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次の文で示す症例について、問題135、問題136の問いに答えよ。
「37歳の男性。主訴は不眠。仕事の期限に間に合わせるため長時間労働が続き、疲労感とともに肩こり、腹部膨満感、中途覚醒に悩まされている。よくため息をつく。舌診では舌辺が赤く、腹診では胸脇苦満が認められた。」
問題136 本症例の病証で最も適切なのはどれか。
1.肝気鬱結
2.心気
3.脾気虚
4.腎陰虚
解答1
解説
・37歳の男性(主訴:不眠)。
・仕事の期限に間に合わせるため長時間労働が続いた。
・疲労感とともに肩こり、腹部膨満感、中途覚醒に悩まされている。
・よくため息をつく。
・舌診では舌辺が赤く、腹診では胸脇苦満が認められた。
→本症例は、肝気鬱結が疑われる。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。
1.〇 正しい。肝気鬱結が本症例の病証である。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。
2.× 心気の病証は、心気虚による心悸、征忡、胸悶、息切れ、倦怠感、自汗、顔面蒼白、言舌質淡などである。
3.× 脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などをさす。
4.× 腎陰虚は、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などである。
次の文で示す症例について、問題137、問題138の問いに答えよ。
「69歳の男性。主訴は頻尿。一晩に2、3回トイレに行く。泌尿器科で過活動膀胱と診断された。舌診では舌根部の舌苔が厚く、腹診では下腹部の軟弱がみられた。脈診では左尺中の沈が虚であった。」
問題137 本疾患の排尿に関する症状で最も適切なのはどれか。
1.残尿感
2.遷延性排尿
3.尿意切迫
4.再延性排尿
解答3
解説
・69歳の男性(主訴:頻尿)。
・一晩に2、3回トイレに行く。
・診断:過活動膀胱。
・舌診:舌根部の舌苔が厚く、腹診では下腹部の軟弱がみられた。
・脈診:左尺中の沈が虚。
→過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。
1.× 残尿感とは、排尿後も尿が残っているように感じる症状で、通常は前立腺肥大や膀胱の収縮力低下などに関連する。
2.× 遷延性排尿とは、排尿に時間がかかる状態で、下部尿路通過障害や排尿筋低活動、尿道括約筋機能亢進がある。下部尿路通過障害の原因で最も頻度が高いのは男性の前立腺肥大症で、尿道狭窄でもみられる。排尿筋低活動、尿道括約筋機能亢進は男女ともに神経因性膀胱で起こる。糖尿病や脊髄疾患、骨盤内手術に伴う末梢神経障害や加齢によっても起こる。
3.〇 正しい。尿意切迫は、本疾患の排尿に関する症状である。過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。
4.× 再延性排尿(※読み:ぜんえん)は、排尿開始から排尿終了するまでの時間が延長する状態で、下部尿路通過障害や排尿筋低活動、尿道括約筋機能亢進がある。下部尿路通過障害の原因で最も頻度が高いのは男性の前立腺肥大症で、尿道狭窄でもみられる。排尿筋低活動、尿道括約筋機能亢進は男女ともに神経因性膀胱で起こる。糖尿病や脊髄疾患、骨盤内手術に伴う末梢神経障害や加齢によっても起こる。
反射性尿失禁とは、脊髄損傷により排尿をつかさどる神経が障害されており(神経因性膀胱)、膀胱に尿が充満した状態で反射的に尿が漏れてしまうものである。原因として、膀胱尿管逆流症や水腎症などの合併症が起こり得るため、治療法として間欠的な自己導尿も選択される。治療としては、自己導尿や排尿訓練などを行う。
次の文で示す症例について、問題137、問題138の問いに答えよ。
「69歳の男性。主訴は頻尿。一晩に2、3回トイレに行く。泌尿器科で過活動膀胱と診断された。舌診では舌根部の舌苔が厚く、腹診では下腹部の軟弱がみられた。脈診では左尺中の沈が虚であった。」
問題138 本症例に対して難経六十九難に基づき、一つは肺経の経金穴を配穴した。
もう一つの治療穴の部位はどれか。
1.足内側、内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部
2.足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部
3.下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸
4.下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸
解答3
解説
・69歳の男性(主訴:頻尿)。
・一晩に2、3回トイレに行く。
・診断:過活動膀胱。
・舌診:舌根部の舌苔が厚く、腹診では下腹部の軟弱がみられた。
・脈診:左尺中の沈が虚(→腎)。
→虚している場合:つまり、腎虚証に該当する。したがって、腎の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は復溜・経渠(肺経の経金穴)となる。
~六部定位脈診~
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎
②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包
1.× 足内側、内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部は、大鍾(※読み:たいしょう)である。大鍾は、腎の絡穴である。
2.× 足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部は、照海(※読み:しょうかい)である。照海は、八脈交会穴(八総穴)の陰蹻脈である。
3.〇 正しい。下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸がもう一つの治療穴である。なぜなら、復溜(※読み:ふくりゅう)は、腎経の経水穴であるため。
4.× 下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸は、交信(※読み:こうしん)である。交信は、陰・陽のつく奇経八脈の郄穴(陰蹻脈-交信【腎】)のひとつである。
次の文で示す症例について、問題139、問題140の問いに答えよ。
「36歳の女性。締め付けの強い下着をはくようにしたところ、最近、太ももの外側部に痛みとしびれが起こったので来院した。運動麻痺はない。MRIでは腰椎の異常はなかった。」
問題139 本症例の障害神経はどれか。
1.第1・第2腰神経から起こり、大腰筋を貫く神経
2.第2・第3腰神経から起こり、大腰筋と腸骨筋の間を斜め外側下方に走る神経
3.第4・第5腰神経および第1・第2・第3仙骨神経から起こり、梨状筋下孔を通過する神経
4.第2・第3・第4腰神経から起こり、筋裂孔を通過する神経
解答2
解説
・36歳の女性。
・締め付けの強い下着をはく。
・最近:太ももの外側部に痛みとしびれが起こった。
・運動麻痺はない。
・MRI:腰椎の異常はなかった。
→本症例は、外側大腿皮神経の絞扼障害が疑われる。外側大腿皮神経の走行をおさえておこう。
1.× 第1・第2腰神経から起こり、大腰筋を貫く神経は、陰部大腿神経である。
腸腰筋は、①腸骨筋と②大腰筋の2筋からなる。
①腸骨筋:【起始】腸骨窩全体、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、外旋、【神経】大腿神経である。
②大腰筋:【起始】第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、【神経】腰神経叢の枝:(T12),L1~L4である。
2.〇 正しい。第2・第3腰神経から起こり、大腰筋と腸骨筋の間を斜め外側下方に走る神経は、本症例の障害神経(外側大腿皮神経)である。
3.× 第4・第5腰神経および第1・第2・第3仙骨神経から起こり、梨状筋下孔を通過する神経は、坐骨神経である。
梨状筋の【起始】仙骨の前面で第2~4前仙骨孔の両側、【停止】大転子の先端の後縁、【作用】股関節外旋、外転、【支配神経】仙骨神経叢の枝:L5~S2である。
4.× 第2・第3・第4腰神経から起こり、筋裂孔を通過する神経は、大腿神経である。鼡径靭帯下の筋裂孔とは、鼠経靭帯と寛骨で形成される間隙で、腸恥筋膜弓によって分割された空間のことである。①筋裂孔は、外側の空間を、②血管製孔内側の空間をとよぶ 。①筋裂孔を通過するものは、①腸腰筋、②大腿神経である。また、血管裂孔を通過するものは、①大腿動脈、②大腿静脈、③大腿管(リンパ管)、④陰部大腿神経の大腿枝である。
腹部から下肢に分布する脊髄神経は、腰神経叢と仙骨神経叢とを形成する。腰神経叢は、T12~L4の前枝で構成され、その枝は腹部から大腿前面に分布する。一方、仙骨神経叢は、L4~S4前枝から構成され、その枝は腰部~大腿後面と下肢~足部に分布する。
腰神経叢:①腸骨下腹神経、②腸骨鼠経神経、③外側大腿皮神経、④大腿神経、⑤陰部大腿神経、⑥閉鎖神経
仙骨神経叢:①上殿神経、②下殿神経、③坐骨神経、④後大腿皮神経、⑤陰部神経
次の文で示す症例について、問題139、問題140の問いに答えよ。
「36歳の女性。締め付けの強い下着をはくようにしたところ、最近、太ももの外側部に痛みとしびれが起こったので来院した。運動麻痺はない。MRIでは腰椎の異常はなかった。」
問題140 本症例に対する刺鍼部位として最も適切なのはどれか。
1.上後腸骨棘と大転子を結んだ中点より垂直に約3cm下がった部位
2.第4腰椎と第5腰椎棘突起間の外側約2cmの部位
3.上前腸骨棘より約2.5cm内方でそこから下に約2.5cmの部位
4.鼠径靱帯の直下で大腿動脈拍動部の外方約1cmの部位
解答3
解説
・36歳の女性。
・締め付けの強い下着をはく。
・最近:太ももの外側部に痛みとしびれが起こった。
・運動麻痺はない。
・MRI:腰椎の異常はなかった。
→本症例は、外側大腿皮神経の絞扼障害が疑われる。外側大腿皮神経の走行をおさえておこう。
1.× 上後腸骨棘と大転子を結んだ中点より垂直に約3cm下がった部位は、坐骨神経に対する治療点である。
2.× 第4腰椎と第5腰椎棘突起間の外側約2cmの部位は、L5神経根(L4/L5の椎間関節部)に対する治療点である。
3.〇 正しい。上前腸骨棘より約2.5cm内方でそこから下に約2.5cmの部位が、本症例に対する刺鍼部位(外側大腿皮神経)である。
4.× 鼠径靱帯の直下で大腿動脈拍動部の外方約1cmの部位は、大腿神経に対する治療点である。