第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前11~15】

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問題11 滅菌に用いられるのはどれか。

1.グルタールアルデヒド(グルタラール)
2.ポビドンヨード
3.逆性石けん
4.オートクレーブ

解答

解説

1.× グルタールアルデヒド(グルタラール)
グルタラールとは、被消毒物の材質に与える影響が少なく、各種器具・機器、内視鏡などの消毒に有用である。しかし、薬液が皮膚に付着した場合、皮膚の着色や発疹、発赤等の過敏症状を起こすことがあり、また、蒸気は眼や呼吸器等の粘膜に対して刺激作用を示すことなどから、その使用には十分な注意が必要である。

2.× ポビドンヨード
ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。施設に感染症が流行していない場合は、ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。臍帯断端は清潔で乾いた状態にしておく必要がある。

3.× 逆性石けん
逆性石けんとは、手指、粘膜、機器の消毒に使用され、細菌には有効であるが、ウイルスには無効である。

4.〇 正しい。オートクレーブは、滅菌に用いられる。
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。

各用語の説明

・無菌とは、すべての菌が存在しない状態である。
・滅菌とは、物体の表面または容器内のすべての生命形態(細菌、ウイルス、胞子、真菌など)を完全に除去または死滅させるプロセスを指す。
・消毒とは、病原性微生物を、害の無い程度まで減らしたり、あるいは感染力を失わせたりして、毒性を無力化させることである。
・殺菌とは、一部を殺しただけでも「殺菌した」と言える状態であるため、この用語を使う場合は、有効性を保証したものではないともいえる。
・静菌とは、菌をしずめている状態で、菌を殺さないがその増殖を止めている状態を指す。対象や程度を含まない概念である。
・除菌とは、菌をのぞいている状態で、対象物から菌を除いて減らしている状態である。
・抗菌とは、菌をふせぐことで、細菌の増殖を阻止する(抑制する)ことである。菌を殺したり減少させたりするのではなく、繁殖を阻止する(抑制する)対象や程度を含まない概念である。

 

 

 

 

 

問題12 生活保護法による扶助で現物給付はどれか。

1.教育扶助
2.住宅扶助
3.医療扶助
4.生活扶助

解答

解説

生活保護法とは?

生活保護法とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。

1~2.4.× 教育扶助/住宅扶助/生活扶助
原則、現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。

3.〇 正しい。医療扶助が、生活保護法による扶助で現物給付である。
医療扶助は、医療サービスの費用のことをいう。

生活保護制度とは?

生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。

生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用

【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。

【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。

(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)

 

 

 

 

 

問題13 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で、免許証を返納しなければならないのはどれか。

1.施術者が失踪宣告を受けたとき
2.免許証の再交付を申請するとき
3.免許証の書換え交付を申請するとき
4.再免許を申請するとき

解答

解説

柔道整復師法施行規則

(登録の消除)
第四条 名簿の登録の消除を申請するには、様式第三号による申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
2 柔道整復師が死亡し、又は失踪の宣告を受けたときは、戸籍法による死亡又は失踪の届出義務者は、三十日以内に、名簿の登録の消除を申請しなければならない。
3 前項の規定による名簿の登録の消除を申請するには、申請書に、当該柔道整復師が死亡し、又は失踪の宣告を受けたことを証する書類を添えなければならない。

(免許証又は免許証明書の返納)
第七条 施術者は、名簿の登録の消除を申請するときは、免許証又は免許証明書を厚生労働大臣に返納しなければならない。第四条第二項の規定により名簿の登録の消除を申請する者についても、同様とする。
2 施術者は、免許を取り消されたときは、五日以内に、免許証又は免許証明書を厚生労働大臣に返納しなければならない。

(※引用:「柔道整復師法施行規則」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。施術者が失踪宣告を受けたときが、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で、免許証を返納しなければならない。
これは、第七条(免許証又は免許証明書の返納)に規定されている。

2.× 免許証の再交付を申請するときは、第六条に規定されている。
(免許証の再交付申請)第六条 柔道整復師は、免許証又は免許証明書を破り、汚し、又は失ったときは、免許証の再交付を申請することができる。
2 前項の申請をするには、様式第四号による申請書に戸籍の謄本若しくは抄本又は住民票の写しを添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。
3 第一項の申請をする場合には、手数料として四千円を国に納めなければならない。
4 免許証又は免許証明書を破り、又は汚した柔道整復師が第一項の申請をする場合には、申請書にその免許証又は免許証明書を添えなければならない。
5 柔道整復師は、免許証の再交付を受けた後、失った免許証又は免許証明書を発見したときは、五日以内に、これを厚生労働大臣に返納しなければならない。

3.× 免許証の書換え交付を申請するときは、第五条に規定されている。
(免許証の書換え交付申請)第五条 柔道整復師は、免許証又は免許証明書の記載事項に変更を生じたときは、免許証の書換え交付を申請することができる。
2 前項の申請をするには、様式第二号による申請書に免許証又は免許証明書及び戸籍の謄本又は抄本を添え、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。

4.× 再免許を申請するときは、第九条に規定されている。
(規定の適用等)第九条 法第八条の二第一項に規定する指定登録機関が柔道整復師の登録の実施等に関する事務を行う場合における第一条の三第一項、第三条第二項、第四条第一項、第五条、第六条の見出し、同条第一項、第二項及び第五項並びに第七条の規定の適用については、これらの規定中「厚生労働大臣」とあるのは「指定登録機関」と、第五条の見出し及び同条第一項中「免許証の書換え交付」とあるのは「免許証明書の書換え交付」と、第六条の見出し並びに同条第一項及び第五項中「免許証の再交付」とあるのは「免許証明書の再交付」とする。
2 第一項に規定する場合においては、第六条第三項及び第八条第二項の規定は適用しない。

 

 

 

 

 

問題14 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づいて施術所を開設した場合、適切でないのはどれか。

1.待合室は10平方メートルとした。
2.施術に用いる器具・手指等の消毒設備を用意した。
3.採光、照明及び換気を充分にした。
4.施術室の一角を待合室とした。

解答

解説

柔道整復師法の施術所の構造設備基準

・6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
・3.3平方メートル以上の待合室を有すること
・施術室は、室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること(ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない)
・施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること

(※引用:「施術所の構造設備基準等について」東京都多摩府中保健所HPより)

1.〇 正しい。待合室は10平方メートルとした。
3.3平方メートル以上の待合室を有することが条件となっている。

2.〇 正しい。施術に用いる器具・手指等の消毒設備を用意した。
施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有することが条件となっている。

3.〇 正しい。採光、照明及び換気を充分にした。
施術室は、室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ることが条件となっているが、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではないことが明記されている。

4.× 施術室の一角を待合室とすることはできない
なぜなら、6.6平方メートル以上の専用の施術室を有することが条件となっているため。つまり、施術室と待合室を一緒にすることはできない。

 

 

 

 

 

問題15 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で、業務停止を命ぜられた者がその期間中に業務を行った場合の罰則はどれか。

1.免許取消し
2.30万円以下の罰金
3.50万円以下の罰金
4.1年以下の懲役

解答

解説
1.× 免許取消し
第四条(欠格事由) 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

2.〇 正しい。30万円以下の罰金は、業務停止を命ぜられた者がその期間中に業務を行った場合の罰則である。
【30万円以下の罰金】
①患部への施術の規定に違反した者
②広告制限の規定に違反した者
③はり師の消毒の規定に基づく指示に違反した者
④業務の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、業務を行ったもの。
⑤規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
⑥規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
⑦規定に基づく処分又は命令に違反した者
⑧規定に基づく業務停止の処分に違反した者

3~4.× 50万円以下の罰金/1年以下の懲役
【1年以下の懲役または50万円以下の罰金】
①無免許での施術に関して、違反して、不正の採点をした者。
②虚偽、不正の事実に基づいて免許を受けた者。
③秘密保持義務違反な者。
④試験事務又は登録事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員。

(※引用:「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)

 

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