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問題56 変形性股関節症の原因とならないのはどれか。
1.ペルテス病
2.単純性股関節炎
3.外傷性股関節脱臼
4.大腿骨頭すべり症
解答2
解説
二次性変形性股関節症とは、何らかの病気(ペルテス病や先天性股関節脱臼)やケガが原因でおこっている。日本では、この二次性が大半を占め、先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全によるものが約90%、圧倒的に女性に多い。壊死部は修復過程を経て正常の骨組織に戻るが、形態異常を伴って修復完了した場合、将来的に変形性股関節症を生じる可能性がある。
1.〇 ペルテス病は、変形性股関節症の原因となる。なぜなら、ペルテス病により、大腿骨頭が変形し、その後の関節面の破壊が進むことで変形性股関節症を引き起こすため。ちなみに、ペルテス病とは、小児期における血行障害による大腿骨頭、頚部の阻血性壊死が起こる原因不明の疾患である。骨頭・頚部の変形が生じる。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛や大腿部にみられる関連痛で、股関節の関節可動域制限も生じる。治療は大腿骨頭壊死の修復が主な目標であり、治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。男女比は4:1である。好発年齢は、「6~7歳」である。発生率は1万人に1.5人と言われ、そのうち約10%が両側に発症するが、たいていは片方がなってから2年以内の違う時期に反対側が発症する。
2.× 単純性股関節炎は、変形性股関節症の原因とならない。単純性股関節炎とは、原因は不明で、1週間ほど安静にしていれば痛みも治まり、自然治癒する。エックス線写真において、特段異常所見は見られない。3~10歳に好発する。超音波検査やMRIで関節液の貯留が確認される。ほとんど片側性で、強い発赤や腫脹、発熱は見られないが、股関節の運動時疼痛を訴え、運動制限、跛行が見られる。
3.〇 外傷性股関節脱臼は、変形性股関節症の原因となる。なぜなら、外傷によって股関節が脱臼すると、関節面が損傷しやすく、関節軟骨の摩耗が進むため。ちなみに、外傷性股関節脱臼とは、股関節にとても強い力が加わることで起こり、交通事故や、ラグビーやアメリカンフットボールなどのスポーツ、高所からの転倒などがきっかけとなる。受傷時の合併症として、坐骨神経麻痺と膝関節後十字靭帯損傷を起こしていることがある。治療法として、徒手整復、大転子直達牽引法、観血的整復術が挙げられる。脱臼により血行不良が生じて大腿骨頭が阻血状態になるため、できるだけ早く整復し骨頭への血流を改善させる。
4.〇 大腿骨頭すべり症は、変形性股関節症の原因となる。なぜなら、大腿骨頭すべり症は、成長期に大腿骨頭の骨端部がずれ、大腿骨頭の形状が変化し、関節面が損傷するため。ちなみに、大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。
問題57 下腿の区間と筋の組合せで正しいのはどれか。
1.前区画:長指屈筋
2.外側区画:後脛骨筋
3.深後区画:長腓骨筋
4.浅後区画:ヒラメ筋
解答4
解説
コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢動脈の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
①前方コンパートメント症候群:前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋
②外側コンパートメント症候群:長・短腓骨筋
③浅後方コンパートメント症候群:腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋
④深後方コンパートメント症候群:後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋
1.× 長指(趾)屈筋は、「前区画」ではなく深後区画である。長指屈筋の【起始】脛骨後面、【停止】第2~5末節骨底、【作用】足関節底屈、足趾屈曲、【神経】脛骨神経:L5~S2である。
2.× 後脛骨筋は、「外側区画」ではなく深後区画である。後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返し、【支配神経】脛骨神経(L5~S2)である。
3.× 長腓骨筋は、「深後区画」ではなく外側区画である。長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経:L4~S1,(S2)である。
4.〇 正しい。ヒラメ筋は、浅後区画である。ヒラメ筋の【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経:L5~S2である。
問題58 頸椎症性神経根症でみられるのはどれか。
1.握力低下
2.腱反射亢進
3.尿閉
4.病的反射
解答1
解説
頸椎症性神経根症とは、頚椎の変性や変形によって、首から腕や手に伸びる神経が圧迫されて痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患である。
1.〇 正しい。握力低下は、頸椎症性神経根症でみられる。頸椎症性神経根症は、頸椎の変性によって神経根が圧迫されることで、該当する神経根支配領域に筋力低下や感覚異常が生じる。
2.4.× 腱反射亢進/病的反射は、錐体路障害で生じる。頸椎症性神経根症の場合、腱反射は減弱することが多い。ちなみに、錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
【錐体路徴候】
・深部腱反射亢進
・病的反射(+)
・表在反射(消失)
・痙性麻痺
3.× 尿閉は、脊髄全体が圧迫されることで起こることがある。頸椎症性神経根症は、局所的な神経根の圧迫であるため、排尿障害は見られにくい。
(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)
問題59 骨密度が保たれていても骨折を起こしやすいのはどれか。
1.糖尿病
2.高血圧症
3.脂質異常症
4.高尿酸血症
解答1
解説
2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。一方で、1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。ちなみに、低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
1.〇 正しい。糖尿病は、骨密度が保たれていても骨折を起こしやすい。特に、2型糖尿病では、骨密度は正常もしくはやや高めであっても、骨の質が劣化しているため、骨の脆弱性が増し、骨折リスクが高くなる。これは、糖尿病に伴う微小血管障害や糖化最終生成物の蓄積などが骨の強度に悪影響を及ぼすためである。
2.× 高血圧症より優先されるものが他にある。高血圧症とは、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。二次性高血圧症の原因として、①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性(脳幹部血管圧迫)、⑥遺伝性、⑦薬剤誘発性などがある。②腎血管性高血圧は、腎動脈硬化症や線維筋性異形成、高安大動脈炎、解離性大動脈瘤などによる腎血流低下により腎臓でレニン産生が増加するため高血圧となる。③内分泌性高血圧には、先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍などにより高血圧となる。
3.× 脂質異常症より優先されるものが他にある。脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
4.× 高尿酸血症より優先されるものが他にある。高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く男女比約20:1の割合である。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れによるものが大半である。食事ではアルコールは重要であり、特にビールのとりすぎは高尿酸血症の原因としてよく知られている。
問題60 スポーツ中に肉ばなれを起こしやすいのはどれか。
1.大殿筋
2.大腰筋
3.前脛骨筋
4.腓腹筋
解答4
解説
肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。股関節伸展位、膝関節屈曲位で筋を遠心性収縮したときに発生しやすい。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
1.× 大殿筋の【起始】腸骨翼の外面で後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、仙結節靭帯、腰背筋膜、【停止】腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面、【作用】股関節伸展、外旋、外転、上部:内転、下部:骨盤の下制、【支配神経】下殿神経である。
2.× 大腰筋とは、①腸骨筋と②大腰筋の2筋からなる筋肉である。
①腸骨筋:【起始】腸骨窩全体、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、外旋、【神経】大腿神経
②大腰筋:【起始】第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子、【作用】股関節屈曲、【神経】腰神経叢の枝
3.× 前脛骨筋の【起始】脛骨外側面、下腿骨間膜、【停止】内側楔状骨と第1中足骨の底面、【作用】足関節背屈、内返し、【神経】深腓骨神経(L4~S1)である。
4.〇 正しい。腓腹筋は、スポーツ中に肉ばなれを起こしやすい。腓腹筋の【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【支配神経】脛骨神経:S1,S2である。