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はり理論試験問題(問題141~150)
(はり師国家試験を受験する者が解答すること。)
問題141 次の文で示す刺鍼操作はどれを応用したものか。
「筋内での置鍼中に強い響き感覚と鈍痛を生じたので、その位置より少しだけ鍼を引き上げ、しばらく留置してから再び筋中まで刺入した後抜滅したところ、鈍痛を軽減させることができた。」
1.屋漏術
2.随鍼術
3.内調術
4.間歇術
解答4
解説
・筋内での置鍼中に強い響き感覚と鈍痛を生じた。
・その位置より少しだけ鍼を引き上げ、しばらく留置してから再び筋中まで刺入した後抜滅した。
・鈍痛を軽減させることができた。
1.× 屋漏術は、目的の深さまで3段階に分けて刺入・雀啄する(抜鍼時は逆に行う)。
2.× 随鍼術は、患者の呼吸に合わせて刺抜する(呼気時に刺入、吸気時に止める。抜銅時は吸気時に抜く)。
3.× 内調術は、刺入した鍼の鍼柄を鍼管で叩打し、鍼体に動揺を与える。
4.〇 正しい。今回の手技は、間歇術を応用したものである。間歇術とは、目的の深さへ刺入し、半分抜いて留め、また前の深さまで刺して留める、を繰り返す手技である。
問題142 経穴と深刻により損傷するリスクがある臓器との組合せで正しいのはどれか。
1.右梁門:肝臓
2.右陽綱:肺
3.右大横:腎臟
4.右欠盆:心臟
解答1・2
解説
(※図引用:「消化器官の図2」より)
1.〇 正しい。右梁門(※読み:りょうもん)は、上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸に位置する。肝臓は、右上腹部にあるため、深刻により損傷するリスクがある。
2.〇 正しい。右陽綱(※読み:ようこう)は、上背部、第10胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。肺は、第7頚椎から第12胸椎棘突起まであるため、深刻により損傷するリスクがある。
3.× 右大横(※読み:だいおう)は、上腹部、臍中央の外方4寸に位置する。肓兪(腎経)、天枢(胃経)と同じ高さにあたる。腎臟は、第12胸椎~第3腰椎付近にある。
4.× 右欠盆(※読み:けつぼん)は、前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部に位置する。心臟は、第2~5肋間の高さにある。
問題143 鍼施術の際にⅢ群線維が伝えるのはどれか。
1.押手の上下圧
2.鋭い切皮痛
3.鍼の刺入圧
4.重だるい響き感覚
解答2
解説
1~2.× 押手の上下圧/鍼の刺入圧は、主にⅠ群やⅡ群線維が伝える。なぜなら、これらの線維は触覚や圧覚に関与するため。
2.〇 正しい。鋭い切皮痛は、Ⅲ群線維が伝える。なぜなら、Ⅲ群線維は、温冷感覚・痛みに関与するため。したがって、鍼が皮膚を切る際に感じる鋭い痛みはⅢ群線維である。
4.× 重だるい響き感覚は、Ⅳ群線維が伝える。なぜなら、Ⅳ群線維は、鈍い、遅い痛みや深部感覚に関連するため。Ⅲ群線維とⅣ群線維は、直径・伝導速度(有髄・無随)が異なってくるため、鋭さ:早い痛み(鈍さ:遅い痛み)が異なる。
押手(皮膚の緊張度を調整する)
・左右圧(水平圧):押手の母指と示指が鍼体をつまむ力。
・上下圧(垂直圧):押手の母指と示指が刺鍼部位にかける圧。
・周囲圧(固定圧):中・薬・小指の指腹、小指外側~小指球などでかける圧。
問題144 小児鍼による触圧刺激に対して最も順応の早い受容器はどれか。
1.パチニ小体
2.メルケル盤
3.毛包受容器
4.ルフィニ終末
解答1
解説
小児鍼法とは、主な対象は生後2週間後~小学生で、①摩擦鍼や②接触鍼のことを指す。
1.〇 正しい。パチニ小体は、小児鍼による触圧刺激に対して最も順応の早い受容器である。パチニ小体とは、振動や圧力の感覚受容器である。
2.× メルケル盤は、触覚や圧力の感覚受容器である。順応速度は比較的遅い受容器である。
3.× 毛包受容器は、毛の動きを感知する受容器で、主に毛の動きに反応する。パチニ小体ほど順応が早いわけではありません。
4.× ルフィニ終末は、触圧覚や痛覚などの感覚受容器である。皮膚の伸張を感じ取る。順応速度は比較的遅い受容器である。
問題145 鍼刺激を行った際に細径感覚神経線維が興奮したことを示すのはどれか。
1.アロディニアの発現
2.刺入抵抗感の減少
3.しびれるような響き感覚の発生
4.フレアの出現
解答4
解説
1.× アロディニアの発現
アロディニア(異痛症)とは、通常では痛みとして認識しない程度の接触や軽微な圧迫、寒冷などの非侵害性刺激が、痛みとして認識されてしまう感覚異常のことである。アロディニアは、末梢神経損傷、帯状疱疹、糖尿病性神経障害、抗がん剤による副作用などによる神経障害性疼痛で見られる。
2.× 刺入抵抗感の減少
これは、筋緊張が緩んだ場合、刺入抵抗感の減少が起こる。
3.× しびれるような響き感覚の発生
「しびれるような響き感覚」をどのように読み取るか、不明確である。痛みであれば、細径感覚神経線維(C線維)によるものと考えられるが、「しびれるような響き感覚」は、振動覚(Aβ線維)といえる。
4.〇 正しい。フレアの出現は、鍼刺激を行った際に細径感覚神経線維が興奮したことを示す。フレア現象とは、お灸の熱刺激によって細胞レベルで微細な火傷が起こり、神経から脳に「ここにケガがあるから治すために血液を送ってください」と連絡が入ることで起こる軸索反射のこと。軸索反射とは、末梢神経の軸索上で起こる反射様現象である。神経末端に生じた興奮が神経の分枝に沿って逆行性に伝播する現象のことをさす。したがって、鋮刺激によりポリモーダル受容器が興奮すると、軸索反射によって受容器末端から神経伝達物質が放出され、コリン作動性神経の末梢血管に働いて(血管拡張(フレア)、膨疹(浮腫))が生じる。※神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。