第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前31~35】

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問題31 交感神経活動の亢進によって起こるのはどれか。

1.排尿筋の収縮
2.気管支筋の弛緩
3.瞳孔括約筋の収縮
4.内肛門括約筋の弛緩

解答

解説
1.× 排尿筋は、「収縮」ではなく弛緩である。
排尿筋とは、膀胱平滑筋ともいい、膀胱壁にある平滑筋で、蓄尿と排尿に働いている筋肉である。蓄尿時には、下腹神経(交感神経)の働きで排尿筋が弛緩する。

2.〇 正しい。気管支筋の弛緩は、交感神経活動の亢進によって起こる。
交感神経が興奮すると、気管支筋の弛緩し、気管支の拡張が起こる。

3.× 瞳孔括約筋は、「収縮」ではなく弛緩である。
虹彩の中には瞳孔散大筋と瞳孔括約筋という筋肉があり,虹彩の幅を変えてひとみの大きさを変える働きをする。瞳孔散大筋が収縮するとひとみは開き(散瞳)、括約筋が収縮とひとみは小さくなる(縮瞳)。散瞳は、交感神経の作用である。

4.× 内肛門括約筋は、「弛緩」ではなく収縮である。
【排便の仕組み】
①内肛門括約筋は、平滑筋、外肛門括約筋は随意筋よりなる。
②便が肛門の近くまでくると内肛門括約筋が弛緩するが、便が漏れないように随意的に外肛門括約筋を収縮させる。
③腹圧をかけることにより中枢から陰部神経に指令が伝わり、随意筋の外肛門括約筋が弛緩し排便に至る。

 

 

 

 

 

問題32 血糖について誤っているのはどれか。

1.エネルギー源となる。
2.グルカゴンの作用により減少する。
3.グリコーゲンとして貯えられる。
4.食欲に関係する。

解答

解説
1.〇 正しい。エネルギー源となる。
血糖とは、血液の中のブドウ糖(グルコース)であり、細胞が生きていくためのエネルギー源といえる。

2.× グルカゴンの作用により、「減少」ではなく上昇する。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

3.〇 正しい。グリコーゲンとして貯えられる。
グリコゲーンとは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される。

4.〇 正しい。食欲に関係する。
ご飯を食べると、食事中の糖質によって血糖値が上がり、インスリンが分泌され、満腹中枢が刺激されるので食欲が満たされる。血糖値が下がると、摂食中枢が刺激され、空腹を感じる。

 

 

 

 

 

問題33 神経線維における興奮伝導の3原則に含まれるのはどれか。

1.跳躍伝導
2.易疲労
3.絶縁性伝導
4.一方向性伝導

解答

解説

神経線維の興奮伝導

①絶縁性(隔絶)伝導:1本の神経線維の興奮は、隣接するほかの神経線維を興奮させない。
②不滅衰伝導:興奮は減衰せずに伝わる。
③両方向(両側)性伝導:神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。
(※④等速伝導:1本の軸索上の興奮は一定の速度で伝導していく。ただし、有髄線維では跳躍伝導が起こる。)

1.× 跳躍伝導は、有髄線維にしか起こらない。有髄線維(ランヴィエ絞輪の間)では跳躍伝導が起こる。等速伝導(1本の軸索上を興奮は一定の速度で伝導していく)が、有髄線維(ランヴィエ絞輪の間)では跳躍伝導が起こる。

2.× 易疲労は、有髄・無髄線維とも起こらない。
不滅衰伝導とい興奮は減衰せずに伝わる。

3.〇 正しい。絶縁性伝導は、神経線維における興奮伝導の3原則に含まれる。

4.× 「一方向」ではなく両方向性伝導が起こる。
両方向(両側)性伝導は、神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向に伝導する。ただし、シナプスからの出力は原則一方向性である。

 

 

 

 

 

問題34 伸張反射の反射弓に含まれるのはどれか。

1.運動野
2.脊髄後角
3.Ⅰb群求心性線維
4.a運動ニューロン

解答

解説

伸張反射とは?

伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。

1.× 運動野
大脳運動野とは、大脳皮質の中で運動に特異的に関係している領域をいう。

2.× 脊髄後角は、外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)に関わる。
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

3.× Ⅰb群求心性線維は、腱紡錘に存在するIb自己抑制に働く求心性線維である。

4.〇 正しい。a運動ニューロンは、伸張反射の反射弓に含まれる。
【伸張反射の反射弓】筋紡錘→Ia線維→脊髄前角→α運動ニューロン→骨格筋

 

 

 

 

 

問題35 脂肪の消化に関与しないのはどれか。

1.胆汁分泌
2.乳化作用
3.リパーゼ分泌
4.アミラーゼ分泌

解答

解説
1.〇 胆汁分泌
胆汁は、肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。

2.〇 乳化作用
乳化とは、水に溶けたり混ざったりしにくい成分の粒子表面を変化させることで水との親和性を高めることである。

3.〇 リパーゼ分泌
リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。

4.× アミラーゼ分泌は、脂肪の消化に関与しない。
アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。

胆汁の主な生理作用

①脂肪の乳化

②脂肪の消化・吸収促進

③脂溶性ビタミンの吸収促進

④Ca2+、Fe2+の吸収促進

 

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