄養素の吸収方法である。拡散(受動輸送)には、①単純拡散と②促進拡散とよばれる2つのタイプがあり、③能動輸送があげられる。
①単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。
②促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。
③能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。
問題17 尺骨にあるのはどれか。
1.肘頭窩
2.滑車切痕
3.尺骨切痕
4.尺骨神経溝
解答2
解説
1.× 肘頭窩は、上腕骨の遠位端の後面、滑車のすぐ上にある大きなくぼみである。肘伸展時に、尺骨の肘頭が収まる。
2.〇 正しい。滑車切痕は、尺骨にある。肘頭と鈎状突起によって前方に向かって大きくくびれている部分である。
3.× 尺骨切痕は、橈骨の下端部の内側面には三角形の浅いくぼみである尺骨切痕が尺骨の下端部と関節するための関節面を作っている。
4.× 尺骨神経溝は、上腕骨の背面下部で、上腕骨内側上顆と肘頭の間にある溝である。
問題18 単関節筋はどれか。
1.薄筋
2.縫工筋
3.大内転筋
4.大腿直筋
解答3
解説
二関節筋とは、起始と停止が2つの関節をまたぐ筋肉である。
・上肢:上腕二頭筋長頭、上腕三頭筋長頭など。
・下肢:大腿直筋、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋長頭、腓腹筋など。
1.× 薄筋は、二関節筋である。
薄筋の【起始】恥骨結合の外側、【停止】脛骨の内側面。停止腱は鵞足に加わる。【作用】股関節内転、膝関節屈曲と内旋、【支配神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。
2.× 縫工筋は、二関節筋である。
縫工筋の【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋、【神経】大腿神経である。
3.〇 正しい。大内転筋は、単関節筋である。
大内転筋の【起始】恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節、【停止】恥骨筋線、大腿骨粗線の内側唇全長、内側上顆、【作用】股関節内転、前部:屈曲、後部:伸展、【支配神経】前部:閉鎖神経後枝、後部:坐骨神経(脛骨神経部)である
4.× 大腿直筋は、二関節筋である。
大腿直筋の【起始】下前腸骨棘および寛骨臼の上縁、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展、股関節屈曲、【神経】大腿神経である。
問題19 深背筋について正しいのはどれか。
1.頭半棘筋は乳様突起に停止する。
2.腸肋筋は体幹の回旋を行う。
3.上後鋸筋は肋骨を引き下げる。
4.板状筋は腰神経に支配される。
解答2
解説
1.× 頭半棘筋は、「乳様突起」ではなく後頭骨の上、下項線の間に停止する。
半棘筋(頭半棘筋、頸半棘筋、胸半棘筋)の【起始】頭半棘筋:第8胸椎~第3頸椎の横突起。頸・胸半棘筋:第12~1(2)胸椎の横突起。、【停止】頭半棘筋:後頭骨の上、下項線の間。頸・胸半棘筋:第4胸椎~第2頸椎の棘突起、【作用】両側が働くと頭や脊柱を後ろに反らせる。片側が働けば脊柱を同側に曲げ、対側に回す。(長い筋束ほど曲げる作用が強く、短いものほど回す作用が著明)、【神経】脊髄神経後枝の内側枝(外側枝)である。
2.〇 正しい。腸肋筋は体幹の回旋を行う。
腸肋筋(腰腸肋筋、胸腸肋筋、頸腸肋筋)の【起始】腸骨稜および仙骨後面、第12~3(4)肋骨の肋骨角上縁、【停止】第12~1肋骨の肋骨角(起始のすぐ外側)および第7~4(3)頸椎の横突起の後結節、【作用】両側が作用すると脊柱を反らせ、肋骨を引き下げる。片側が働けば体を同側に曲げる。【神経】脊髄神経後枝の外側枝である。
3.× 上後鋸筋は肋骨を「引き下げる」ではなく引き上げる。
上後鋸筋の【起始】第(4)5頸椎から第1(2)胸椎までの棘突起と項靭帯、【停止】第2~5肋骨の肋骨角とその外側部、【作用】第2~5肋骨を引き上げる。(吸息の補助)、【支配】肋間神経である。
4.× 板状筋は、「腰神経」ではなく脊髄神経後枝の外側枝(C1~C5:頸神経)に支配される。
板状筋(頭板状筋、頸板状筋)の【起始】頭板状筋:項靭帯、第3頸椎~第3胸椎の棘突起、頸板状筋:第3~6胸椎の棘突起、【停止】頭板状筋:乳様突起と上項線外側部、頸板状筋:第1~3頸椎の横突起後結節、【作用】片側が働けば頭と頚をその側に回転し、かつその方向に傾ける。両側が同時に働けば頭と頚を後ろに反らせる(背屈)。【神経】脊髄神経後枝の外側枝である。
問題20 下肢の動脈と伴行する神経の組合せで正しいのはどれか。
1.大腿動脈:閉鎖神経
2.膝窩動脈:伏在神経
3.腓骨動脈:脛骨神経
4.足背動脈:深腓骨神経
解答4
解説
1.× 大腿動脈は、「閉鎖神経」ではなく大腿神経と伴行する。
閉鎖神経は、骨盤内を通り、内転筋群に分布する神経である。
2.× 膝窩動脈は、「伏在神経」ではなく脛骨神経と伴行する。
伏在神経は、大腿の内側を通り、膝とふくらはぎの内側を走行する。下肢の皮膚の感覚を司る神経である。
3.× 腓骨動脈は、「脛骨神経」ではなく深腓骨神経と伴行する。
脛骨神経は、下腿の後面で伴行する動脈である。膝窩動静脈とともに膝窩の中央を下行する。
4.〇 正しい。足背動脈は、深腓骨神経と伴行する。
深腓骨神経は、腓骨神経が下腿前側に分岐した神経で、第1趾と第2趾の間の皮膚を支配している。