第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前26~30】

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問題26 皮膚について正しいのはどれか。

1.表皮は多列円柱上皮でできている。
2.真皮は中胚葉に由来する。
3.毛幹は皮膚内部に埋まっている。
4.エクリン汗腺は足底にはない。

解答

解説

1.× 表皮は、「多列円柱上皮」ではなく重層扁平上皮でできている。
重層扁平上皮は、摩擦など機械的刺激に強い特徴を持ち、皮膚、口腔~食道、肛門、膣などである。一方、多列円柱上皮は、鼻や上咽頭、気管支表面などの上皮粘膜などである。

2.〇 正しい。真皮は中胚葉に由来する
【各胚葉に由来する器官】
外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

3.× 皮膚内部に埋まっているのは、「毛幹」ではなく毛根(毛球)である。
毛幹とは、毛髪の皮膚の表面に露出している部分のことである。

4.× 足底にはないのは、「エクリン汗腺」ではなくアポクリン汗腺である。
エクリン腺は全身の皮膚に分布する。エクリン腺は口唇・亀頭・陰唇を除く全身の皮膚に分布する。手掌・足底・額に特に多い。エクリン汗の成分はアポクリン腺からの汗(アポクリン汗)に比べて薄い。一方、アポクリン汗腺は、主に脇や陰部などの真皮に存在する。

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

 

 

 

 

問題27 血液凝固因子はどれか。

1.ヘパリン
2.アルブミン
3.フィブリノゲン
4.γ−グロブリン

解答

解説
1.× ヘパリン
ヘパリンとは、血液凝固阻止剤で、抗凝固といって、血液を固まりにくくする作用がある。人の肝臓でも生成される。したがって、医療現場では、血栓塞栓症の防止や治療、カテーテル挿入時の血液凝固防止などにも用いられる。

2.× アルブミン
アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。

3.〇 正しい。フィブリノゲンは、血液凝固因子である。
フィブリノゲンとは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。

4.× γ−グロブリン
γ-グロブリンとは、人の血清から、いろいろな種類のウイルスに対する抗体(ウイルスをやっつける蛋白質の一種)を取り出したものである。川崎病では非常にたくさんの量を静脈内に注射して、冠動脈の合併症を予防する。ただし、副作用として、アレルギー症状(アナフィラキシー)があげられる。これは、γ-グロブリン製剤が血液製剤と呼ばれる献血由来の血液成分の製剤で、自己のものとは異なる蛋白質を注入することになるために起こる。

 

 

 

 

 

問題28 血圧を下げる要因はどれか。

1.血液量の増加
2.血液粘性の上昇
3.血管平滑筋の弛緩
4.血管壁弾性の低下

解答

解説

MEMO

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことである。血圧は、体のすべての血管にあるが、一般的に動脈特に上腕動脈の圧力を意味する。血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と血管の拡張で決まる。

1~2.× 血液量の増加/血液粘性の上昇は、血圧をあげる要因である。
なぜなら、血液量が増加することで、心臓が血液を押し出す力が大きくなることにつながるため。

3.〇 正しい。血管平滑筋の弛緩は、血圧を下げる要因である。
なぜなら、平滑筋が弛緩することで、血管の拡張性が高い、つまり抵抗性の低下につながるため。

4.× 血管壁弾性の低下は、血圧をあげる要因である。
なぜなら、血管壁弾性の低下することで、血管の拡張性が低下、つまり抵抗性の上昇につながるため。

 

 

 

 

 

問題29 安静吸息時に起こる現象はどれか。

1.胸郭の縮小
2.腹筋の収縮
3.胸腔内圧の上昇
4.外肋間筋の収縮

解答

解説

呼吸運動について

安静吸気:横隔膜・外肋間筋
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。

1.× 胸郭は、「縮小」ではなく拡大する。
なぜなら、吸息は、肺に空気を取り入れるため。

2.× 腹筋の収縮は、努力呼気である。
つまり、息を思いっきり吐くときに腹筋(内肋間筋・腹横筋・腹直筋)が収縮する。

3.× 胸腔内圧は、「上昇」ではなく下降する。
吸気時、横隔膜の収縮(下に引っ張られる状態)と肋間筋の収縮(胸が膨らむ状態)により胸郭が膨らむ。これにより、胸腔内は陰圧となり、それと同時に肺も外側へ引っ張られて膨らむ。 その結果、口や鼻から気道を通り、肺へ空気が送り込まれる。つまり、安静時の吸息では、横隔膜の収縮と胸腔の容積の増加により、胸膜腔内圧がさらに陰圧(低下、下降)となる。これにより、肺胞内の圧力が外気圧よりも低くなり、空気が肺に流入する。

4.〇 正しい。外肋間筋の収縮は、安静吸息時に起こる現象である。
安静吸気には、横隔膜・外肋間筋が働く。外肋間筋の【起始】上位肋骨下縁、【停止】下位肋骨上縁、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)である。

 

 

 

 

 

問題30 基礎代謝量について正しいのはどれか。

1.夏は冬より高い。
2.加齢によって低下する。
3.同一年齢では女性の方が男性より高い。
4.日本人の成人男性では約2600kcal/日である。

解答

解説

基礎代謝とは?

基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことである。基礎代謝量は、体重・体表面積・性と年齢などの要因に依存する。安静・空腹時のエネルギー消費量で、一般に女性より男性の方が高い。

1.× 逆である。「」は「」より高い。
なぜなら、体温維持のためにエネルギーが必要となるため。基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことである。

2.〇 正しい。加齢によって低下する
なぜなら、加齢により筋肉量(体表面積)の減少がみられるため。

3.× 同一年齢では女性の方が男性より「高い」ではなく低い
なぜなら、筋肉量(体表面積)に男女差がみられるため。

4.× 日本人の成人男性では、「約2600kcal/日」ではなく約1,500kcal/日である。
ちなみに、女性は約1,200kcalである。また、エネルギー必要量とは、健康を維持するために必要なエネルギーの量のことである。活動量の少ない成人女性の場合は、エネルギー必要は、1700±300kcalkcal、男性は2200±200kcal程度である。

 

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